Syd Barrett - Shine On You Crazy Diamond

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帽子が笑う不気味に その名はバレット オペル


 2006年7月7日死去。ピンク・フロイド伝説から40年経過してようやく肉体の崩壊が訪れたようだ。そのニュースは7月12日に世界中に流れ、ブログ界では山のような賛辞と賞賛、そして追悼のメッセージが飛び交っている。

 シド・バレット

 世間一般的な面について語る気は毛頭無い。が、やはり向こう側の住人だった人間の作る音楽は一見普通よりも普通に聴けてしまうもので、しかし紙一重の差で狂気が宿っていることは聴いているとわかるものだ。まずジャケット…当時のシドの部屋で撮影されたようだが、ヒプノシスが到着するとシドが床をオレンジと紫のストライプに塗り分けて待っていたと云う。

 …狂気。

 歌詞の世界には手を出していないが、多分まともではないのだろう。しかし60年代サイケデリックムーヴメント時のバンドであればこのような歌詞は乱発されていたのではないだろうか、もちろん独創性はあるがそれだけではないだろう。やはりアコギの音で聴かれる狂気に畏怖の念を覚える。後に英国からコーマスと云うバンドが生まれるのだが、このバンドの狂気も相当のもので、アコギなのだ。アコギの狂気は恐ろしい。そしてもちろんのことながら歌声。いや、ごくごく自然でさらりと呟いているような歌なのでいわゆるサイケフォークの世界だが、やはり狂気。

 何なのだろう?

 そう思うことが多くて怖くて何度も聴かなかった。思い入れはあまりない。だが、恐れ多い作品で今でも制覇できていないアルバム「帽子が笑う不気味に」。今久しぶりにきちんと聴き直しているが、やはり妙な気分になる作品。ソフトマシーンの面々が参加している「No Good Trying」「Love You」あたりはそういう聴き方で聴けるからまだサイケ調に聴いていけるが…、他はシドのアコギにギルモアやロジャーがバックを乗せていった録音方法と聞く。ロジャーが降りるワケだ。しかしソフツの、特にロバート・ワイアットのドラミングは絶品。

 他人事ではなく自分たちの周りに狂気に追いやられていった人を見たことがあるだろうか?幸か不幸か見たことがある。きっかけは些細なことだったりするが、もちろんシドがどの程度の狂気に追いやられたのかはわからない。音楽を捨てるってのは別に狂気だからというものでもない。表現手段としてもう終わってしまっただけということもある。そして単にドラッグで廃人=やる気のない人間になっただけという捉え方もできて、というか現実的で一瞬だけ光り輝いた人生の反動なのかもしれない。

 …不明

 狂気に追いやられる人種を目の前で見ていると狂気が見えてくる。どうしようもないくらい近い距離でも手の施しようがないものだ。ロジャーの気持ちは人間として相当のものだったろう、それは彼の後の作品からもわかるが、一体どれくらいのリスナーが同義として捉えて聴いていることだろうか?単なる伝説、美化された神話になってはいないか?別に構わないのだが…。

 …訃報

 彼は既に精神が天に召されていた人間であり、ロックの神話の中では肉体のみが存在していたがそれが崩壊してしまった。しかしロックの神話では彼はもう35年近く前に消え去っていた伝説なのだ。そしてレコードだけが残される。恐らく永遠に語り継がれていく狂気の宿った伝説と共に残されていくことだろう。

 …狂ったダイアモンド 否 クレイジーダイアモンド

Rest in Peace

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フレ
Posted byフレ

Comments 13

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SAMARQAND  

私もシドバレットには多大な影響を受けた一人ですが、どうも追悼ブログを書く気分にはなれません。とっくの昔に遠くへ行ってしまった人が突然亡くなったと聞いても現実味が無いのです。人のブログにトラックバックをつけるのが精一杯です。

2006/07/14 (Fri) 23:49 | EDIT | REPLY |   
evergreen  
こんばんは・・・

最初は、そうか~・・・
ちょっとしてから・・・ああなんか凄く淋しくなってきました・・・で今はありがとう・・と言う感じかな・・・

なんといってもフロイド創設者だから・・・
でも、ある意味、これでフロイドも終焉だね・・・
お疲れ様でした、本当にありがとう、シド、そしてあとの4人!!!

2006/07/15 (Sat) 00:11 | EDIT | REPLY |   
papini  

一応ね、追悼で書いたけど
まだ実感がわかないんだ。
なんかさ、寂しいっていうか
ぽっかり穴が空いた感じなんだよね。

大好きだったから、シド。

さよなら言ったら、それで終わっちゃう気がしてさ。
だからありがとうだけ。

2006/07/15 (Sat) 01:18 | EDIT | REPLY |   
ルル  
フレさま、こんばんは・・・。

記事、書かれたのですね。
すごく読み応えがあります・・・。

シドの死は、最初、どう捉えていいかわかりませんでした。頭がまっしろ?空虚?シドをよく聴いていた過去の自分のことも頭をぐるぐる回る。
でもすごく落ち着いてもいました・・・。

