Kate Bush - The Dreaming


 音楽を聴いていて初めて狂気を感じた作品と云えばケイト・ブッシュの「The Dreaming」だな。偏執狂とも云えるんだけどざ、とにかく何かが宿っている作品であることには間違いない。1982年発表というから割と新し目のアルバムではあるんだけど正に全身全霊を捧げて制作したようで、4作目にして金字塔を打ち立てたワケだ。このアルバム発表後精神病院に入院したというまことしやかなウワサが流されたのも頷けるくらいの完璧な出来映え。

 技術的な側面でも当時の24トラックレコーダーを3台シンクロさせたアナログ72トラックを実現、そのうち26トラックがボーカルトラックに使用されたらしいが…、まぁ、そんなことよりも聴いてみればわかるんだけど効果音やら楽器音やら歌声やらを含めてもステレオの高性能をフルに使っているとも云えるくらいに空間のアチコチに音が飛び交っていて、是非ともSACDでもDVD-Aでもいいけど5.1chサラウンドあたりでリミックスリマスタリングされたものを聴いてみたいものだ。シド・バレットのような自然な狂気とは全く異なる作り込まれた狂気の美しさの方が聴いている側の気が狂いやすいかもしれない。う〜ん、このアルバムには狂わされてもいいかな、って思わせるところもまた怖いんだが(笑)。

 歌詞についても相当独自の世界観を醸し出していて、普通に和訳の歌詞カード読んでるくらいじゃワケ分からない事ばかりだし、そこはネットで細かくその真意を伝えているところでも探して読んでみると良いかも。かなり英国的な書かれ方されているらしい。ちなみに二作目の「Lion Heart」での「おぉイングランド、私のライオンハート」というフレージングが凄く英国的で好きなんです。…それはそれとして(笑)、この「The Dreaming」、ジャケットのケイトからしてかなりイッてるでしょ?中味はホントにね、一曲づつ語るのがアホらしいくらいに多重人格を演じているのかそのままなのか、歌声だけでも何種類も使い分けているし、そのバックで流れているサウンドは実に凝っていってほとんどクラッシックか劇場音楽の世界で、これをロックと呼ぶのかどうかも実は疑問なんだよな。アヴァンギャルドミュージックだもん。いわゆるバンドの音ではなくって、ケイトの描きたい世界が見事に描かれているので普通のポップ音楽なんかとは完璧に異なるのだが、なぜかその世界での名盤として云われることが多い。これはこれで独立した世界だよね。前作「魔物語」まではまだロックの世界かなぁという感じはしてたんだけどさ。

 そういえばケイトってデヴィッド・ギルモアが発掘してきた秘蔵っ子だったんだよね。確か1973年頃には一度ギルモアの自宅スタジオで「Passing Through Air」とかをレコーディングしているってことなので…、ん?確かフロイドの「狂気」が1973年の3月にリリースされているから、その後の夏なんだ…なるほど。好き嫌いは別としてもっともギルモアの才能が満ち溢れている時代に引っ掛かったワケか…、納得。

 今となってみれば結局彼女は別に狂気に犯されていたワケではなくって普通のママさんをしているらしいので、ちょっと安心と幻滅。こないだの新作「Aerial」でもやっぱりケイト節全開だったのでまだまだ美しき才能は果てしなく堪能できそうだね。

Comment

[1771]

リアルタイムで好きになったのが、
魔物語で、大のお気に入りは、
バブーシュカ とヴァイオリン
でした。
最近久しく聴いていないので、
聴いてみようっと!(笑)
この人の唄は癖になります♪

[1774] こんにちわ。

Kate BushってThe Kick Insideしか聴いたこと無かったのですが、「The Dreaming」に挑戦したいと思います。
記事を読むと、このタイトルもなるほどと思っちゃいました。

いつも記事を拝見させていただいていますが、造詣の深さに感服しています。また勉強しに寄らせていただきます。

[1775]

やっぱし一般的には「さんまの空騒ぎ」でしょうかね。。。
「バブーシュカ」なんかよく聴きましたぉ。そうですよね。ギルモアの秘蔵っ子でしたね。たまにこういうつくり込んだ曲を聴くのもいいですよね。

[1776]

トラバありがとうございます。本当にケイトさんの歌詞の深さには驚かされました。一曲調べただけなのに(笑)。

[1778] こんにちは

ケイトのCDだと、ハマースミス・オデオンでのライヴがお気に入りです。スタジオ・ヴァージョンよりもアグレッシヴなアレンジが格好良いです。ビデオとセットで販売していたのですが、DVD化してリイシューして欲しいですね。

[1779] こんにちは!

