Rod Stewart - Time

0 Comments
Rod Stewart - Time (2013)
Time

 既にボーカリストとしての名を馳せているロッド・スチュワートはここ最近、最近どころかしばらくの間やたらとカバーアルバムばかりを発表していて、類まれなる歌の才能を披露して古くからの名曲群を歌うことに専念していた。ライブをやりますと言えば、概ねそれらのカバーをメインに従えて観客の満足を得るか、自身の過去の名曲群を披露することでグレイテストヒッツライブを行うか、のような活動になっていた。皆が皆新作を期待していたワケでもなく、また旧譜の歌い直しでも全然問題なく一線に名を留めていられる程の人なのだからそんな活動もアリだろうと。ところがいつの間にか十数年ぶりの新作登場と言うニュースが囁かれ、さほど期待するでもなくアルバムはリリースされた。

 「Time」と題されたアルバムはそれほど気合の一枚というワケでもなく、極々自然に溢れ出た音が収められた作品のようで、昔の相棒ジム・クリーガンとの邂逅による影響から始められたロッド・スチュワートの溢れ出る才能から生み出された作品ばかり、それがまさかこれほど昔のロッド・スチュワートの音を奏でて来るとは意外な誤算。冒頭のシングル・カット曲「She Makes Me Happy」なんて冒頭のギター音からリールでアイリッシュ、ケルト風味なアコースティックロック調って感じで昔のソロ作は全部そんなんだったんだからついついニヤリとしてしまうリバイバル曲で、これがまた秀逸な出来映えだ。アルバム全編がそんなんだと嬉しいよな〜なんて思って聴いていると、ホントに70年代初頭のロッド・スチュワート的な音が続々と出てくる…そう、Facesをバックに従えたロッド・スチュワートのソロ作郡のようなイメージで、決して米国に渡ってからのロッド・スチュワート時代ではない古い時代の音に近い。これぞ皆がロッド・スチュワートに求めていた音なんじゃないだろうか?と思うくらいの作品集だ。アメリカに渡ってからのスーパースター、ロッド・スチュワートではなく初々しい時代ね。

 さすがに様々な歌を歌って鍛えた歌唱力はアチコチに反映されているようだが、相変わらずの熱唱ぶり、そりゃ高音がちょいと出なくなってるとかカスれ具合が昔よりもリアルになったとかあるけどさ(笑)、味ですよ、これは。昔と同じ音ではあるもののそこは鍛えられていて大衆性は高いし聴きやすいんで、これまでのロッド・スチュワートの全アルバムの中でもかなり良質な部類に入る集大成的なアルバムになったんじゃないだろうか。ケルトテイストのロックあり、クサいバラードも当然あり、軽快なルーツ・ミュージックもあり、素晴らしい作品集としか言えない王道中の王道。Renaissanceと共に古き良き新作として楽しめる一枚になるね。








関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply