Black Sabbath - 13

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Black Sabbath - 13:Deluxe Edition
13~デラックス・エディション

 最近のネットは以前ほど面白くない。広告メディアに近くなっているし情報もメジャーなものが多くを占めるようになっていて、昔のようなアングラ臭は当然のことながら淘汰されているからだが、こんだけのメディアになっちゃったらそりゃ当然か。どうにもオフィシャルなものとかニュース系とかCD屋のレビューとかって広告ばかりで結局本当に知りたいことは書かれていなくてやっぱりどこか売るために書かれているものばかり。個人のブログレベルなら適当に書けるけど、今の時代にブログもなかなか減っているし、個人が継続的に情報を発信し続ける事も難しいワケで。となると結局冒頭のように情報統制されたものだけが目に付くようになる。結局広告に踊らされる媒体なのだな。もちろんニッチに入っていけば探せない情報はないくらいに情報量はあるが、森の中を探すようなもので、大抵は目に付く情報で片付けてしまうのが人間の性。まぁ、個人のブログでも何か書いちゃうと潰されたり嫌がらせされたりするんだけど、その分好き勝手書ける事も減ってしまったな〜、ウチも例外じゃないかもしれん。つまらんのは書かない、って選択肢を採ってますが。ま、そんなことはどうでも良くて…、本題。

 Black Sabbath「13」…多分最終作。まだアルバムリリース前だけど先日全曲試聴があったのでひたすら聴いてました。おかげでどこの誰もレビューなんか書いてないから自分だけの感覚で自分で書けるのは良いね。ノイズに左右されないし先入観もない。音と思い入れだけ。その分ピュアな感覚で書けるんで頼もしい。アルバムデビューは確か1970年2月13日(金)だったと思うので、43年経過した今の新作となるのだが、何とも驚くことにその43年前の音と同じ物を出している。聴いて一発目からアルバム中ず〜っとファーストの「Black Sabbath」のイメージを彷彿させたままで聴いていたから新作って感じは全然しない…しないけど知らない曲ばかりで、モノの見事にBlack Sabbathじゃないか、という音を出してくれている。オジーの歌もかなりそのまま、トニー・アイオミのギターはさすがにエッジが立っているけど昔と同じコードとかリフの使い方だから相変わらず不気味進行をしてくれている。ギーザーのベースも後ろノリでグイグイと後ろに引っ張ってくれてて、あぁ、これがサバスだなぁ…としんみり思うワケです。そこにきちんとオジーの歌声だから何ら違和感なく、馴染む。新作なのに明らかにBlack Sabbath。往年のファンも新しいファンもオジーのファンもロニーのファンも喜ぶ音、この上ない。

 凄いよな〜、Black Sabbathっていうバンドの音を自分達がきちんと掌握していて、その個性とオリジナリティを再現しているんだからホントにプロな集団だと感心する。オジーだってBlack Sabbath抜けてソロであんだけ確立してきたのにここにいると単にBlack Sabbathの一員のボーカリストでしかないというハマリ具合。ピッタリと収まってる。そりゃ何十年ぶりだろうと何だろうと再結成してオリジナルやろっか、って話になるわ。更に面白いのは「Age of Reason」かな?アコースティックにエフェクト欠けたオジーの歌声と歌うかのようなベースラインで暗黒に迫ってくる新しい取り組みとも言えるサウンドによるサバス節。これがまた…美しいのだ。暗黒の美学とも言える真骨頂…そして昔のようにアルバムの真ん中にこういう楽曲を配置するのも古くからのリスナーには納得。A面最後だよな、これ、みたいなさ(笑)。更にその仕掛けは続いていてB面最後にはあのファースト「Black Sabbath」のオープニングに続くかのような雷雨と雨音の調べに繋がりBlack Sabbathは無限ループの歴史に入るのだった…。

