David Gilmour - Rattle That Lock

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David Gilmour - Rattle That Lock (2015)
Rattle That Lock

 長くやり続けること、ポリシーは変えないこと、この二つができると多分何かしら認められる時が来るんじゃないかと。認められるってのは誰にどんだけ、って話があるんだけどそれは別に考えなくても良くて、そのうちそういう事のためにやってるんじゃない、っていうように思う時が来るのだろう。未だに残ってるロックの有名人って結局そこなんだと思う。売れるために良い物を作るために、出来ることをやるために、色々あるけど、結果的にポリシーを変えずに進んでいる人は残ってる。評価されたってことだろう。ただ、その辺まで行くと評価とかよりも自分がこのままどこまで出来るかみたいなトコにあるような気がするんだよね。わからんけど。やっぱりその人その人が持ってる音楽センスとかってのは根本的にそんなに変わらないだろうしさ。

 David Gilmourの2015年の新作「Rattle That Lock」はそういうことを感じさせてくれた一枚だった。もうねぇ、好きとか嫌いとかの次元じゃないんだよ、聞く側もさ。真面目に聴いてたら、到底こんなの聴いてられないくらいにかったるいし、AORの出来損ないで雰囲気だけのアルバムじゃないか、って言えちゃうもん。でもさ、そんなんじゃ片付けられない深さってのがあって…、自分的には全然ギルモア派じゃないからロジャーのいないフロイドってのは別物としてしか聴いてなくて、それはほとんどがギルモアのソロアルバム的な要素にフロイドという名前に恥じない雰囲気を持たせる事という作品だと思ってて、だからこそギルモアのソロアルバムってのはもうちょっと本人がゆったりと音楽と向き合うものなんだろうと解釈してた。今回の「Rattle That Lock」もそういうモンに近い部分あるけど、もうこれくらいになってくるとギルモアにしてもソロとフロイドの境目もあまり意味が無くなってて、その時々に出て来る音をなぞってアルバムを仕上げているようなリラックス感を感じる。もちろん音色の美しさやギターの音ですら今まで以上に研ぎ澄まされていて、空を舞い上がるような雰囲気で鳴っている。好きじゃないけど、素晴らしい。全く素晴らしい。そう言えてしまう作品だ。

 面白いな〜って思ったのはギルモアさんのソロアルバムなのにロジャー・ウォーターズの存在…存在と言うか手法なのかもしれないし影響なのかもしれないが、ロジャー・ウォーターズの音の作り方に酷似している部分があちらこちらであって、結局フロイド=ロジャーの呪縛から逃れられない…と言うよりも元々ギルモアにもそういう気質はあったんだけど、ロジャーと袂を分かってからはその部分を出さないようにしていたのが、ここに来て普通に作ったら出てきてしまった、というのかもしれない。自分的には嫌いじゃないんで良いんだけど、血気盛んな時だったらロジャーのモノマネじゃねえの?って思ったかな(笑)。もっと高尚に音楽と雰囲気を混ぜ合わせたサウンドという感じだが。

 歌もギターも存分に、そして楽曲のアレンジもこれはこれでちょっと聴けばフロイド?ギルモア?って分かるような個性はきちんと持ち合わせているってのはさすがだ。ロックと言うのとはある意味正反対に位置する音楽作品かもね。そこには音の追求というテーマがず〜っとあるから人を惹き付けるのかな。落ち着いて雰囲気を味わっても楽しめるし、音をきちんと追求しても楽しめるホント、高尚な作品ですな。





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フレ
Posted byフレ

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風呂井戸  
ギルモアも・・・・

 ギルモアは、こうして「ビンク・フロイド」から解放された方が、彼らしいアルバム作りが出来るということなんでしょうね(最初から解っていたことですが(笑))。ロジャー・ウォーターズのピンク・フロイド・コンセプトに”対する”ということは、考えない方が良いと言うことですね。彼はミュージック派であってロッカー派ではないのはもともとの体質ですから。
 今回もポリー・サムスンのアルバムとも言える世界の中で彼のミュージックが泳いでいるという形、それで良いと思います。

2015/09/24 (Thu) 21:55 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>風呂井戸さん

全くその通りですよね。
これが英国チャート1位ですから…、ロックは老けた(笑)。

2015/09/28 (Mon) 23:04 | EDIT | REPLY |   

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