The Damned - Strawberries


初期ロンドン・パンク勢って冷静に今振り返ってみるとさ、大体結構な音楽センスがあったり発展していかざるを得なかった割りにはオリジナリティのある方向性に皆が皆進んでいっていて、それなりにシーンで認められていたり残っていたりするのが単なるパンク野郎達ではなかった、とも言えるんだよ。ある意味一般人がイメージするパンクってのはシド・ヴィシャスだけで終わったとも言えるし、アルバム一枚だけのSex Pistolsだけが真のパンクバンドだったとも言えるか。The Clashはレゲエやスカへと進みオリジナリティを確立、ダムドはゴシックポップへ、Stranglersはそもそもプログレ的ヨーロッパ的センスの音楽だったわけだし、The Jamはそのままネオモッズからスタカンへと進むし、P.I.Lはポジパン代表だし、なるほどなぁ。自分が最初にハマった初期衝動のパンクってのはホント一瞬だけだったんだな。
1982年にリリースされたThe Damnedのアルバム「Strawberries」はどこにパンクらしさがあるのか、と訊きたくなるくらいに発展しすぎた傑作とも言えるデカダンな作品。ゴシックポップっつうかデカダンって言葉の方が似合うな。ただ、キャプテン・センシブルの格好見ててデカダンとは言えないから音とルックスのギャップが激しくて面白いとも言える。The Damnedのこうした一面は前作「Black Album」あたりから顕著になってきてて、最初に「Black Album」を聴いた時にはかなり驚いたものだ。どこがどうしてこういう音になるのだ?なんて。それはデイヴ・ヴァニヤンの趣味からそうなったらしいけど、そこにも音楽センスがあったってことなんだろう、さすが元墓掘り人夫出身なだけあって洒落になってない(笑)。
さて、リリース当時の英国オリジナル盤はイチゴの香料が付けられていた「Strawberries」はThe Damnedというバンドを良く表したアルバムジャケットでもあるし、デカダンな雰囲気もある。冒頭の「Ignit」からしてもうあの「Neat Neat Neat」のバンドと同一とは到底思えないレベルの高さに驚くハズだ。「お??」と思って一気に聴いているとアルバム全体では全てあのレベルの高さじゃないけど、まだまだヘンに多様なポップさ加減が入り混じった不思議なアルバムで、美しさとコケティッシュさとイージーさが同居していて、それをデイヴ・ヴァニヤンのゴシックなセンスで全部まとめているような感じ。もっともキャプテン・センシブルのセンスによるバンドの音の統一感が大きいんだろうが、そういう言い方するとラットのドラムも軽快で心地良いし、あまり話題に上がってこないけど結構聞き所の多い作品。The Damnedってこんなに奥が深かったのか、と改めて聴いていかないと彼らのセンスは掌握できない。まだまだ知らないロックの世界が多すぎる自分っ!ま、ただ、好みで言えばさほどではない。でもね、衝撃というか刺激は多いよ。ストリングスまで入ってくるんだからさ。
この後バンドはほぼ解体状態に入ってしまうのは音楽センスに長けた人物が増えてきたおかげでぶつかることが増えたのかな。80年代ってのは70年代のバンドにとっては生きにくい時代だったろうしね。ってことでキャプテン・センシブルが抜けてしまうのだが、「Strawberries」はその前のThe Damnedとしてかなりキラリと輝くサウンドを聴かせてくれます♪
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