 文句なし。コイツはとにかく聴け。Black Sabbath「13」だ。過去最高傑作とも言える快心の一枚…そして最終章…。



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フレ
Posted byフレ

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クリタカ  
残念至極

 1980年11月の初来日。既にオジーはおらずシンガーはロニー。あの屈指の名作「Heaven And Hell」編成でのステージを期待していざライヴへ。ところがドッコイ「あの兄ちゃんは誰?ヒゲもないし...」ってもんで、ドラムはヴィニー・アピス。来日直前にビル・ウォードが抜け彼がヘルプでステージを務めたようで、事前の告知はあったらしいのですが、全く知らずガッカリしたのを覚えています。だって相当聴き込んでましたから、明らかにスタイルの異なるドラミングは落胆までとはいいませんが、すごく違和感もって見てました。公演そのものもアイオミの病気(結局食中毒のようでしたが)とやらで、一時間にも満たないで演奏終了。アンコールに応えられるワケもなく、なかば暴動に発展しそうな険悪な雰囲気のままの東京最終公演でした。
 この新作・・・評判も高く、実際の音も驚愕に値する傑作ではないかと思いました。チャートアクションは興味がありませんが、かなり売れるんでしょうね。ギターのリフやソロパートにおける期待を裏切らないプレイは言わずもがなですが、オジーお得意のダブルトラック録音ヴォイスも、ヘタなギミックやトリッキープレイを排除し、ナチュラルディストーションと指の強さだけでアイオミと対峙するギーザーのうねりまくるベース・・・そのどれもが往年のファンも満足できうる素晴らしい内容だと断言できます。
 ただなぁ・・・違うんですよねぇドラムの質感が。あの赤タイツのオヤジ・・・アル中とかパーソナルな問題、若しくは契約上のトラブル?本当の理由は知りません。でもなぜ参加してくれかったのだろうか・・・あのヴィニーがヘルプしたナンチャッテHeaven And Hell編成以上に違和感を覚えます。「Mob Rules」が佳曲揃いにも関わらず不評だったのとどこか符号する部分があるのでしょう、私はむしろビルが一時期であろうと参加してくれた「Born Again」に強くSABBATHを感じましたね。
 この"God Is Dead?"においても、テンポチェンジの時のドラミングなんか「ビルだとこんな風には絶対叩かないよなぁ」などとひとりでブツブツ言ってるのは、全BLACK SABBATH信者の中で私くらいなんだろうなぁ、きっと(笑)。

2013/06/11 (Tue) 11:07 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>クリタカさん

おぉ…、そこに反応するとは筋金入り…。
思い入れの程が自分とは雲泥の差なので大変ありがたいコメント感謝です。

2013/06/13 (Thu) 22:13 | EDIT | REPLY |   
Who?  

最終作とはまだ言い切りたくないですが、オジー、ロニー共に一角の作品を残せたというのは尻すぼみになっていくバンドが多い中で凄いことだと思います。
出来ればトニー・マーティンも呼び戻して…。

2013/06/15 (Sat) 15:46 | EDIT | REPLY |   
kazz_asai  
生命永からんことを

オジー、トニー、ギーザー、ビルの4人がいて、ジャケットは暗いトーン。黒魔術、人類の破滅、心の闇をテーマにした歌詞。ヘヴィなリフを基調とする重々しい曲でありながら、メロディとしては口ずさめるような歌物としての要素もあり、さらに途中でテンポが早くなるなど攻撃的な部分を交えた、全体としてはドラマティックな曲…というのが、私が理想とするBlack Sabbath。
自分で書いていても実にまわりくどいと思いました。申し訳ありません。…要するに「N.I.B」とか「War Pigs」とか「Snowblind」みたいな曲こそ、彼らの最大の魅力であると思うわけです。
それは「Technical Ecstasy」の掉尾を飾った「Dirty Women」以来、生み出されていません。「Junior's Eyes」も「Die Young」も「Mr.Crowly」も「Zero The Hero」も、すべて愛して止まない曲ではありますが、先述の70年代Black Sabbathの再現と成り得るものではありませんでした。
そして今回の「13」、現代を生きるバンドBlack Sabbathに何が求められているかを、メンバーが冷静に見つめて産み出した作品としてかくも品質の高いものは考えられないでしょう。それほど優れた作品であることは確かです。
しかしあくまで私が求めていたのは70年代の幻影であったことを、改めて痛感させられたことも事実です。しかしこの作品は、彼らが歩み続ける限り、「Iron Man」も「Into The Void」もまた生き続けるということを提示してくれただけでも、私にとっては千金の価値があります。
ありがとうオジー、トニー、ギーザー。そしていつの日かビルも元気な姿を見せてくれることを祈っています。

2013/06/16 (Sun) 00:27 | EDIT | REPLY |   
フレ  
チャート1位!

>Who?さん
少なくともリスナーの満足度を上げてくれた近年の作品だと思いますね。嬉しいですよ、これ。

>kazz_asaiさん
お待ちしていました。
さすがに思い入れたっぷりのコメントに感謝です。
70年代の幻影はやはり幻影です…が、これはかなり近い幻を見せてくれたと思いたいですね。

2013/06/17 (Mon) 20:44 | EDIT | REPLY |   

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