Free - Free Live!



1970年に熱いロックを演奏するバンドはゴマンとあり、誰もが皆自分たちを信じてロックをプレイしていた。もちろんそれがカネになるかならないかなんてことはほとんど気に懸けることなくただ単にロックが世界を切り開いていく、そんな姿を自分たちで築き上げていく渦中にいて実感していたバンドは多かったのではないだろうか。少なくとも後追いでこの時代のロックを聴いている限りはそういう風に捉えられる。現代とは全く異なる熱いブリティッシュロック全盛期、中でも若くして光り輝いていた天才達の集団とも呼ばれたフリーは全盛期に日本でライブを行ったこともある関係から、日本での人気も相当根強く脈々と歴史的人気が受け継がれている。
…ま、序章はこんなもんでしょ(笑)。フリーの名盤ってよく言われるのはやっぱり「Fire and Water」とこの「Free Live!」だろうね。今回は「Free Live!」で行こう、うん。何か夏に負けないくらい熱いのが聴きたくてさ、やっぱライブだろう、って。しかしまぁアナログ時代はこの「Free Live!」も全8曲入りで一曲はスタジオ新録曲が入っていた変則もので、アメリカ盤には更に「My Brother Jake」も入っていたアルバムだったんだけど、2002年にようやく、遅れてリマスタリングされた際にはリマスター&紙ジャケ+ボーナストラック付きという一番嬉しい形での再発だったのでよかった。何度も買い直しさせられないって言う意味では一番良心的だったな。最近の商売熱心な再発ブームはうんざりしてるからさ。それで、その時に5枚組のボックスセット「Songs of Yesterday」もリリースされたんだよね。日本盤は出てないんだけどさ、当時日本盤が出るかもしれないのでライナーの訳詞のために待つべきかどうか悩んだんだけど、日本盤が出ない可能性が高いなぁって思って速攻で店で買った。よかった~、正解で(笑)。で、そのボックスセット「Songs of Yesterday」そのものももの凄いボリュームと希少価値の塊だったんだけど、特に今回関係があるのがディスク4。「Free Live!」に収録されていたライブテイクは7曲分なんだけど、その時ボツになったのがディスク一枚使って入ってるワケよ。それでもう驚喜して聞き比べてさ、どれがどれだ?なんてライナーノーツとクレジット見比べてひとりでフムフムなんてやってた。う~ん、オタクだなぁ(笑)。おかげで色々わかったけどね♪ボックスのクレジット、一曲間違ってるぜよ、とか、今までリリースされたライブ=イギリスのサンダーランドのライブ、ってのも間違ってるぜよ、とか。ま、そういう細かいことは良しとして、音に行こう、音に、うん。
もちろんライブアルバムとして作られてるから実際に演奏された曲順とは大幅に異なる収録ってのは当然なんで、ライブの構成ってのはちょっと無理があるんだけど、それでもやっぱロックライブの名盤になるだけのことはあって実によく出来ている。実際ボツテイクとか聴いた後にこのバージョン聴くとさ、どれもこれもやっぱり一番良い演奏を持ってきているし、曲順も実際よりもハマり込みやすい風に並べてあるし、良いセンスしてるよな、さすがだよ、って舌を巻いたもん。だから最初が「All Right Now」でも良いのだ。だってさ、こんな超有名曲が一発目なんて実際あり得ないワケで、それでもまかり通るんだよ、このアルバムは(笑)。もうねぇ、最初の歓声からアンディのベース音が鳴るところからコゾフのチューニング音から全部コピーしてバンドでやろうと思ったもん(笑)。で、ドタバタとしてサイモン・カークのドラム…、こんな音誰も出せないよなぁ、音はデカイんだけど全くうるさくないんだよ。しかし実際はライブの終盤だっただけあって、この曲のギターソロの艶やかさと言ったら素晴らしくエロティックでグイグイと引き込まれる。全盛期のコゾフを見事に捉えたかっちょいい~曲のひとつだな。それで「I'm A Mover」でしょ、これも独特のノリでハマり込んでくんだよな。アンディのベースでグイグイと引っ張ってって、コゾフのギターが入ってくるとちょっとホッとするもん。ロジャースの歌はもちろん言うまでもなくアレだしさ、ほんとバンド全体でロックをロックらしくしているっていう感じの曲。今じゃ誰も出来ないよ、こういうの。それで続くのはポールのこぶしが冴え渡る「Be My Freiend」でさ、こういう綺麗なポップなのもサラってできるんだよね、このバンド。