Nico - The End

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 1974年7月1日、悪魔の申し子達が一堂に会してとんでもないイベントが行われている。奇跡的にもこのライブはレコードとしてリリースされているのだが、CD時代になりいつかはロングバージョンでのリリースを期待したいと待ち望んでいる作品のひとつでもある。ケヴィン・エアーズ、ニコ、ジョン・ケイル、ブライアン・イーノという主要な面々に加えてオリー・ハルソール、マイク・オールドフィールド、ロバート・ワイアットあたりがサポートを固めている「June 1, 1974」というアルバム。

 で、今回はそのアルバムでもなくって、ニコという変わったアーティストを書いてみたい。シド・バレットから始まりケヴィン・エアーズ、ロバート・ワイアットという英国カンタベリー路線の流れからすると少々異質であり、最も知られているのはもちろんヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストアルバムだろう。この人、実はドイツ人で女優だったんですよね。だからそこかしこで見られる写真には滅茶苦茶キレイなのとすごくアンダーグラウンドな感じのと両方あるワケ。女優時代にはあのアラン・ドロンの子供を産んでいたり、ドアーズのジム・モリソンとも恋人だったり、まあ多様な遍歴を重ねて生きていった人です。音楽的には俗称「地下の水道管」と呼ばれる歌声で、ヴェルヴェッツ以外のソロ作品を聴くと納得すると思うけど、凄い存在感なんだよな。一般的にロックファンが入りやすいのは邪道ではあるけど「(Live) Heroes」というアルバム。何でって、王道カバー曲がたくさん入ってるので聴きやすいし、それでいて全く別のニコの世界をしっかりと出しているのでとっつきやすいかな、って。自分もそういう理由から入ったしね。ドーンとした雰囲気のまま進められるボウイの「Heroes」、正に地下の水道管としか呼べない雰囲気で歌われるジャズスタンダードの名曲「My Funny Valentine」、本家よりも圧倒的な存在感で自分のものにしてしまったとも云える滅茶苦茶雰囲気のあるヴェルヴェッツの「All Tomorrow's Party」、同じくヴェルヴェッツの作品ながら最早誰も超えられない世界に入っている「Femme Fatale」、最後にはこれ以上はないくらいに盛り下がる、徹底的に暗くなる云わずと知れたドアーズの「The End」…。しかしどれもこれもが完全にニコの世界で歌われているので、間違っても明るいアメリカンロックが好きな人は聴けないのだが(笑)、やっぱりこの人はヨーロッパの民族なのだなぁと思うアレンジ。シンセサイザーなんかもあるんだけどそれが全然時代の進歩を感じさせない効果音にしか聞こえてこないから凄いんだよ。ちょっと前のライブアルバムだと「Do or Die」ってのもあって、こっちは「Waiting For The Man」も入ってる。

 スタジオ盤だと、どうかなぁ、ファーストの「Chelsea Girl」がメジャーでもあるけど、個人的にはやっぱり1974年リリースの「The End」かな。いや、どっちもどっちなんだけど、暗さのインパクトで後者。実にたくさん作品がリリースされているので一概に云えないけど、全体的にドーンとした曇り空の元で聴いているようなものが多くてハマるとハマる。そしてどれもこれもがニコでしかあり得ないアルバムに仕上がっているのも面白いな。ヴェルヴェッツよりもソロ作の方が名曲は多い。ま、そりゃそうか(笑)。
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フレ
Posted byフレ

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リュウ  

ニコですね!
The End、持っています。
とことん落ちたいときの必殺アイテム
ルックスと裏腹の暗さが余計に
落ち込みを誘います。
ヴェルヴェッツはヴェルヴェッツとして、ニコ単体なら、自分もソロの方が好きですね。
自分に知っているドイツのイメージはNena以外、暗重い♪
だからこそ、ボウイのベルリン時代
もあると思うのですが・・・。

2006/07/20 (Thu) 22:24 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>リュウさん

落ちたくない時も落ちるからなぁ(笑)。確かにドイツって暗重いってわかる…。硬質なんだよね。ネーナは別、だけど新作聴くとやっぱドイツ。ニコもスペインで最後を迎えたけど、似合わないよなぁ、と勝手な想像。ボウイのベルリンも暗いしなぁ…。納得。

2006/07/21 (Fri) 22:32 | EDIT | REPLY |   

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