Stray Cats - Stray Cats



1980年初頭ロカビリーのかっこよさを再認識させたA級戦犯としての筆頭格と言えば何と言ってもストレイ・キャッツに限る。ネオ・ロカビリーと言う新たなジャンルを創り上げてしまった素晴らしい功績を残したこのバンド、元々はニューヨーク・ロングアイランド出身のバリバリのアメリカ人なのだが、当時英国の方がこういったサウンドに敏感だったこともあり、またパンクの波からそれほど時間が経っていなかったこともあって彼等は英国でデビューを果たして一躍人気者へと躍り出ることになったのだ。そのせいか、彼等の持つ本来の音楽のせいか、ちょっと後のジョージア・サテライツやジョージ・サラグッドあたりの3コードR&Rバンドとは大きく異なり、洗練されてオシャレ感が漂っているのだ。もちろんファッションにも気を遣っているのでそれだけティーンからの支持は大きかったのだが、やっぱり楽曲の持つシンプルでパワフルなサウンドがウケたんだろうな。
初っ端のファーストアルバム「涙のラナウェイ・ボーイ」から名曲のオンパレードで、今でもブライアン・セッツァーのライブではこのアルバムからの曲が圧倒的に演奏されることが多く、それこそが彼自身の思い入れをも物語っている。ザクッと書いてみると、単純な3コードロカビリーに違いはないのだが、細かいところのギタープレイは単なるロカビリーなんかでは終わらず、ジャズやカントリーのフレーズや音遣いがいっぱい入っていたり遣うコードも実に不思議で感動的なコードが多く、この頃ハタチそこそこでこんなにテクニックと引き出しを持ったギタリストなんて今でも見当たらないよ。カッコから入ったツッパリ君達がバンドを始めようと思って彼等をコピーしようとしたってまず無理。とんでもなくカッコと中味がかけ離れていて、だからこそ評価が高いバンドなんだよね。
セカンドアルバムでも路線は変わらないんだけど永遠の名バラード曲「ロンリー・サマー・ナイト」はえらく感動したし、今聴いても最後の最後のコードに涙がチョチョ切れるね。グレッチが凄くかっこよく見えたのってこの辺くらいだもんな。ロカビリーって奥深いなぁって。ちょっと前に「グレイテスト・ヒッツ」っていうDVDが出て、プロモビデオを集めたもんなんだけど、これも時代を感じるところはあるけど結構格好良くってさ、やっぱりいいんだよな。まぁ、今更全部買い集めるほどでもないってのもあるから、ベスト盤でも十分に楽しめるけどね。うん、かっこいい本当の意味でのギタリストな人だと思う。
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