


JB、スライ、Pファンクの全てを吸収し、自身の才能と諸先輩を支えたメンバーをも自分の手元に呼び寄せて相変わらず孤高の道を歩む人間嫌いのプリンス=現代に於ける唯一のブラックミュージック継承者。ウソか真か、年間に数枚以上のアルバムが簡単に制作できるくらいの曲を書きまくってしまうそうで、そこからどんどんとそぎ落としていきアルバムという形に絞り込んでいくのが彼のやり方。ボツになってしまう曲の中にはそれこそかなりの秀作もあると伝え聞くが、やはり作品というものへのこだわりがあるため、そういったものはあまり巷には流れ出てこない。ま、いくつかそういう寄せ集め的なアルバムも出ているんだけどね。
「The Vault」
や
「The Hits / The B Sides」
なんてのはその辺からのものらしい。
で、ここでプリンスを取り上げたのは彼の才能の中にはもちろんファンクという指針もしっかりと存在しているのだが、あまりそれを前面に出しながらというものは多くなく、どれもがミクスチャーサウンドとして表現されているのだ。しかし、1987年名作と呼ばれる
「Sign 'O' The Times」
の後、
「Lovesexy」
の前にリリースされると発表されていた幻の
「Black Album」
というものがあり、当時リリース一週間前になってプリンス本人が発売中止の意向を伝えて一般市場には流通させなかったというアルバムが存在した。もちろんその後にはきちんと
「Lovesexy」
という作品がリリースされたのでファンはそういうもんだと思っていたんだろうが…。実際にお蔵入りとなったこの
「Black Album」
はもちろん関係者筋からの流出によりブートレッグ市場の格好のターゲットとなり、何度となくリリースされていたので自分もそこで手に入れたことがある。しかし1994年には遂にオフィシャルでリリースされたことによりこの市場からは姿を消したのだが、問題はその中味だ。
「Lovesexy」
で見せた明るい未来とは裏腹に
「Black Album」
ではややダークな世界を繰り広げていて、そしてここで登場する理由もここにあるのだが、滅茶苦茶ファンクなのだ。そう、プリンスにしては珍しくグリグリしたサウンドがいくつか収録されていて、これこそプリンスに求めていたサウンドっていう感じで、ロックアルバムとなった
「Purple Rain」
の次に多分好きなのが
「Black Album」
かな。まぁ、
「1999」
も良いんだけどさ。しかしそれでもプリンス流の音になっていて70年代ファンクのああいう気怠さってのはなくって、ドラムマシーン?に合わせたサウンドなのでグルーヴというかはミネアポリスサウンド中心だけどベースグルーヴが結構利いているって感じ。それからセリフみたいなのでひたすら攻めてくるってのはモロにPファンクがモチーフだよな。そういう面白さがたっぷりあるアルバムなので取っ付きにくいプリンスのアルバムの中でもこの
「Black Album」
は割と普通に聴ける作品で良い。しつこくないんだよね(笑)。中でも「2 Nigs United 4 West Compton」が一番かっちょいいお薦め曲♪
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