The Kinks - Live At Kelvin Hall



50年代に登場したロックンロールは当時10代だった英国の若者を刺激するには十分だったようで、併せて英国ツアーを行っていた往年のロックンローラー達を生で見れたりテレビで見たりという数少ない情報の中から自らもギターを持って何かをやろうという連中がたくさん出てきたのが1960年代。もちろんストーンズってのが筆頭になるんだろうけど、そこまでモロの影響下ではなくて独自性を持って出てきたのがフーとかキンクスとかで、ロックンロールの影響は感じられるものの、それを消化して自信の音楽センスを磨いてきた連中なのだ。ビートルズもそうだけどね。
…てなことで、オリジナルアルバムではあまりロカビリー系統の影響を受けているようには思えない、あったとしてもせいぜいファーストアルバム程度で、どちらかと言うと個性的なソングライターとして確立してきていたキンクスの「Live at Kelvin Hall」に注目♪ 1967年4月1日グラスゴーにあるケルヴィンホールでのライブが記録されている作品なので、それまでに売れた曲なんかはもちろんいっぱい演奏されているんだけど、最後にさ、メドレー形式で「Milk Cow Blues - Batman Theme - Tired of Waiting - Milk Cow Blues」ってのが入ってて、これ以降もキンクスはライブではこういう感じでロックンロールと自分たちの曲とを混ぜ合わせたメドレーやひたすらロックンロールを繋げたものなんかもやっていて、それはそれは楽しそうにやっているものなんだな。シニカルなレイでもやっぱり好きで、いきなり始まることも多かったらしい。デイヴはどうなんだろう?やっぱり影響受けてたんだろうな。じゃなきゃ「You Really Got Me」でのあの歪んだ音は出てこないだろう(笑)。
う~ん、久々にコレ聴いたけど、昔は音が悪いライブアルバムベスト3に挙げられていたんだけど、リマスター盤CD聴いていると全然そんなことないね。このリマスター盤って面白くて、モノバージョンとステレオバージョンが1枚のCDに収められているという代物で一枚で二度美味しい…、いや、それはマニアだけだろう(笑)。でもね、やっぱりどっちが好みかと言われると、このアルバムの場合はモノバージョン。ステレオバージョンは楽器の分離は良いけど、歌がかなり引っ込んでしまった感じになってるからね、あと全体の空気感がやっぱりまだまだ分散しちゃってるから。モノバージョンはやっぱり音がど真ん中に集まってるだけあって凄い迫力。歌も一番前面に出てくるし、いかにも60年代のライブアルバムって感じのやらせありの作り方が好き(笑)。しかしまぁ、総じてものバージョンの方が歓声とかMCとか短めに編集されていたりして面白いね。
実際にこの頃のキンクスってのはこんなライブだったのかと言われると結構疑問だよなぁ。もっとデイブとかアドリブかましまくって弾いていたような気もするんだよね。このアルバムって歌モノ中心だからそういうのがあんまり出ていなくてさ、だから最後のロックンロールメドレーが多分ライブに於けるキンクスの一番それらしい姿なんだと思う。レイの作る曲の完成度は既に認知されていたワケだから、それ以上にライブで求められるのはこういうトコだったんだろうね。ま、デイブの出番っつうのはよくわかる(笑)。この頃のキンクスのライブ盤発掘してリリースされないかなぁ…。滅茶苦茶熱くてかっこいいんだよ。ストーンズと比べてもヒケを取らないもんな。
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