Angel - Angel

時代が流れて古き良きものや当時は斬新過ぎて理解されにくかったバンドなんかが評価されるようになってきて、それは結果論としてCDの再発や発掘などでリスナーたちが目ざとく見つけて再評価されているものが多いと思う。一方では当時それなりに人気があったけど全く今じゃ相手にされない懐メロバンド的に語られる程度にしかならないってのもあって、その差ってのはなかなか微妙なラインなんだろうなぁと。アメリカのバンドは特にその扱いがはっきりしていると思うし、自分的には後追いのものはほとんど追ってないというくらいに知らない…、そこまで魅力なかったんだよな。だからエンジェルもほとんど知らずに過ごしてきてバンド仲間に聴かされてその面白さは堪能したのだが長々と何度も聴いてはいないから、やっぱりそんなもんなんだろう。キッスからそんなエンジェルを思い出したのでふとファーストアルバム「Angel」なんてのを…。
1975年にリリースされた記念すべきファーストアルバム「Angel」は商売上手なジーン・シモンズによりシーンに仕掛けられたバンドの音で、イメージから音まで当時では売れるだろうという要素を備えたバンドであったようだ。そしてしっかりと音楽性にしてもかなりプログレッシブで面白いハードロックでもあり、ジェフリアの鍵盤が荘厳さを奏でていることで気品もあったし湿っぽい音を出しているから英国ロックファンは受け入れられたんじゃないだろうかとも思う。今回聴いていて、最初の方の流れはかなり革新的斬新的な音世界で素晴らしいな〜と思うばかりだったもん。でも、何かが欠けているのは事実だな。いいんだよ、それでも、そういうの好きだから(笑)。ところが何度も聴こうと思うほどの魅力に欠けているんだなぁ…、何でだろ?ま、いいか。
「Angel」というデビュー・アルバムで大物ぶりを示したエンジェル…大物ぶりってのはやっぱり楽曲の練り具合とアレンジか。クイーンの二番煎じ的な気品が大きいが、時代はもうそういうのを求めていなかった…、ラモーンズが地下で腕をふるい、ピストルズが産声をあげようとしていた時代にゴージャスなバンドは用済みだったワケだ。そんな時代の不運さも手伝ってはいたが、全てがミクスチャーになっている時代になって並列に聴いてみればそれはそれはかなりのクォリティで楽しませてくれるバンドだ。ちょっと違うけどボストンやカンサス、スティクスってのはこのヘンが洗練された音でもあるな、と。それにしてもジーン・シモンズの耳は確かだった、ってこと。
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