Frumpy - Frumpy 2

ユラリユラリと音の洪水の中に身を任せて聴き漁る至福の時間。聴いてる音の差はそれぞれあれど、これぞ音楽の醍醐味と幸福、自分の場合はそれがロックなことが多いが、年と共にそこまでゆったりとロックを聴いていられる時間も減ってきて、そんな感動もなかなか機会が減ってしまっているのも事実。いや、聴いている時間は割とある方だけど、そこまで没頭してハマり切れる音に出会う事が減っている。ある程度のアルバムは既に聴いた事があったりして、もちろん浸れるけど、分かってて浸るワケよ。それは何となく聴いて浸ってしまうってのとはちょっと違ってて、それを感じる時ってかなり幸せ。何でまたそんな訳の解らんこと書いてる?ってのは、ここのトコロ、某氏からご紹介頂いたドイツ産のハードロックバンドにひたすらハマってて、そりゃ元々好きな音だけど、それでもユラリユラリと没頭するくらいにハマるってのは多くはない。英国モノでもね。それがまぁ、バンド名は知ってたもののちゃんと聴けてなかった自分もいるし、今回改めて聴けたこの「Frumpy 2」っつうアルバムで実に心地良くハマってしまったんです。
1971年にリリースされたバンドとしては二枚目の作品になる「Frumpy 2」。基本ドイツ人のバンド+フランス人のオルガニストが加わっているバンド形態、そして驚くことにボーカルは驚異的な女性の歌声ってことで、一瞬「は?」と思う。冒頭の「Good Winds」聴いてても女性とは思わないから。普通に男性のハイトーンに近い歌声だと思って聴こえるからね、それが後にゴスペル歌手にもなるインガ・ランフの歌声です。まぁ、それも驚きの一つ。「Frumpy 2」に収録の楽曲は全部で4曲、アナログだとA面2曲、B面2曲、それぞれ10分単位のサイズで如何にも70年代風なアルバム構成がまずよろしい。そして冒頭の「Good Winds」からして正にハードロックの構築美が貫かれていて、曲が長いと言ってもそれはプログレ的に長いのではなく、ハードロック的に長いだけなのだ。動から静、そしてまた動へもどり完結、これが心地良い。そしてなんと言っても二曲目の「How The Gypsy Was Born」の完成度に驚く。序文に書いたユラリユラリといつしか心奪われてその世界に身を任せてしまっていたのがこの曲だ。どこがどう、って言うのか分からない中、何か完全にその世界の中に入ってた。あまり分析もしたくないけど、まずはギターの音の好みとドラムの手数の多さ、そしてドライブするベースに邪魔にならない程度の歌声、オルガンもガンガン鳴ってる。そのどれもがバランス良くそれぞれ前に出る時に出てきて、淡々とロックのビートで展開されていく…それが9分間続くがその間が絶妙で、滞ることなく流れていく世界…、実に素晴らしい世界観。敢えて事例を出すならばそれは英国のロックではなく日本のカルメン・マキ&オズのファースト「カルメン・マキ&OZ」収録の「私は風」のようなものだろうか。日本の感性がドイツと似ているというのは様々な点から感じることが多いし、正にこの曲…いや、このバンドの持つスタイルは日本人的感性に訴えかけやすいんじゃない?ん〜、自分だけかもしれん。最後の「Duty」のワウペダルでのギターフレーズはもう泣きのフレーズ満載だし、疾走感やオルガンハードも含めて恐らく多くの70年代ロックリスナーが好む展開に違いない。自分はDeep Purpleにさほど執着してはいないけど、ここで聴けるのは正しくDeep Purpleが成し遂げていった世界。勘違いしちゃいけないのはこの後にDeep Purpleが同じ世界を完成させていったってことで、「Frumpy 2」の方が先です、多分。ま、いいけど(笑)。
「Frumpy 2」は締めて40分間のアルバムながらもなんと実の濃い音世界を聴かせてくれる。王道のロックとは異なるB級ならではの、とまでは言わないが、今となってはB級に甘んじるバンドがもたらしてくれるこの感動は多分ごく一部のマニアにしか受け入れられないだろう。ところが自分基準で書いているこのブログではもう大絶賛です。これを理解してくれる人は多分ウチのブログの本質ってのに気づいてくれる人なんだろう、と思う。自分が好きなのはZeppelinが一番ってのあるけど、そういうのから外れるものとしてはこの「Frumpy 2」の世界ですね。
あ、わかった…、自分でバンドやってて出してる音ってここまではもちろん出来ないけど、ほとんど同じ世界なんですよねぇ…、だから自分のバンド聴いてるのと同じに聴こえる部分多くて。もちろん音源なんぞ無いですから勝手な言い分ですが…、しかし自分のバンドって1971年の焼き直ししてるだけなのか…。
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