David Bowie - Heroes



フリップとイーノの合体劇の究極の形のひとつにボウイを交えた傑作「Heroes」がある。こういうのってのは時代の産物っつうのか奇跡の遭遇というのか…。ボウイがベルリンに籠もり、イーノと実験的なサウンドを繰り返していた時、イーノが共感した友人フリップを呼び寄せてこの奇跡のコラボレーションが実現したという。そしてボウイはベルリンの壁で抱き合う恋人を見て「

何と言ってもあのフリップ卿が全編独特のトーンでギターを弾いているにもかかわらず、そしてイーノが効果的なサウンドをあちこちに入れているにもかかわらず、そのどちらも見事にひとつの味付けとして操ってしまっているボウイの才覚の凄さを改めて実感するという聴き方もあり、そうやって聴くとこの作品の凄さに気が付くのだ。前作「Low」では正に研ぎ澄まされた感性を最大限に生かしたイーノとのコラボだったが、この「Heroes」はどちらかと言うと深みを増した作品で、研ぎ澄まされたという感じではなくってね、もうちょっと歌に力を入れているかな。しかしまぁどれもこれもが素晴らしい曲ばかりで何度聴いても絶対に飽きない深さはやはり名作と呼ばれるだけのことはある。
この作品では実はもう一人の立役者がいることはかなり見過ごされているのも面白い。10年以上もボウイのパートナーをやっていた黒人ギタリスト、カルロス・アロマーだ。ボウイがジギーを捨ててファンキーなサウンドに走った頃からバックで弾くようになり、そしてまたボウイが「Let's Dance」でスーパースターになった頃も一緒にやっていた人なのだが、その間の通称ベルリン三部作を含むボウイのアルバムには全部参加しているのがこの人。で、「Low」でも「Heroes」でもボウイやイーノ達と共にコラージュサウンドを試したり、実に見事にアルバム作りの要素に関わっていたのだ。そのセンスも結構凄いよな。
「

今年の5月末日、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアがソロライブを行った際に、スペシャルゲストとしてボウイが登場して「

んなことで、偉大な三人が出会って制作された奇跡の一枚とも云える「Heroes」。秋の夜長に相応しいねぇ…。



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