アンディもピアノ弾けるしロジャースもピアノ弾くし、でもコゾフがそのフレーズをギターでプレイしちゃう、みたいなさ、美しい音ってのに敏感な人達。いいねぇ、何かさ、雰囲気っつうか空気が凄く音に込められてて、それが聴いている側にも伝わってくるから滅茶苦茶温かいサウンドなんだよ、わかる?で、エグいイントロから始まる「Fire And Water」。この曲のリズムなんてさ、彼等が絶対最初に編み出したものだし、今の時代でも色々と変形はあるけどよく使われているんだよ、これ。テンポ早くしてみるとモロにラップに近いリズムで、やっぱり黒人のリズムを吸収していた彼等だからこそできるワザだったんだよ、きっと。これもギターソロ泣けるなぁ…いいんだよなぁ、うん。
う~む、やっぱ書きまくってる…。思い入れありすぎるのは問題だよなぁホント。そうそう、このアルバムレコード時代はメンバーの顔が描かれている切手が別になっていて、裏は封筒と同じ閉じ方っていうジャケットだったんだよね。紙ジャケで見事に再現されたので嬉しかった。オリジナルアナログは高かったので手に入れられなかったし。
さ、「Ride On Pony」ね…、タイトルが凄いよ、ホントに英国的。で、曲はあの調子でアンディ・フレイザー調バリバリでその上にポール・ロジャースの最高の声が被さってきて、更にグイグイと引き込まれるコゾフのギターフレーズがこれまた堪らなくってさ、これでノレないヤツはロック聴かなくて良し、みたいな、それくらいにグルーブ感が凄い。スタジオ盤の比じゃないくらいにグイグイ行ってるよ。そんでもって何がでかいのか「Mr.Big」さ。こんなにギターも歌も目立ってるのに一番カッコイイのがアンディのベースなんだよな、これぞベースが歌っているロック。もちろんコゾフのプレイもこのバージョンでは見事に飛翔しちゃってるから中盤以降は文句なしのバンドのグルーブが最高なんだけど、やっぱりこのリズムの重さって凄い。サイモン・カークもバドカン行くとこんなにドタバタじゃないから、何だろう、単に下手だったとは思えないから意識的だったのかな、それとも意識的にバドカンでは普通に直したのかもしれない。しかしコゾフ…泣けるぜ、ホントにこのギターは素晴らしすぎる。音のハズし方が上手いから余計に引き込まれるんだな。う~ん、そしてアルペジオも普通の指使いでは出てこないし、でもってフレイザー…、もうさ、言うこと無いよ、ホントに。そのまま音の波にユラユラと飲まれていたい気分。そんで最後…オリジナル盤ではね、最後なんだよ。その「The Hunter」さ。レッド・ツェッペリンのファーストアルバムでも「How Many More Times」と共に収録されていたんだけど、フリーはフリーでこれをやっていたっていう…ルーツが似たようなモノだしどちらもブルーズに影響を受けまくっていた時代の人達だからこそ被るんだろうね。フリーのハンターはかなりモダンな感じでかっちょいいのだ。ポール・ロジャースとコゾフのタイミングが絶妙でさ、ま、やっぱコゾフの気合い入りまくりのプレイが圧巻なのが一番だよな。こういうライブを目の前で見たらほんとチビってるよ。多分この頃のリスナーってまだ鍛えられてないからこんな凄い演奏とか聴かせられたらどうやってノッて良いかわからなくて困ったんじゃないかな…だから昔の映像とか見ると一人で踊りまくってるヤツとかいるんだろうな、って思う。話逸れた(笑)。
いや~、ボーナストラックとかまで書こうと思ったけど長くなりすぎるので止めた。蛇足で付け加えておくとさ、「Songs of Yesterday」でもいいしコゾフの「Blue Soul」ってのでも良いけど「Crossroad」やってるの聴いてみてよ。そう、あの「Crossroad」のフリーバージョンさ。丁度「Free Live!」の録音時期にやったのがあって、それが凄いフリーなんだよ、マジに。クリームよりかっこいいと思うもん。熱い時期はホントに凄かった。短かったけど凄かった。そんな時に日本に来てるもんだから余計に凄さが伝説になってる。あ、二回目の来日公演はちょっと後回しね(笑)。どちらにしても見れた人が羨ましい…。
- 関連記事
-
- Paul Rodgers - Live In Japan 1993
- Free - Free Live!
- Paul Kossoff & Randy Rhoads - Tribute