Mahavishnu Orchestra - The Birds of Fire

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 さてオーケストラシリーズ、続いてはジャズ畑からロックへとアプローチをかけてきて、それがそのまま英国的プログレッシヴロックの一環に組み込まれてしまうものになったという珍しい…と云うか、正にボーダーレスな時代を象徴するかのような傑作を生み出したマハビシュヌ・オーケストラだ。あのジョン・マクラフリンが在籍した、そしてそのテクニックを存分に見せつけた作品という意味でも重要なアルバムらしいけど、かっこいいんだよ、これ。

 アルバム的には「火の鳥」くらいしか持ってないんだけど、コレ聴いてるだけでも鳥肌モンだし、タイトル曲「火の鳥」でのアグレッシブなプレイは素晴らしい。で、そこで素晴らしいのはギターもさることながらやっぱりバイオリン。いかにもって感じのハードなプレイは絶対に英国ロックファンを唸らせるものがあるね。ヤン・ハマーの鍵盤もそういうトコあるんだろうな。自分的にはあんまり耳に入ってこないけど(笑)。他の曲にしてもやっぱりバイオリンの音色は凄く新鮮に響き渡っていて、そういえばインスト作品だってことを忘れさせてしまうくらいのバンドの演奏力の高さに驚く。もちろん楽曲のレベルの高さも相当なもので、じっくりと聞き込んでしまうくらいの高尚な作品に仕上がっていて、ああ、完全にこの時代のプログレバンドだ…って思う。そうだね、クリムゾンの「太陽と戦慄」以降と似ているかもしれない。

 このクロスオーバーな風潮からヤン・ハマーとジェフ・ベックが一緒にやるってのがしごく当然のことだったんだろうし、マクラフリンは全く器用な人で、ジャズの巨匠マイルス・デイヴィスが実験的サウンドに進んだ頃の片腕を担ぎ、以降は自分も大好きな、というかとんでもないギタートリオを組んでこれまたとんでもないフライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ?スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!っつう世界を見せてくれるんだな。ちなみにこれはアル・ディ・メオラとパコ・デ・ルシアと三人で本当に弾きまくりの「地中海の舞踏」を聴いてみてもらいたい。ギター弾く気無くすから(笑)。いや、もちろんマハビシュヌ・オーケストラ「火の鳥」」アルバムの中にもマクラフリンの多彩を示すスパニッシュ調の雰囲気の良い「Thousand Island Park」っつう曲もあったりするので、こういう方向もおかしくはないんだけどね。

 まぁ、マクラフリンの才能はギターに限らず、このバンドでは多彩な音楽性と時代がマッチしてロック側からの名作に挙げられる一枚になったワケだな。美しいし激しいし、巧い。いいねぇ…。

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フレ
Posted byフレ

Comments 6

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papini  

うわっ!これアタシ大好きだ!
垣根越えると、こんなに面白いことできるんだなぁ・・・
って思った。
面白いよね、この時期って。
ちょうどロック側からも似たような音楽が出てきて、
ジャズ側からも似たような音楽が出てきてる。
同時にいろんな分野で革命が起こって、
いろんな音楽がお互いを吸収するようになったのが、
たまたま同じ時期だったんだろうね。
フラメンコとかタンゴもそうだしさ。
ちょうどピアソラが新しいことを始めて、それが完成したのも多分、この辺。
音楽ってボーダーレスになると面白いんだよね。何でも。

アタシね、この「火の鳥」、
ユニオンのプログレ館とジャズ館、両方で見た記憶があるよ(笑

2006/09/22 (Fri) 10:27 | EDIT | REPLY |   
オダ  

ジョン・マクラフリンとの最初の出会いが、クリーム解散後のジャック・ブルースが、ソロでジャズをやった「シングス・ウィー・ライク」ってアルバム。
そのため正統派ジャズマンのイメージが最初あっただけに、このジャズとロックのボーダレスのサウンドには「何だこれは!?』と思ったものです。
今、聴いてもかっこいいギターです。

2006/09/22 (Fri) 18:22 | EDIT | REPLY |   
einnonti-H  
いつも拝見しています

フレ様、ここでは初めましてとなります。
einnonti-Hです。
同志papini、エバグリ様のところでコメント拝見しております。

フレ様のブログとても楽しみに毎回ロムっておりました。日々
しっかりと書かれているのには脱帽します。それに濃い内容が
とても素敵です。今回のアーティクルにて書き込みたい衝動に
負けて書いております。

ただアーティクルをしっかり読むともうコメントする事があり
ません。恐れ入ります。

是非とも素敵なこのブログを末永く続けて下さいませ。
(実はこのブログのファンです)

2006/09/22 (Fri) 19:07 | EDIT | REPLY |   
フレ  
コメかんしゃ!

>papini嬢
うん、好きだろうね(笑)。その要素いっぱい詰まってるもんなぁ。で、クロスオーヴァー的な革命期で、その中でも代表的なアルバムでさ。でもやってるのがクラッシックの「火の鳥」がモチーフっつう更に深い要素アリなんだな。

>オダさん
あ~、ジャック・ブルースのドッグアルバムだ(笑)、あれね。あれ、そっか、マクラフリンか…。ああいうのだとある意味普通に聴けるんだけど、こうなると衝撃的ですよね。かっこいいっつうか新鮮。

>einnonti-Hさん
あ、こちらに来られるとは…ありがとうございます。お名前及びブログは特定箇所で拝見しておりますのでお初という気がしないのですが(笑)。いや、お褒め頂き恐縮です。ただ、現実的には結構時間なかったりして杜撰に書いているものもあって恥ずかしい限りです。できれば全て気合いを入れて書きたいのですが…、いや、無理、はい(笑)。ただ何かしら心に残る書き物にできればとは心がけていますのでこれからも末永くお願いします。

2006/09/23 (Sat) 08:15 | EDIT | REPLY |   
evergreen  
出遅れ・・・

火の鳥大好きです、(意外かも?)
内に秘めた炎・・・もっと好き!これたちは流行った!(昔話・・・この頃違ってることある)
それから真ん中の3人のやつも実は・・・持ってる!(意外?)
3人の中で一番性格悪いの絶対マクラフリンだと思う・・・ほんとすごい人だ!

2006/09/23 (Sat) 22:21 | EDIT | REPLY |   
フレ  
エヴァ姉さん

意外だ…。でも性格悪いのがマクラフリンってのは分かる気がするが、でも結構セッションが多いからそうでもないかもね。

2006/09/24 (Sun) 19:52 | EDIT | REPLY |   

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  •  火の鳥 / マハビシュヌ・オーケストラ
  • 高校のころY君からアルバムを借りて聞いたまが、マハビシュヌオーケストラの入門でした。 インド哲学に傾倒したマハビシュヌ・ジョン・マクラフリン率いるマハビシュヌ・オーケストラ。 電化マイルスジャズ学校の同窓生、リターン・トゥ・フォエバーやウエザー・リポート
  • 2010.07.13 (Tue) 00:33 | おいみず亭