Kevin Ayers - Joy Of A Toy

6 Comments
Joy of a Toy Shooting at the Moon Bananamour
 正常な世界の人間にもシド・バレットの感性と共感できる人物が身近に存在していたことは非常に希有なことかもしれないが、その音楽性を今になって聴いてみれば妙に納得できてしまう。やはり類は友を呼ぶと云うか英国は広いと云うか…。60年代末期のUFOクラブに集結していた面々の中でも傑出していた存在のソフトマシーンから音楽性の違いで脱退していたケヴィン・エアーズとシド・バレットのバンド結成は今や幻で終わってしまったが、その断片がケヴィン・エアーズの「Joy of a Toy」のリマスター再発盤のボーナストラックとして「レリジアス・エクスペリエンス(朝に歌えば)(シド・バレット・セッション)」として収録されているので、こいつも聴き所。

 で、ケヴィン・エアーズの作品だが恐らく全く性格的には異なるハッピー主義のヒッピーであるケヴィンの音楽性と狂気の縁に追いやられているとイメージされているシド・バレットの音楽性に実に共通点が多く、なるほど一緒にやることにした理由もわかる。ケヴィン・エアーズも初期ソフツの中では煌びやかなポップ性を醸し出していたが、それを更に強調したかのような作品が「Joy of a Toy」で黄色いアルバム。オープニングは「Joy Of A Toy Continued」。「Continued」の意味はソフツのファーストアルバムに「Joy Of A Toy」(もちろんケヴィン作)が収録されているからだと思われるが、う~む、まったく楽曲的に共通性がないというか、あまり根拠も意味もないような気もするのだが…。いずれにしてもケヴィンのソロ作の冒頭を飾るこの曲こそケヴィンのポップさを語るに相応しい名曲。誰でも口ずさめる「ら~ら~、らららら、ら~ら~ら~。」ってのが良い。丁度シドのアルバムでの曲名が不思議なものが多かったのと同じようにこの人の作品も妙なのが多い。「ぶらんこの少女」とかさ。これもねぇ、ソフツの面々がバックで演奏してると思うんだけどやっぱそれらしくてカンタベリーなんだろうな。あ、中ジャケにね、少女ではないんだけどブランコに乗った女性の写真とケヴィンがギター弾いてるモノクロ写真があるんだけどさ、コレってやっぱ女性は「レディ・レイチェル」の「歓びのオモチャ」なんだろうか?深そうだよな、こういう見方するとさ。他にも同時代のヴェルヴェッツの音楽性ともリンクしてしまう曲調の「狂気の歌」とか傑作「汽車を止めろ」とか…この曲、聴いてると何かホントに汽車が走っているかのような疾走感があって見事に音で世界を表現しているのに驚くよ。途中からの脱却具合も見事見事で笑っちゃうくらいに最高。しかし「エリナーを食べたケーキ」ってどんなん??でもね、聴いてるとそういう曲調なんだよ、こういうセンスってシドに相通じる部分、あると思うんだよな。そしてその「レディ・レイチェル」は重いメッセージをきっちりと伝えようとしているのか、ケヴィン独特の不協和音と反復メロディが世界を創り出していて、その気持ち悪さが心地良い…ってわかるかなぁ、面白いんだよ、効果音や和音の使い方が普通じゃない。この辺から単に脳天気なだけではない、どちらかというとシリアスなサウンドが前面に出てくるんだけど「オレ・オレ…」なんてのは相当実験的で興味深い…こういうのをこのポップな作品の中に織り交ぜてしまうところもセンス。オリジナルアルバムの最後の曲はアコギで掻き鳴らされる「この狂おしき時」。う~ん、シド的な作品。

 やっぱりケヴィンならではの意欲作となったファーストアルバムなんだけど、次作「Shooting at the Moon」でも名曲「May I」があるので外せないし、以降はやっぱり多種多様な楽曲を手がけていくことになるけどこの辺の初期作品は何でもありだから面白さが倍増だね。ジャケットもさすがなものでしっかりしてるし。永遠のヒッピー、まだまだ日本に来てライブで楽しませてほしいね。

関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 6

There are no comments yet.
papini  
これはシド繋がりで買った(笑

うん、シドの名前で買ったら
面白くって、ちょっと聴いてた。
「朝に唄えば」を目当てに買ったのに
「汽車を止めろ!」とか「オレオレ・・・」
とかすごいな、って思うより
単純におもしろい、って聴いてたなぁ。

不思議なタイトルもまた、思いっきりそそられたし。
ちょっと引っぱり出して聴いてみようっと♪

2006/07/16 (Sun) 23:28 | EDIT | REPLY |   
V.J.  

もうね、everさまとかが見たら怒られそうだけど、K.エアーズの方が圧倒的に好きです♪
当時のサイケ系人脈の中で群を抜いてユーモアがあって、自由で、はなからこっちの世界に折り合いを付けようなんて思ってないから、壊れずにやってこれている凄いお方だと思ってます。

ヤツが抜けてからのSOFTSなんてクズだ。位に思ってますから。僕は。

とっても残念なのは、この前来日した時、チケを取ったにもかかわらず…

へんに大御所にならずに、これからもフリーな生き方をして欲しいです。

2006/07/17 (Mon) 22:36 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>コメント感謝!

>papini嬢
うん、面白いんだよ。深いこと考えずに英国的ユーモアそのままが音楽で楽しめる人♪ジャケットも良いし、こういうのわかってくると英国音楽が面白くなるんだよな。

>V.J.さん
はは♪別に怒られるこたないでしょ、好みなんだから(笑)。うん、でも的を得た表現はさすがですね。はなからこっちの世界に折り合い付けようなんて思ってないから壊れないって、確かにその通り!だから平気なんだ、って自分のことを鑑みて思った(笑)。そうだよな、ど~せ誰もわからねぇんだから好きにやりゃいいさ、って♪うん、良いスタンス。そのままだもんな…。さうがV.J.氏、達観してる!…ん?K・エアーズが、か(笑)。しかしチケット取って行けなかったんですか…勿体ないけどしょうがなかったんでしょうねぇ…。まぁ、いつまでも適当に生きているのでまた会える時が来るでしょうっ!

2006/07/18 (Tue) 00:03 | EDIT | REPLY |   
フレ  
P.S.

さっき気付いたけど前にも同じアルバム書いてるんだ、俺。忘れてた(笑)。

2006/07/18 (Tue) 23:31 | EDIT | REPLY |   
knyacki  
Carribean Moonはいかが?

フレさんはジャンルが広いですね。Ayers信者なんだけど、やっぱり元Softsの呪縛があるみたいで、それが一般的な評価を下げてしまってるようです。W.フラワーズからsoftsの1stとそれ以降のsoftsはまるで別物ですからねぇ。能天気なハッピーソング「Carribean Moon」が私の大のお気に入りです。オリジナルのSingleにLP盤、bootlegやら再販CDを集め、1988-2004の東京公演も全部見ちゃいました。

2009/02/28 (Sat) 13:11 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>knyackiさん

エアーズ信者とは!この人の音楽歴はかなり不思議ですよね。脳天気なハッピーソングはいくつかあるみたいで、どことなくフワフワした浮游感が好きです。

2009/03/04 (Wed) 08:48 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply

Trackbacks 2

Click to send a trackback(FC2 User)
この記事へのトラックバック
  •  21日、23日。
  • 8月21(月) ミーハーな、BEATLESファンな私 左)BEATLESの来日時、30日の日に着ていたジャケ。欲しいなぁ・・・ 10時~の、プレミアム10「ビートルズ来日103時間」というのを観てた。NHKも40周年のBEATLESに、凄い力入れてるみたいだなぁ。三島由紀夫や
  • 2006.08.28 (Mon) 21:13 | goo goo g'joobな散文日記
この記事へのトラックバック
  •  Kevin Ayers / Joy Of A Toy
  • 最初期Soft Machineのメンバー、にも関わらずツアーに疲れちゃったからバンドを離脱→イビザ島へ逃避行、なんていう素敵なエピソードに事欠かないK.Ayersの初ソロ作。
  • 2007.08.21 (Tue) 00:08 | Fractalism