Kate Bush - Whole Story

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Kate Bush - Whole Story (1986)
Whole Story

 アーティスト=芸術家、ミュージシャン=音楽家として捉えている。ロックの場合はそのどちらもの才能が必要とされることも多くて度を超えるとそれはコメディアンになるのだが(笑)、概ね、ミュージシャンという枠組みに当て嵌まるのだろうと思う。ライブなどが強烈な場合はパフォーマーになるが、ミュージシャンの範囲内だと思ってるのでそれはともかく、アーティストという部分だな、ヘンなのは。ヘン、ってのはさ、表現手法が突出しているというか個性的と言うか、あまりにも普通を演じることでアーティストになっている人もいるのだろうが、先日のルネッサンスなんかは明らかにミュージシャンだから良いけどさ〜とか。

 大好きなケイト・ブッシュ。今回はベスト盤「Whole Story」なんてのを…。明らかに誰がどう見てもどう聴いてもヘン、であるワケでして、アーティストなんだよね、この人は。元々パントマイムやバレエをやってたからって事が大きく影響しているから、それを含めた自己表現力があったっていうお話。ところが本人が作り上げる音楽も完全に音楽家のそれではなくってアーティストの作り方、音楽だろう。そこに歌詞による英国的なお話が創作されているという正に芸術家の領域で活躍する人。その分精神的な疲労が激しいってのはよく分かるお話になる。だから「Dreaming」なワケか、納得(笑)。

 ベスト盤と位置付けられている「Whole Story」だけど初っ端の鮮烈な一曲「嵐が丘」はボーカルが再録されていることでわかるようにファースト・アルバム「The Kick Inside」の同曲と比べるとかなり洗練されたアーティストな歌になっていることに気づくワケでして、ここでの収録はやっぱり本人ももっと表現力の溢れた歌にしたかったんだろう、それが出来る時期に来ているからという再録だったんだろうと邪推。アーティストは常に変化を求めるからアルバムにしても何にしても作る時間があり続ける限り作り直し続けるらしい。その偏執狂的側面が顕著に出ているのがケイト・ブッシュの場合は「Director's Cut」というアルバムで、再録だけで出来上がっているアルバム…やり直したかったんだもん、ってお話。それができちゃうのもさすがだが(笑)。

 「Whole Story」はね、各アルバムを跨いだケイト・ブッシュ・ワールドが楽しめるからベスト盤だけどアルバムとしての統一感に優れた作品だと思う。今の時代ならiTunesで曲並べなおせば?みたいな話かもしれないけどこの統一感は好きだな。ついでに当時はビデオクリップ集も出ていて、今じゃYouTubeでそのまま見れるんだが、どうよ、このアーティスト具合。どこかヒプノシスに似た世界が見えるのは英国のアーティスティックな世界観だから?何か現実世界から切り離れた浮遊した世界を楽しめるのがケイト・ブッシュを好むトコロだろうか、ロックの歴史が長くなれどここまでの傑出したアーティストはもう出てこないだろう。正に愛すべき変人♪










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フレ
Posted byフレ

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