Anekdoten - A Time Of Day

70年代の幻想ってもう40年くらい前の話なんだからいい加減…って気がするのもあるが、じゃ、90年代の幻想ってすでに20年以上前になっててだからと言って幻想になるほどのロック感があったかと言われても…となる。90年代に70年代を思うほどに今の時代に90年代を思うのとはロック的にはかなり差がある気がする。やはり70年代は特別な時代だったんだろうと。そりゃま、黎明期から成長期の進化だから最もゴチャゴチャしてて楽しかったみたいな話だしね。ネットの世界でも同じだし、そうやって色々と淘汰されて進化していくものだから比べてはいけないものだ。結果70年代の音を好きな人が多いのはそういう楽しみだろうと。ところがロックの世界ってのは進化と回帰が同居していて90年代にも面白いバンドはもちろん多数出ている、らしい。先日キング・クリムゾンの新作を聴いていて、ふと手が伸びたのはやはりアネクドテン。
2007年作の5枚目ともなる今のところの最新作「A Time Of Day 」だ。オープニングからしてキング・クリムゾンだっけと思うようなイントロにはただただ驚くばかり。そこにメロトロンの郷愁の音色までもが響き渡り何とも心地良い音世界が流れてくる。キング・クリムゾン的な破壊力を持ちつつも綺麗に聴かせる、哀愁漂うメロディが歌やメロトロンやフルートなどで響き渡って親しみを持たせてくれる。このあたりは90年代以降に出て来た新鋭プログレバンド、耽美系バンドの逆影響もあるのかもしれないが、決してキライになれない憂いのある音世界。見事だ。これまでの作品と比べてみればやや大人しく美しくなった感じもあるのだろうが、それだってかなりハードな叙情性を持った作品が並んでいるのでリスナーの好みの範囲ではないかと。
アネクドテンは外すことがない。全てのアルバムで裏切られること無く想像した通りの音が出てくるのと、プラスアルファがそれぞれ散りばめられている。それが多作でない所の統一感にもつながってくるのだろうが、これくらいが良い。丁度最近「A Time Of Day 」のデジタルリマスターバージョンがリリースされたようで、それなりに需要も人気もあるバンドなのだろうと。何かね、こういうの聴いてると落ち着く自分が居るんだよ。生きていくこと自体のストレスをたくさん抱えていく中で、こういう音に身を委ねていると色々なことが発散されていく…、破壊力も包容力もあるからだろうね。あくまでも自分にとっては、だけど(笑)。いいわ…、ちょいとデカい音で聴いてると音の洪水に魅せられます。
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