Beck Bogert & Appice - Beck Bogerd & Appice

ジェフ・ベックが熱烈に欲したリズム隊だったボガートとアピス。ちょびっと彼らの音に触れてみればそれはなるほど、ってことがよくわかる。ジェフ・ベックにとってクリームのようなサウンドの発展形ってのは簡単にできる構想もあっただろうし、Zeppelinのような音も自分にはわかっていたはずだ。ところだ、自分の周辺にはたまたまそういうリズム隊との出会いがなく、時代を築き上げられなかったというジレンマ、だったかどうかわからんが若気の至りによる悔しさってのはあったんじゃないだろうか。ボーカルこそロッド・スチュワートという天才と出会ってはいたが、ジェフ・ベックにとってボーカルってのはさほど重要ではなかったようで、それはもうベックの歴史を見れば一目瞭然。そこにボガードとアピスというリズム隊が舞い込むチャンス、一度はフイにしてしまったが、1973年になってようやく念願叶った…が、時代はもう先に進んでいた、という間の悪さがBB&Aというバンドをイマイチメジャーにし切れていないのだった。
1973年にリリースされた待望の「Beck Bogerd & Appice」という作品だが、結局「Beck Bogerd & Appice」一枚でこの待望のバンドも終わってしまったということが時代性を物語っている。ジェフ・ベックが当時やりたかったことは既に時代が求めていなかったのだ。もちろん本人たちもその辺は敏感に感じ取ったことだろうが、ミュージシャン的にやってみたい一触即発の世界はやっぱりタッチしてみたかったんだろう。後追いで聴くとそんなことも考えちゃうんだが、普通に音としてアルバム「Beck Bogerd & Appice」に取り組むと、ジェフ・ベックと言うヒケを取らないギタリストがフロントにいるにもかかわらず、やはりもっさりした感じのアルバム像になっちゃってるのはそもそも曲の問題?リズム隊の問題?ジェフ・ベックがもっとギターを存分に弾きこなせなかったってことか?いや、聴いているとそれは音を抜く隙間を埋めてしまったリズム隊の技量じゃないかと。そこが凄い、っていう捉え方もあるが聴かせる音、ではない。演奏を個別に聞けばそりゃもう凄いさ。ただアルバムの音楽的作品性としては?となると聞き辛いもん。凄さはわかるが、ってヤツだ。ただ、やっぱりファン多いよね、このヘン。リアルタイムな人はこの迫力にぶっ飛んだだろうし、それはクリームを通らなかった世代がBB&Aであの衝撃を味わったから、とも言える。
自分は…、やっぱ凄いと思いつつあんまり通り切っていないんで、Beck Bogerd & Appiceって。どこかキャッチー性が欲しかったのかもしれないな。ひたすら演奏垂れ流しだけってのは聴いててややキツかった記憶がある。今聴き直してもやりすぎだよな、って思うトコあるし、無条件に良いです、とは言い切れないのが本音。凄いけどね。
全曲聴けたりします♪
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