The Clash - Sandinista!



単細胞で血気盛んなパンクを気取る若者達にレゲエやダブミュージックという音楽手法を用いて激しいだけがパンク=反抗ロックじゃないんだということを徹底的に教育してしまったザ・クラッシュの功績はあまりにも偉大だ。1976年から77年にかけてのパンクムーヴメントの中でいち早く音楽的な成長を遂げ、且つ従来からのパンクスの支持を失うことなく上記のような教育を施してしまったワケだから彼等は世界を変えたと云っても過言ではないはず。現代に於けるパンクスの定義の中にはしっかりとスカ・パンクやらダブ・パンクなんてのが入り込んでいて、レゲエとパンクの出会いは当たり前のように行われている。どれもこれもザ・クラッシュの偉大な功績。
自分がザ・クラッシュを聴き始めてからもう20年近く経つが、彼等がやってることの意味が分かるのに15年はかかってると思う。言い方を変えると「London Calling」や「Sandinista!」という作品を理解するのに15年はかかったと云うことだね。もちろん初期衝動に通じる曲は最初から好きだったけどアルバム全部が好きかと問われればそうではなかった。やっぱりファーストやセカンドの方が好きだったし。今回取り上げたアルバム「Sandinista!」に至っては何でこんなつまらない冗長な曲ばかりたくさん入ってるんだろう?それで3枚組のレコードなんて面白くもなんともないぜ、ってな調子だったし。ホント15年かけてコトある毎に「London Calling」や「Sandinista!」を聴き直して聴き直してようやくなんとか彼等がやっていた音楽を好きになることが出来てきた。たかがイギリスの労働階級の若者が勢いに任せて作ったバンドのたった4~5年の変化についていくのにこっちは15年だ。何てこった(笑)。そんなに振り回さなくたっていいじゃないか、ジョーと云いたくなるよな、全く(笑)。
冗談はさておき、見事にパンク的ロックンロールとレゲエ、ダブに感化されまくった曲が多数同居した作品となった「Sandinista!」はCDになってからようやく聴きやすくなってきたって云う感じ。ロック的な曲を一枚にまとめて、その他を一枚にまとめて聴いてみると全く別のバンドのように聞こえてくるくらいだから面白い。そしてそうやって聴いた時、そのどちらもがかなりのクォリティで作られた作品と云うことに気付くだろう。もちろん冗談みたいに作った曲もあるので、それがハイクォリティとは云わないけど(笑)、それでも並べ直して聴くと納得感あるよ。…とは云え後半はそのままに近いけどね♪ミックスで携わっているジャマイカンプロデューサー業のマイキー・ドレッドによる影響は大きいし、でもそれが当時のクラッシュを面白い方向に導いているし、今考えれば正解だったよな、って思える。90年代後半になってからのジョーの作る曲を聴いていてもダブサウンドが中心になっているので、彼にとってのライフミュージックの基盤を築き上げた時期なんじゃないかな。そういうのを知ってようやく理解できた憎たらしい作品♪何てったってその後のジョーのメスカレロスってバンドの要でもあるタイモン・ドッグがこのアルバムで既に曲の提供及びボーカルまでやってるワケだからそりゃルーツにもなるわな。
しかし…、やっぱ不器用なバンドだよな、ザ・クラッシュってのはさ。そう思うよ。でもかっこいい、それがロック。いいね。
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