Atomic Rooster - Made in England

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Atomic Rooster - Made in England (1972)
Made in England (Reis) (Dlx)

 バンドの美しい姿とはメンバー交代がないことだ、という考え方とプロジェクト的に見てバンドメンバーをどんどん替えていって音楽性も変化していくというものだ。後者はジャズの世界ではリーダー作というスタイルを取ることでセッションメンバーが変わっていく姿だがロックバンドでは、まぁ、ソフト・マシーンとか…、いや、ホワイトスネイクとかそんな感じ。ただ、ホワイトスネイクは音楽性変わらないからソフツくらいかな。前者のメンバー交代なしで音楽性の変化を追い続けるってのはU2とか一時期そんな感じだったかもな。これはなかなか難しくてバランスよく出来たのはZeppelinとかBeatlesか。何故にまたそんな話か、ってぇと、Atomic Roosterってバンドが思い切り後者のメンバー交代と共にどんどんとバンドの音が変化していったタイプだったから。

 1972年にリリースされたAtomic Roosterの4枚目のアルバム「Made in England」では何とクリス・ファーロウが参加した作品。直前までクリス・ファーロウはコロシアムにいたんで、ちょいと歳取ってるけど全盛期だったんじゃないかな。なんせ60年代から活躍してた人で、グリーマーツインズをバックにシングルをヒットさせまくってた?かどうかしらないがイミディエイト時代が知られている。自分は随分後のジミー・ペイジのソロアルバム「アウトライダー」での参加で知ったけど…そもそもロバート・プラントじゃなけりゃZeppelinはクリス・ファーロウのボーカルだったかもしれないんだから。(テリー・リードと勘違いっ)

 そんな雑談もともかくながらAtomic Roosterってバンドはヴィンセント・クレインの一人よがりのバンドで、最初期こそカール・パーマーがいたりして知られているけど、実は即座にEL&P結成のために脱退、おかげで英国盤はそのままだが、米国盤ファーストアルバム「Atomic Rooster」はジョン・デュ・カンによるオーバーダビングが施されているという代物で実は2バージョン存在しているのだな。その後ハードロックバンドとして進んでみれば、歌が弱いってことでピーター・フィンチを入れてみるが今度は音楽性が…ってことで黒っぽいオルガンハードロックを目指せばメンバーが難色示して全員脱退、そしてこの4枚目のアルバム「Made in England」にたどり着くのだ。ここではクリス・ファーロウの歌がぴったりとはまり込んでいるけど、今度はクリス・ファーロウの歌がバックのうるささでちょっと埋もれてる感もあるかな…。それはともかく、「Made in England」では一応ヴィンセント・クレインがやりたかったであろう音世界が完成しているってことで名盤扱いされることも多い。自分的にどうかと言うのは…何となくピンと来ないってのが本音。クリス・ファーロウの歌だったらジミー・ペイジの「アウトライダー」で聴けるスローブルース的な方が合うし、コロシアムでもそれはあるんだが、Atomic Roosterでのサウンドはちょいと「?」。それと曲がどうもなぁ…「Stand By Me」とキャッチーなのはあるけど、さほど練られてる感もないし、ちょっとスッキリしても良かったんでは?なんて気もする。

 ただ、B級じゃないパワーとセンスとレベルの高さは明らかなので、そこは区別したいね。メンバーが皆やる気満々で良い方向に向いた音世界に仕上がっているのはかなりアルバムを華やかにしているし、新鮮味もある。アルバムタイトルの「Made in England」のこだわりも感じるしジャケットはジーンズ生地で気合入ってるし…、自分が持ってるのは鳥イラストのジャケットだが…。






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フレ
Posted byフレ

Comments 4

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kazz_asai  
名作ながら…

Atomic Roosterは大好きなバンドなのですが、よく考えてみると本当に私の嗜好に合うのは、暗く湿ったオルガンハードのジョン・カン在籍時と、完全にHRバンドとなった1980年代再結成以後に限定されるようです。
最も称揚されたと思われるこのクリス・ファーロウ時期も悪くはないのですが、どうもあのファンキーなテイストが苦手で…
でも次の「Nice'n'Greasy」よりは、こちらの方がずっと作品の水準が高いと個人的には思いますし、私の愛して止まない「Death Walks Behind You」のムードを感じさせるものとなっています。
いずれにしてもヴィンセント・クレインのkeyはやはり唯一無二で、これがあるから彼らの作品は決して飽きることがありません。もうそれも聴くことはかないませんが…

2013/02/23 (Sat) 21:24 | EDIT | REPLY |   
クリタカ  
えっ?ファーロウが??

 当時、男性化粧品かウィスキーのCMに(どちらかうろ覚えですが)スタンド・バイ・ミーが流用されてましたよね。カッコいい曲だなぁと思ってたら、同級生の友達がシングルを持っていて聴かせてもらった覚えがあります。「中学生のクセに随分大人びたのを聴いてんだなぁ」なんてチョッピリ卑屈になってました(笑)。
 最初の5枚はどれも良いアルバムですが、2作目「Death Walk Behind You」と、この「Made In England」は特に愛聴しています。冷た~い質感のクレインの鍵盤類と、ホットで熱気でむせ返る様なヴォーカルとのせめぎ合いは、何度聴いてもゾクゾクさせられますね。歴代メンバーも腕達者な連中ばかり。
 ただ、ファーロウがZEPのシンガー候補とは知りませんでした。テリー・リードの次に声をかけたのでしょうか?初耳でした。彼がなったらなったで全く違った展開になったでしょうし、ZEPいやロックの世界もだいぶ様相が変わっていたかも知れませんよね。運命はイタズラだぁ。

2013/02/23 (Sat) 21:40 | EDIT | REPLY |   
ヒゲ・スカイウォーカー  
デニムジャケ

これ、紙ジャケならぬデニム布ジャケで再発?された時に購入しました。その布が端っこの方からほつれてくるんですよね(苦笑)
やはり名盤との評判を聞いて買いましたが、私もピンとこず…。そもそもクリス・ファーロウのVoが私はダメでした。COLOSSEUMでもマーク・クラークの声の方が好きですし、もっぱら演奏にばかり耳を向けてます(笑)

2013/02/23 (Sat) 22:41 | EDIT | REPLY |   
フレ  
ミスってた!

>kazz_asaiさん
歌とバンドリーダーってのはバンドの音の絶対権者ですよね。
リーダー変わったら音変わるし、歌はやっぱりバンドの声だし。
このバンドはそういう意味で主軸がKeyだけになってるってのが難しくしている気がします。
ファーロウの歌は好き嫌い選ぶしねぇ…。

>クリタカさん
しっかり聴いてますなぁ…、やっぱ。なかなか制覇し切れないバンドなんですよね、これ。
んで、すんません、テリー・リードと勘違いでした(汗)。
ファーロウだとジミー・ペイジのソロアルバムっぽい感じになっちゃったでしょうからちょっと艶がない感じだったでしょうねぇ。

>ヒゲスカさん
世間の評判と自分の好みは別、ってことですな(笑)。
ん?あぁ、自分もそうです(笑)。
演奏ばかりに、ってほどのアルバムでもないし…たまに、って感じが本音でしょうか(笑)。

2013/02/25 (Mon) 19:43 | EDIT | REPLY |   

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