それをフレさまのJBの記事では「驚いた」との一言でお話してしまったのですが・・・。

私自身は、シドの心の中に、安楽はあったとの仮説を考えてます・・・。
同じく詩人の女性との対比で、自ブログで書きました・・・。

トラックバックさせてくださいませ・・・m(__)m

2006/07/15 (Sat) 02:12 | EDIT | REPLY |   
いたち野郎  

TBありがとうございました。

アコギの音って不気味な音楽を作る武器にもなりますね…シドのレコードはそれを体現していたと思います。コーマスもしかりですが、でも聴いた回数はシドが断然ですね。シドの曲ってポップじゃないけども、結構聴けるんですよね。本当不思議な力を持ったソングライターです…。

2006/07/15 (Sat) 04:43 | EDIT | REPLY |   
KD  
Syd

初めまして..。

RIP Syd

-----

号泣したいのに涙の一滴も未だ流れません。

2006/07/15 (Sat) 05:13 | EDIT | REPLY |   
V.J.  

もうね、フレ氏に全面的に共感。全く同じ様に思いましたよ。
久々に記事UPして、ちょっとだけSYDに触れたので(本文&コメント)これも久々にTB投げます。

>自分たちの周りに狂気に追いやられていった人を見たことがあるだろうか?
若かりし頃、とっても複雑な事情で、当時凄く近くにいた人をそっちの世界に持っていかれてしまった事があります…未だに、それこそ、darkside of the moonみたいに、僕の中から拭い去れない部分だったりします…

2006/07/15 (Sat) 08:41 | EDIT | REPLY |   
ルル  
こんにちは・・・

トラックバック、付けていただけなくて、悲しいです・・・。

フレさまの書かれた記事と私の書いた記事は、“詩人”を外部から見るか、内部から見るかの違いだけで、そんなにかけはなれてはいないと思うのですが・・・

2006/07/16 (Sun) 15:20 | EDIT | REPLY |   
フレ  
こめんと感謝!とらばも感謝!シド永遠に!

>SAMARQANDさん
その通りなんですが、やっぱりひとつのケジメにはなったのかな、と最近思います。何か寂しい想いが出てきたのが最近。う~ん、こういうのってあるんだなぁ。自分の感性が鈍いんだなぁと思いますが(笑)。最後の最後まで現実味がない人だったのかもしれませんね。

>エヴァ姉さん
あ~、今、ようやくそんな気分。ありがとう、って感じ。別に知り合いじゃないけどさ(笑)。残りの4人も感慨深いモノあるんだろうな。形になるのかな。

>papini嬢
うん、今わかってきた、その感覚。音楽とは違うところでそういう寂しさ感じてるなぁ…。

>ルルさん
自分の記事をね、ちょっと違う角度で書きすぎたかなぁってのはありますが、まぁ、自分のですから好きに発言してます(笑)。

>いたち野郎さん
アコギの狂気、その辺もまとめてみると面白いかもしれませんね♪ シドのはかなり浮遊感あるのでちょっと不思議なんですよね、ホント。

>KDさん
すごくシンプルな一行に想いが感じられます。また、自分もそれと同じです。わかります…。

>V.Jさん
んまぁ、触れたくないっちゃ触れたくないってのあったけどさ、狂気に持ってかれるってのはホント自分が情けなくなるし、納得できないんだよね。ロジャーもそうなんかなぁ、と。

>ルルさん
ん?あんまりそういうの気にしてないので単に付け忘れっす(笑)。結構アチコチにトラバ発射したのでてっきり張ったと思ってました~、失礼♪悲しまないで頂戴な♪

2006/07/16 (Sun) 23:22 | EDIT | REPLY |   
ミモサク  
シド、凄い

TBありがとうございました。
彼の存在ほど特別なオーラを持って輝いていたミュージシャンはいないでしょうね。
残した歌の遺産は永遠です。

2006/07/17 (Mon) 18:14 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>ミモサクさん

特別なオーラってのは凡人には出ないですから、やっぱりどこか違う人の証明なのかな…。

2006/07/18 (Tue) 00:04 | EDIT | REPLY |   
knyacki  
Madcap`s Last Lauugh

一昨年の10月の追悼コンサートがbootlegで出ていたので買った。
みんなSydが好きだったんだよね。
マニアご用達のBEYOND RHYME NOR REASONを買った。
伝説のオリンピアでのライヴが聴けた。
74年のインストは空虚そのものだった。
そして、最後にSTARSの音源が聴けたら、
たぶんSydのCDは封印してしまうでしょうね。

2009/03/17 (Tue) 22:17 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>knyackiさん

Starzはねぇ~、ライブ3回しかやってないから難しいでしょう。トゥインクが自分で持ってれば…って感じですが、まぁ、期待できない…。果たしてどんな音だったんだろ?気になります。追悼ライブは…、もうシドに触れないでくれっていう気持ちの方が大きくてね。封印してしまう気持ちの方がよくわかります。

2009/03/18 (Wed) 00:33 | EDIT | REPLY |   

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