Scorpions - Virgin Killer

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Scorpions - Virgin Killer (1977)
狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー

 今思えば大いに誤解したまま聴かなかったバンドなんてのは山のようにある。だからこそこうして聞き直す機会を自分で作って聞いているってのは面白いワケで、昔の感性なんてのは昔のものであって、自分の本質なのかもしれないけど学習した後の自分の耳ってのもまたあるから今聞いてみてどうなんだ?ってのはアリだし、ってかそれしか書けないし、そういうの含めると大いに誤解したままのバンドはまだたくさんある。バンド名や何かの印象が残っているから聴かないままのバンドも多いしね。自分的にはポール・マッカートニーが代表的なもので、顔がキライだから聴かないというスタンスだったり(笑)。そこまでは言わなくてもトッド・ラングレンなんかも掴み所ないからあまり聞いてない…けどちょっと気にはしているここ最近、とか。古いロックでもまだまだあるんだよね。そこに新しいのも入ってくるからキリがない。別に全制覇してもしょうがないから好きなのを聴くだけで人生終わるだろうし、それでいいんじゃない?

 1977年にリリースされたドイツの王道と言えばスコーピオンズの4枚目の作品にして傑作、更に問題作でもある「Virgin Killer」、問題なのはジャケットだけだが、昔は普通に店でもどこでも置いてあってスゲェジャケットだ…と子供心に思ってたもんな。たまたまレコード屋でそれをレジに持っていくお兄ちゃんがいてさ、やっぱりどこか奇異の目で見ていた気がする(笑)。だからジャケットはもう圧倒的なインパクトを放っていて…、ちょっとするとアメリカ制覇した「Love at First Sting」が売れまくっててスコーピオンズってのはそっちの印象になったけど、後にあの強烈なジャケットがスコーピオンズだ、ってのを知って随分と妙な気分になったものだ。ウリ・ロートの名前も知ってたけど、なんか仙人みたいな人でこんなに凄いメロディの泣きのギターを弾きまくる人なんて知らなかったから驚いた驚いた「Virgin Killer」は。どころかスコーピオンズの音としても後追い世代としては驚いた。何と言うのか…どこにも属せない独特の演歌世界メタルで、さらにこんだけギターをクローズアップしたアルバムに仕上がってて演歌色が強く、クラウス・マイネの圧倒的な歌声がアルバムを支配する…正にウリ・ロートとクラウス・マイネのためのアルバムだけど名盤…名盤だろうと思う。それでいて結構キャッチーで覚えやすいしね。

 面白い。ドイツらしい、ってのはこういう部分だろうと思うが、ルーツが見えないんですな。ブルースに根付いていないのは確かだし、かと言ってクラシックかと言うほどでもない。英米のロックを聞いて育った世代が楽器を手にしてドイツ人独特の感性を踏まえながらハードロック的なのをやってたらこうなった、的な音でしかなく、それこそがスコーピオンズのスタイル。U.F.Oでのマイケル・シェンカーのギタースタイルが異質なのも同じ理由だろう。ただスコーピオンズの場合はもっと顕著にバンドとして音が出てくるからホントに後ろがよく見えない、ある意味とってもオリジナリティの高いサウンドでユニーク。日本人ならまだこの音出せるかもしれないが他の外国人にはこのニュアンス出せないだろうなぁと親近感沸くのもあるか(笑)。しかし…アメリカ盤の…今のアルバムジャケットのメンバーのダサさと言ったらさすがに70年代。メタルバンドはジャケットに顔出しちゃイカンよな(笑)。

狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー
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フレ
Posted byフレ

Comments 5

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kazz_asai  
蠍に魅せられて

スコーピオンズは1stも日本盤リリースされていたらしいのですが、もちろんその時は知りませんでした。
1975年にRCAから3rd「In Trance」が出た時はすでに再デビューだったのですね。だから邦題も「復讐の蠍団」でした。
ちょうど英国HRやHR新御三家に夢中だった頃ですから躊躇せず買いましたが、その内容たるやDeep PurpleとBlack Sabbath両巨頭に心酔していた、当時の私にとっては理想ともいうべき音でした。猛り狂いながら暗黒世界を紡ぐウルリッヒ・ロートのG、哀愁、いな慟哭というにふさわしい旋律、それは冥府への櫂歌。
そして待ち望んだ次作は、3rdをはるかに上回る完璧な作品でした。「Pictured Life」の号泣のGが流れた瞬間に、すでにその甘美な呪縛から逃れることはできません。タイトル曲のスピード感もこの当時最強だと思いますし、「Polar Nights」の狂気に満ちた挽歌に至ってはもはや言葉を失います。そしてラスト、絶望の深淵へと聴き手を突き放す「Yellow Raven」の美しさ。
背徳のアートワークも、この作品の蠱惑的呪術には不可欠のものであったと言えましょう(それ以外の形而下的印象もあったことは言うまでもありません)
もちろん完全無欠と呼べる内容ではありません。捨て曲もあります。しかしこの時代のスコーピオンズは70年代前半のBlack Sabbath同様にあくまでも暗く、重い。私にとって魂の故郷なのです。

2013/12/06 (Fri) 21:50 | EDIT | REPLY |   
デューク中島  
××の蠍団

ってタイトルの連続は、やや不満でしたが、ウリ ロート在籍時のスコーピオンズは、良いですね。特に これは名盤です。前にもコメント入れさせてもらいましたが、ロンサム クロウは、テイチクから リアルタイムで出ていて、買いましたが、ズッコケて手放しました(笑)。当時、ウリ ロートの使用していたエフェクターの写真を見たら 日本のアマチュアが使ってるようなモノばかりで 意外でした。

2013/12/06 (Fri) 23:33 | EDIT | REPLY |   
フレ  
蠍団…

>kazz_asaiさん
入りが良かった時代なんですねぇ、羨ましいです。号泣のGってのはハマりますからねぇ、自分はその辺マイケル・シェンカーだったんですが、なんかそのハマり方、わかります。

>デューク中島さん
その時代ではそれほど騒がれるバンドじゃなかったんでしょうね。でもしっかり聴いてるってのはやっぱ何かが後押ししたってことでしょうか。ウリのエフェクター…BOSSばかりなんだろうか??

2013/12/08 (Sun) 19:22 | EDIT | REPLY |   
ひで  

リリース当時、あの鴨川つばめさんが「マカロニほうれん荘」の単行本のコメント欄(表紙の折り返し部分)で絶賛してましたね。
あと相原コージとかw
音よりジャケットが強烈で当時はそればかり語られていたような…
仰る通り、ルーツが見えないですよね。英米のロックとは全然違うバックボーンがあって、独特と言うか。個性的だと思います。

2013/12/10 (Tue) 13:37 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>ひでさん

漫画家さんってロック好き多かったのかな。青池保子はひたすら楽しんでましたが…。

2013/12/13 (Fri) 22:02 | EDIT | REPLY |   

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