The Brian Setzer Orchestra - The Dirty Boogie
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ストレイ・キャッツ解散後ソロでフラフラとアルバムリリースしたり、企画モノに出演したりしてなんとなく名前を上げていたものの、いまいちパッとしなかったブライアン・セッツァーが、思い切ってやりたいことに手を出したバンドが今をときめくオーケストラ名義のバンド。当初思い付いたのはよかったが、15人ものオーケストラの面々を食わせるまで稼げるのかどうかが最大の問題点で、ブライアンは必死で全部自分でスコアを書いてオーケストラに頼んでいたという逸話も残っているが、めでたく1999年にリリースされた三枚目のアルバムで世界をときめくヒットを放つこととなったのだった。こうしてまたシーンの真ん中に戻ってきたブライアンの活動は我が日本では毎年のように来日公演が行われているので比較的馴染みのある活動ではないだろうか。
この「The Dirty Boogie」というアルバムだが、前二作までと大きく変わったのが何だろ?垢抜けたっつうとヘンなんだけど、吹っ切れたパーティ感覚が強調されているっつうのかな、音が明るいんだよね。もちろん曲も素晴らしく洗練されたものに仕上がっているので聴いていて新しくてノスタルジック…言うならばストレイ・キャッツがシーンに躍り出た時にネオロカビリーというジャンルを確立したようにブライアンはまたしてもこのアルバムでネオスウィングというカテゴリーを創り出したのだ。凄いことだよな、それ。二つのジャンルを創り出してしまったワケで、似て非なるモノなんだよ、これ。でも見た目は単なる刺青いっぱい入れたリーゼントのギター兄ちゃんみたいな感じでさ、器がデカイっつうか、ロックンロールな人だなぁと思う。
その「The Dirty Boogie」、何と言っても一発目の「This Cats On A Hot Tin Roof」っつうのがモロにネオスウィングって云う代表曲で、ビッグバンドとブライアンの華麗なるギターフレーズとスウィングするリズムが見事にマッチした超傑作で、これもコピーできねぇよ、っつうくらいのフレージング。すっごくゴージャスでさぁ、古き良き時代のアメリカを音で体現しているという感じで、そうだなぁ、グレン・ミラーの楽団を聴いている感じでさ、そういう雰囲気が浮かぶんだよ。そんなのばっかり入ってて、面白いのはストレイ・キャッツ時代の名曲「Rock This Town」をカバーしていてさ、これもまたゴージャスにリメイクされていて、本来こういう曲だったんじゃないかと思うくらいにかっちょいい。ブライアンも、もちろんこの20年間でギターの腕を上げているからゆとりもあるしさ、さすがだなぁ…と。益々手の届かないところに進んでいるギタリストなワケで、ホント素晴らしい。日本公演見に行ってみるとそれをいとも簡単にさらっと弾いてしまっているところがプロなんだよ。
ちなみにこのアルバム、リリースされた直後くらいにたまたまタワレコ行ったら試聴コーナーに置いてあって、まだ売れる前だったんだけど大プッシュしててね、聴いてみたらそんなんだから、もちろんブライアンの名前も知ってたしストレイ・キャッツも好きだったってのはあったけど、それでも聴いて一発でレジ行きだったもん。そしたらしばらくして売れまくってた(笑)。やっぱりかっこいいものにはみんな鋭いんだなぁ~と思ったね。
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