Caravan - Cunning Stunts



ソフト・マシーンと同じ根幹を持つキャラバン、両者とも元々はワイルド・フラワーズというバンドから派生して進化したバンドなのだが70年代に入ってからは全く異なる音楽を奏でるバンドに進化していったというのも面白いところ。カンタベリーサウンドと云う広義の捉え方では両者ともしっかりカンタベリーサウンドを聴かせてくれるんだけど、表現が全く違っていてソフト・マシーンの進化具合は恐ろしいまでの変化でもあり、一方のキャラバンも別の意味で変化に富んだ過程を辿っている。そんなキャラバンの中でも最高傑作と名高い邦題「ロッキン・コンチェルト」にスポットを当ててみた。
Caravan - 「Cunning Stunts」
うん、はっきり云って滅茶苦茶ポップ。だから聴きやすいハズ。しかし、しかし、だ。18分にも及ぶ組曲「The Dubsong Conshirtoe」で表されるキャラバンの新世界を聴けばよくわかるが、ポップなメロディとハードなギターサウンドや鍵盤で表されるサウンドから展開されるアドリブパートは見事に英国的ジャズフレーズに変わっていくという面白さ。この辺だけを切り離して聴くとソフトマシーンとの差もそれほどないのかなぁという気もするが、それも一瞬の話なのでやっぱり独自サウンドを築き上げた名盤♪ 単に長いだけの曲ではなくっていくつかのメロディやリフによって構成されている組曲なので何度聴いても面白くって楽しめる。コンガみたいなもんまで入ってくるっつうのもなかなか凄いよな(笑)。そして最後は狂気を演出するかのような盛り上がりに歌メロの中で印象に残るメロディーが刻まれて終演を迎えるのだが、これがまた荘厳という言葉が当てはまるのだ。うん、キャラバン史上最高の曲のひとつだろうなぁ。その余韻を和ませるのが次曲「The Fear And...」というカントリータッチのアコースティックギターで始まる牧歌的なサウンドなのだが、これがまたこの位置にしか置けないくらいにぴったりとした軽快な曲で素晴らしい余韻。
話は逆になってしまったがA面の世界ももちろん名曲のオンパレードで決してハードにとかシンフォニックにとか云う展開でもないけれど、ピアノやベースというスタンダードな音から美しくそしてキャッチーに迫ってくる「The Show Of Our Live」から始まり、大好きな二曲目、パイ・ヘイスティングの絶妙なギターから始まる「Stuck In A Hole」。ギターリフも軽快でかっちょいいし、歌メロもキャッチーで凄く良いのだ♪ でも、しっかりプログレっつうのはなんでだろ?楽器の使い方の問題だろうな(笑)。そして名バラード「Lover」。まるでジョン・レノンを聴いているかのような曲作りでしっとりと聴かせてくれるんだけど、まぁ、好みで云えばちょっと違う(笑)でも、曲は凄く良いよ。そして実に英国的なメロディでこれもどこかしっとりとした「No Backstage Pass」…、こういう曲が歌メロ付きで迫ってくるからこのアルバムは売れたんだろうな。んで、まったく異色な「Welcome The Day」…、アメリカでもウケた理由ってのはこういう曲のおかげだと思うけど、線の細さが英国的って感じかな。あぁ、ちょっとブラコン的な音だからさ。
そ~んな感じでこのアルバム、前作「夜ごとに太る女たちのために」に続いてリリースされているんだけど、こっちの方が売れたようで、人気あるみたいだね。ジャケットもヒプノシスの透明人間…でもカガミを見れば?みたいな感じでユニーク。アルバム的にはライターが分散しているからまとまりっていう感じはないけどその分楽曲レベルの高い曲ばかりが収録されているので結果としては名作に仕上がってるね。あ~、やっぱ気持ち良い作品は気持ち良い♪ この辺のBBCライブ盤もいくつか出ていて「Ether Way: BBC Sessions 1975-77」っつうのだと丁度大曲「The Dubsong Conshirtoe」のライブが聴ける♪

- 関連記事
-
- Caravan - Waterloo Lily
- Caravan - Cunning Stunts
- Caravan - For Girls Who Grow Plump In The Night