RCサクセション - Hard Folk Succession



高校生の頃から日本のロックに名を残す存在になっていくとは本人も思っていなかっただろうが、結果的に日本のロック史を築き上げていく過中に身を置くことになったのが忌野清志郎だ。1972年に「初期のRCサクセション」でアルバムデビューを果たすが、大体自分の最初のアルバムにこんなタイトル付けるセンスがもの凄い(笑)。後世に残る自信がなけりゃこんなの付けられないもんな。続くセカンドアルバム「楽しい夕べに」
さて、自分で最初に聴いたRCサクセションの作品は1981年にリリースされた「BLUE」だったが、翌年1982年にリリースされた「HARD FOLK SUCCESSION」も当然すぐに聴いたワケで、当時はこのアルバムが初期のRCの作品を再収録した作品だというコトなんて知らないので、何これ?って感じで聴いてたのだが、その時から「BLUE」よりもコッチの方が好きで良く聴いていた。いつしかこれが初期の作品からの抜粋なんだってことを知るんだけど、まあ、初期の作品なんて手に入らない時期だったからまあいいか、ってことで気にしなかった(笑)。後に「シングル・マン
」を聴くのだが、ほとんど被ってるんだよな、これ。で、邪道なんだけどやっぱ「HARD FOLK SUCCESSION」に思い入れが強いね。もっとも聴いてたのが思春期そのものだったので歌詞に凄い共感性があったんだろうな。
「キミかわいいね…でも、それだけだね…、それだけさ。」う~ん、のっけから凄い歌詞。10代にしてこの感性…凄い。「三番目に大事なもの」の歌詞によると「一番大事なものは自分、次は勉強で、三番目が恋人」なんだそうだ。実に鋭い視点で歌詞を書いて歌っていたんだなぁと舌を巻かざるを得ない。やはり高校生からロックに名を残す人である。「ぼくの好きな先生」でのタバコを吸いながら授業をする先生なんて今だったら速攻で消される先生だよな(笑)。でも、そういう表現に愛があるんだよな、そこがフォーク時代の面白さで後にバリバリのロックになって「愛し合ってるかい?」っていうフレーズはまんざら冗談ではなくて、こういう下地があるんだよ、と子供心に思った。そしてこのアルバム中で一番好きなのは多分「2時間35分」だな。時代性を物語っているのが冒頭のダイヤル式電話のダイヤル音とチリリリリーンっていう効果音だね。そのうちこれは何の音なんだろう?って知らない世代も出てくるんだろうか?コワイ話だ(笑)。で、なぜこの曲が好きか?多分このアルバムの中において一番ロックっぽいメロディとリズムを隠し持っているからだと思う。アニメソングみたいなアレンジでもあるんだが(笑)。歌詞の内容は所詮長電話の話なんだけど、それだけで歌詞が出来てしまうっていう才能が凄い。好きな子と2時間35分電話してたんだ、っていう歌なんだもん。多分、時間が具体的だから事実なんだろうな(笑)。あ、「どろだらけの海」もストレートで好きな歌だな…。
…とまぁ、結局全部好きなんだけど、とにかく辛辣な歌詞をセンスの良いメロディに乗せて聴かせていくロックらしさは音がフォークであってもしっかり伝わってくるもので、早いウチに出会えて幸せなバンドのひとつだね。後のアンプラグド云々というブーム的なものとは異なりそれしかないからそれで魂を訴えるんだ、っていうスタンスが好まれるんだろう。ちなみに最初の頃のRCのアルバムは全部バックミュージシャンにより差し替えられていてキヨシローの歌だけが残されている状況らしい。それでもしっかり伝わってくるので、結果としては良かったのだろう。
あ~、いいな…。こういう人間クサイのって(笑)。
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