スライ&ザ・ファミリーストーン「暴動」 、と聞いてどう思いますか?やっぱり凄く強烈なファンクで正に「暴動」に発展するだろう激しい楽曲の集められたアルバムだろうって思ったのです。しかもあちこちで名盤として語り継がれているアルバムなのでその強力なビートやメッセージが時代の中では異彩を放ったに違いない、と。
時代は1971年ベトナム戦争終焉頃、
黒人公民権運動 など歴史的にも様々な背景があった中で黒人バンドとしてリリースされた本作はそれだけで意義があったのかもしれない。ましてやジャケットが風に吹かれるアメリカ国旗だ。ん~、そう考えると確かに意義あるアルバムなんだなぁと、敢えてこんなこと書くのはやはりこのアルバムを語るには時代背景が大変重要な意味を持つからだ。音楽面だけでは本作はそれほど突出したものではない、と思える。あくまでも主観。ただ、時代背景を知った上で聴くと非常に重要なアルバムになる。これは黒人系に多いことで、
マーヴィン・ゲイ「What's Goin' On」 も同じように背景が重要となるアルバムだ。
で、音。
パーラメント に代表されるような思いっきりファンクって言うんではなく、かと言って
ジェームス・ブラウン のようなファンクでもない。しかしこの
「暴動」 はファンクアルバムと呼ばれる。ま、ジャンルなんてのは適当に切ってるので大して意味はないんだけど、最初に書いたように、突出した激しさに包まれたアルバムではない。確かにリズム的にはベースグリグリだけど歯切れのいいものではない。歌でハネるリズムがある、ってのでもない。もっとどっちかというと、「どよ~ん」って感じの雰囲気に包まれた重いアルバム、そう、明るさがないファンクなのだ。プリンスの「ブラックアルバム」が似ているかもしれない。う~ん、タイトルとは大きく異なる内なる「暴動」って印象かな。「Family Affair」なんてのは凄くポップな音なんだけど、何か重い(笑)。でも面白いのはそんな中にあって最後の手前に「Runnin' Away」なんて可愛い子供とも女の子とも云えない歌声でお茶目な曲が収められているってのは続けて聴いているとホッとする。ホントに、もっと激しいファンクを想像していたのでギャップはあったんだけど、今ではこれがしっくりくる。以降、スライは時代に取り残されていくので、最高傑作に選ばれることが多いけどやっぱ問題作。思いっ切りハネるファンクを好きな人には向かないので、これはやっぱりロックのフィールドに入ってくる作品かな。
P.S.
昨日RC聴いてハマってたのでほんとはもうちょっとこなれたソウルを聴きたかったんだけど、何故かスライに行ってしまった…(笑)。
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