”狂気の美しさ”表現はある意味ぴったりかも、お嬢様育ちの彼女の歌声はまさに魔女のようです。

[1783] おぉ! Kateですね


トラックバックありがとうございます。

まさに"狂気"という言葉がピッタリのアルバムですね。Kate自身も...

でも、こうやって狂気、狂気って言ってしまうと、知らない人が取っ付き難くなるのではないかと、ちょっと心配なのですが(苦笑)

ちなみに自分のブログでも書いていますが、ジャケットはKateの中でも1、2番を争う位に好きです。

[1784] >多数コメント感謝!

>リュウさん
「バブーシュカ とヴァイオリン」ってのわかるなぁ、あの声ですごくキャッチーに歌われるんで、覚えやすいってのありますね。「魔物語」も傑作です♪久々に聴くとやっぱり感激すること間違いなしっ!

>tackさん
是非是非「The Dreaming」に挑戦して下さい。…と云わず初期4枚は全部お薦めです。いつもご来訪ありがとうございます。何かのお役に立っていれば幸いっす、ホント。趣味でやってるので、それでも誰かに役立ってくれれば嬉しいです。

>ムックさん
作り込まれ過ぎたアルバム、でもそれがまた軽快で心地良いってトコでしょうかねぇ。

>mappiさん
いや、あの一曲もやっぱ強烈ですよ、ホント。次の次まで調べないといけないのが大変です(笑)。

>Yamaさん
あ、あのビデオは感動ですね、唯一のまともなライブ映像で、元バレエダンサーというのを前面に出して演劇チックにやってるのが面白いっす。そうですね、DVD出して欲しいところです。

>arikenさん
お嬢様だったんでしょうね、やっぱ。魔女というか天使のような歌声で、それが人を惑わせる、即ち小悪魔的な人っす。ファーストのタイトルっすね♪

>Hiroshi-Kさん
来た来た♪やっぱこの辺だと出てきてくれないと(笑)。
確かに「狂気」ってのが前面に出てしまうと広がりにくいかもしれないですね。非常に良質なそして秀逸な作品、にしときましょう。う〜ん、インパクトない(笑)。ジャケはホント良いですよね。この相方ってどんな男性なんでしょうね?これがギルモアです、とかだと笑えるんだがあり得ない(笑)。

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ケイト・ブッシュ

Profile16歳の時、ピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアに見出され、EMIの目に留まったケイト・ブッシュは、1978年「嵐が丘」によって、19歳という若さでドラマチックなデビューを飾る。1978年に2枚のアルバ

ライオン・ハート (ケイト・ブッシュ)

2006/6/29(木)  今日ラジオで 「40年前の1966年6月29日に、ビートルズが来日した」と報じていた。 私はその9年後の1975年7月9日に『HELP! - 4人はアイドル』 を購入して以来、英国のミュージシャンの音楽を聴く機会が飛躍

The Dreaming / Kate Bush

> The Dreaming / Kate Bush おすすめ度:★★★★☆ おすすめ曲:「Sat In Your Lap」        「There Goes A Tenner」        「Pull Out The Pin」       

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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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11月22日
 最近どういうワケだか時間がある時に見る映画はブラッド・ピットが出ているものばかりだ。もちろんイケメンっつうのもあって作品数が多いんだろうけど、見ていて凄いなぁと思うのはやはりその役者としての巧さ。役柄的には実に多彩な役を演じているので見る映画見る映画でキャラはかなり異なる。狂人からネクラ、爽やかな青年から知的な大人などなど様々。その変幻自在のキャラを巧く活用したファンタジー作「ジョー・ブラックをよろしく」なんてのもこないだ見てしまった。まぁ、あり得ないけどブラピならではの役柄だし、その後「オーシャンズ13」を見ててそのスマートな詐欺師的役割にも巧さを感じた。本来のキャラってどんなのか知らないけど、あそこまで表情とか目の色とか振る舞いなどを変えられる人ってなかなかいないんじゃないかな。だからこそ役者としてもてはやされるんだろうし、才能あるんだろう。なるほどねぇ…、なんだかんだとブラピの映画って結構見てるかも…。
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