Rory Gallagher - Wheels Within Wheels

昔のギタリストって、ホントにギタリストな人が多くて尊敬せざるを得ない人が多い。何というのか、今の時代の方が多分テクニカルだったり特定の分野に於いては圧倒的なプレイだったりするだろうけど、ギタリストとして聴いた場合には、どうしても偏っちゃう。スゲェ速弾きする人がアコギ一本持って民謡のセッション出来るとはあまり思えないもん。テクニック的には出来るだろうけど、やっぱ付け焼刃で出来るもんじゃないじゃない、そういうのって。ところが昔のギタリストさんはそういうトコロから始まってるから、いつでもそういう本来の音楽のあり方の姿に立ち返ることが出来て、だからこそ齢を取っても様々なスタイルでギターに取り組めたりするんじゃないかな。ジミー・ペイジなんてのはそれをLed Zeppelinの時代から出していたのはもう有名な話だが、その他ではそんなに器用な側面を見せていた人ってほとんどいない。出来る人はいっぱいいたはずだけど。
さて、アイルランドの魂の象徴とも言えるギタリスト、Rory Gallagherの今回はそんなものすごい側面をクローズアップしたタイトル「Wheels Within Wheels」をご紹介。秋だし、アコースティックに迫るのも良いもんです。しかもプレイヤーはRory Gallagherだから熱くないはずはないし、心地良いったらない。2003年にリリースされた「Wheels Within Wheels」は死後の編集盤になるけど、録音は1974年頃から晩年までのあちこちでのアコースティックセッションをまとめた音源。まとめたのはマネージャーやってた弟さんでさそりゃよく知ってるワケ。しかもアコースティックセッションったって、思い切りアイルランドの民謡…ケルトの音が入ってるし、一緒にやってる人と言えばロニー・ドネガンやバート・ヤンシュなんて人たちもいて、ロックに負けず劣らず熱いセッションを聴けるのが嬉しい。ドラムにはテッド・マッケンナもいるしトラッドの世界では有名なマーティン・カーシーやダブリナーズの面々も参加している。長いキャリアの中で常にケルトの自負が強かったRory Gallagerは機会あればそんなミュージシャンとアコースティックなセッションを行なっていたんだな〜と改めて知られざる側面を知った感じ。
「Wheels Within Wheels」のアルバムジャケットはなかなか頂けないが、中身がそんなセッションアルバムで実にリラックスして心地良く聴ける。曲によってはもう凄いセッション(アコースティック)だからじっくりと聴いちゃうんだよ。んで、あれ?これってRory Gallagherだよな?普通にアコースティックケルトバンドとして聴いちゃってるじゃないか?と不思議に思う。実に懐が深いというかルーツに忠実というか、それがケルトとブルースの両方にあってスライドもしっとりと聴かせてくれるしジグももちろんごきげんに聴ける。こんな面白い遺作が残ってたのは知らなかったなぁ…。まだまだ発掘音源などもきちんと聴いていかないといけないものが多いのだろう。そんなことを改めて感じたRory Gallagerの隠れた名セッション集なので秋の夜長に是非聴いてほしい。
全曲行っちゃってください!
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