David Bowie - The Next Day

ここ最近の話題はと言えばデヴィッド・ボウイの復活アルバムばかりでとにかくこの情報過多時代にあって全く情報がリークされることなくいきなりの新作リリースニュースに加えて既にPVも作ってあって、アルバムも出来上がってる、しかもリーク音源はまるで流出してこないという有り様で、挙句自らがオフィシャルでiTunesで全曲フリーで聴けるサンプルを公開してリーク対策を行なって、完璧にオフィシャル主導によるメディア戦略を実現している管理の徹底ぶり。今の時代でもここまで出来るんだ、ってことがよくわかった。そんな当たり前の事に驚きばかり感じるのもなんかヘンな時代なんだけどさ(笑)、だから余計に新作が楽しみになったよね。10年ぶりとかもあるけど、果たしてどういう方向に進んだかな〜って。シングルを聴く限りじゃ何かやっぱアダルトな路線のままか?って感じだったからちょいと不安気ではあったんだが…。
デヴィッド・ボウイの2013年の新作「The Next Day」です。です、ってもまだリリースされてないからアレだけど(笑)、これはもうiTunesでDLとかってレベルじゃなくってCD買い、でしかないでしょ。クラフトワークに刺激されまくって作ったアルバム「ロウ」からのベルリン時代、そして2013年になって「Heroes」のジャケットの上からの「The Next Day」という新作、明らかに全盛期へのオマージュだろうし、聴いてみて余計にそう思った。あそこまでヨーロッパな雰囲気じゃないけどかなり芯の通った重さ暗さってのはアルバム全編に流れているんだが、メロディやアレンジは力強く過剰になりすぎずそして不思議なことにどれもこれもが新しい。何が?って話だけど、こういう骨太で筋の通ったヨーロッパのサウンドってあまりないんだよな。英国的ではない。ヨーロッパ的なんだが…、自分の聴く音楽の狭量さが物語れないだけかもしれんが、さすがデヴィッド・ボウイ。シングル曲「Where Are We Now?」が一番面白味のない曲かもしれんなぁ…とか思ったりするワケです。それでもこの曲は良いな〜って思ったんだからアルバム「The Next Day」のクォリティの高さがわかるってなもんだ。
これはねぇ、もっともっと何度も聴かないとわからん…わからん、っつうか深みと面白さがもっと楽しめるアルバムです、間違いなく。後世になっても名盤と語られる作品になるだろうと予感してる。狙って作れるもんなんだな。2年もかかってるんだからプロの仕事としては当たり前かもしれんけど、今の時代で2年掛けても新しいことを出来るってないからそれも凄い。ブレないスタイルって重要。それでいてオーバーワークは全然感じなくて全部自然な音と演奏だけという不思議。音楽を知り尽くした連中が作り上げてるね。
さて、名盤と言いつつも名曲はどれになるのだろう?って考えてしまうのだが、それは多分キャッチーさが足りないからだ。でも名盤。例えば「Low」だ。名曲ってどれよ?って話で、いや、あれは「Low」が全部良い作品なんだ、って事でさ、一方の「Heroes」は明らかに「Heroes」が名曲だけどアルバムとしちゃ「Low」の方が評価が高い部分あるし…、そんな感じでこの「The Next Day」も名曲ってよりも名盤の扱いに近い。シングルカットする必要性すらなかったんだろうけど、そこは時代かな。とにかくアルバムひたすら流してると心地良くなるデカダンな世界。それでいて骨太なロックアルバム。素晴らしい。
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