The Isle of Wight Festival 1970



イギリス南部の女王御用達の島、ワイト島では1968年から音楽の祭典が開かれるようになり、当初からドノヴァンやザ・フーなどのバンドなどは出演していたりしていたが、1969年アメリカでのウッドストックフェスティバルに触発されたのか、翌年となった1970年第三回目のワイト島フェスティバルはかなり気合いの入ったイベントとなり、過去最も豪勢な出演者を集めて開催されたものだ。近年になってようやくその模様が映像でリリースされたり単発ではザ・フーのワイト島フェスティバルライブとしてリリースされたりして、にわかに盛り上がりを見せたのだが、その映画を見ていて話に聞いていた醜聞に納得。とにかく悪名高いイベントという印象は映像でよく理解できるワケだ。端的に言えばヒッピー文化の終焉に気付いていない聴衆とまっとうなフリをしているイベンターの格差だと云えよう。深くは語るまい…。
そんな周辺の状況はさておきながら、やはりウッドストックと同じで実に数多くのバンドが出演したが現在映像なりCDなりで見聞きできるバンドは限られていて、それだけではないトコロがあるのだ。コチラに出演バンドと簡単な紹介があるので参照してもらえるとわかるように結構色々出てたんだよね。英語サイトだけど。でもってDVDに入っているのはコチラ。もちろん出演順なども編集されているので絵的に惹き付けられるところもあると云えばあるんだけど、やっぱカメラワーク古いんだよなぁ(笑)。この時代の映像ってさ、ひたすらギター弾いてるのに顔のアップが映ってるとか、とにかく顔のアップなんだよ(笑)、何してても。ストレス溜まる映像でね。ま、最近のコンマ何秒でカメラが切り替わっていくっていう映像も集中して見れないので嫌いなんだけど。で、このフェスティバルの出演者ってほとんどウッドストックと被るってのもまぁ、やむを得ないんだろうな。こういうイベントに不釣り合いに見えたドアーズが新鮮だったり、マイルス・デイヴィスの出演が凄く刺激的だったりするのはあるけどね。EL&Pのデビューステージだったりとか…、フリーもここ一番の素晴らしいライブやってるなぁ…。
そうそう、DVDには収録されてないけど、フェスティバルには出ていたバンドってのはもちろん色々あるんだけど、時代的に、というか英国だからこそという面白さがあるのだ。いわゆるサイケ系バンド、ホークウィンドやブラック・ウィドー、ピンク・フェアリーズなんてのもメインステージではないけどライブやってた、とか、今では英国B級扱いのグラウンドホッグスやジューダス・ジャンプやテリー・リードってのも出てるしさ、アコースティック系では驚くことにペンタングルやラルフ・マックテル、フェアフィールド・パーラー(!)なんてのまで出演していて、そんなのDVDじゃ全然わからんもんな。でも映像残ってるんだろうね。で、恒例の如く、アメリカからやってきたスライ&ザ・ファミリーストーンもお蔵入りになっていて、歴史は深いのに勿体ない。今となってはその辺収録した限定での三枚組なんてのを出した方が価値あったんじゃないか?ま、今更云ってもしょうがないんだけど(笑)。
DVDを見ての印象ではやっぱりフリーとEL&Pの印象が強いかな。EL&Pの大砲をぶっぱなすヤツね(笑)。ジミはちょっとトーンダウンしてきたなぁってのは否めないから。ザ・フーはもちろんかっちょいいけどさ。あとねぇ、これでより一層嫌いになったのがジョニ・ミッチェル。云ってることわかるけど、おせっかいなんだよなぁ、って。やっぱこういう時アメリカ人ってこういう言い方しちゃうんだよねぇ、って言うかさ、あのシチュエーションの中ではうるさいおばさんになっちゃうワケで、正しいんだろうけどちょっと引いちゃうな。役割を混同しているっつうか。その辺ジョーン・バエズはさすがユダヤ人、かしこいな、と(笑)。なんかね、そんな風に見てしまって興醒めする面あるのも事実だけど、一切を無視して好きにやってるジム・モリソンとかフーとかジミヘンってのはやっぱ偉大なパフォーマーだな、と。ロックだね。
…とまぁ、グチは色々あるけど、正しく英国に於けるひとつのアメリカ文化を真似てみた失敗の結果とそれでもまだ現在に至るまで続けられているイベントの断片を楽しめることは事実。一昨年の同フェスティバルにはボウイやフーが出演し、盛り上がった様子も知られているしね。
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