Purson - Circle & the Blue Door

音楽は常に進化して時代に迎合されるほんの僅かなモノだけが商品として市場にバラ撒かれていく。ところが人の嗜好は面白いもので、決してそれだけが受け入れられるワケでもなく必ずバラバラな嗜好性の元に多様なバンド、アルバムがシーンに登場し、今では旧譜も新譜も一括りに2次元的な画面からチョイス出来る時代。だからこそニッチであろうがある程度の市場性が見込める音楽というのは多分どんなものでチャンスはある気がする。但し単なるリバイバルものやオリジナリティがないアルバムなんてのはやはり淘汰されていってしまうので、時代に合った、もしくは時代を超越したサウンドを奏でられるバンドはやはり生き残るし好まれる。堅苦しい事書いてるけどさ、今日聴いたPursonという大英帝国のバンドが正にそんな事を思わせる素晴らしいサウンドだったからだ。ウチのブログを覗いてくれているリスナーのほぼ全てが気に入ってくれるんじゃないだろうか?
Pursonのデビュー・アルバム「Circle & the Blue Door」だが、一言で言うならば70年代大英帝国のメジャーではないロックの良いトコ取りの大いなるアングラ臭のする作品。大げさに名前を挙げて褒め称えるならば、メロウ・キャンドルのような繊細な天使の歌声が流れる中、キング・クリムゾンの「風に語りて」のような雰囲気を併せ持ち、更にメロトロンが哀愁を漂わせ、トラッドフォークの色合いを持たせながらもどこかポップな側面を持ち得た、そんな素晴らしいアルバム。効果音や細部にまでこだわりが詰め込まれていてPursonをハードロックと称するレベルのバンドに陥れてはいけない。ハードロック色はもちろんあるけど、それはLed Zeppelinがハードロックバンドだ、と言うのと同じ愚かさであるとも云えよう。多様性でバラバラな音楽ならばそこまで言うまい、だが多様性に富み、更にPursonというバンドのオリジナリティで統一された作品で、果たしてこれ以上の作品が今後彼ら自身は出せるのだろうか?そう懸念してしまうくらいにプログレッシブでハードロックでメロウなトラッドフォークでポップスかもしれない。さすがに大英帝国、こういう半端ないバンドを定期的に輩出してくれるところが奥深い。英国ロックファンで良かった~って思う次第。
ボーカルのロザリー嬢が70年代ロックが好きらしく、現代的な器材を一切感じさせないレコーディングにもこだわり、サウンドもその系統の音にこだわってはいるものの、モチーフにしているのがいわゆる英国B級ロックの世界という珍しいパターン。多数のロックを聞いてきたけど、そういうモチーフで出て来たバンドは皆無だし聴いたことない。例えばメロウ・キャンドルに影響を受けたバンド、なんてのは聴いたこと無いしさ、そういう意味でスゲェ深いな~と。んで、そんな事知らなくても聞いてみればわかるこの憂いさと言うか艶めかしさっつうかね、あの雰囲気がしっかり出ているワケ。メロトロンをこういう感じで使うバンドはあるけど、Pursonもかなり使い方が上手い。何度も何度も聴きたくなるアルバムの作りと音の作りは正に英国風。これは英国以外にはなかなか出せない味付けだろう。敢えて希望を言うなら、ちょっとだけとんがった作品があっても良かったかな~ってくらい。現代のバンドの何処にも属せない唯一無二の英国B級バンド…いや、現代的にはキチンと何作か作ってほしい。
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