U2 - War

11 Comments
WAR(闘) Boy October

 U2。2006年になってみてこのバンド名を見ると、超大物バンドとして捉えられる光を放っている。動くだけで話題になるバンド、ストーンズなどと同様に語られつつあるビッグネーム、そしてボノのボランティア業への献身が世界の話題となり、今をときめくiPod&iTunes Storeには最初から賛同したアーティスト。根はストリートミュージシャン的気質を持ったバンドなので今でも反骨的な精神は健在だ。

 そして1983年U2は三枚目のアルバムをリリースする。「WAR(闘)」だ。

 当時のヒットチャートの中では異質な香りを放ち、煌びやかさとは無縁のサウンドが実にナマナマしく流れ、その存在感をアピールしていたが、それは「寒い」音楽だった。「血の日曜日」を最初に聴いた時、なんて寒々しい曲なのだろう、と思った。それからU2はあまり聴かなくなった。マジメに初期の作品を聴き直したのは2000年を超えてからである。もちろんリアルタイムに聴いていたのでそこそこ知っていたが、かっこいい、っていう感じでは聴いていなかった。当時を思い返してみるとこの曲の持つボノの魂の叫びとシンプルなエッジのギターのトーンが異質だった。ディストーションバリバリのサウンドが主流だった時にこの音だ。何年も経ってからこの音がこれほど熱い音だということに気づき、歪んだギターの音はそれだけでは熱い音ではなく、言葉と魂が込められたものがホンモノのロックなんだ、ってね。それでも記憶ってのはやっぱ残っていて「New Year's Day」の旋律なんかも何かと頭の中で鳴るものだったし、「Surrender」も然りだ。当時あまりにもメッセージ色の強いバンドカラーがあまり好みでなかったのかもしれない。別に学ランを着ていたからではなく(笑)。

 …素直に書こう(笑)。かっこいいんだよ、このバンド。そしてホンモノなんだよ、彼等。タイトルは「WAR(闘)」で少年の怒りが象徴するジャケットもまた素晴らしい。これは「Boy」でジャケットになった少年だ。彼等の初期三作はナマのサウンドで音楽と魂だけで勝負している見事なロックアルバムだ。後の作品も素晴らしいが野性味のある本作はアメリカ進出というキーワードがあるにせよ、素晴らしきアルバム。

 今年4月久々の来日公演が予定されていたが、エッジの娘さんの病気のためにツアーをキャンセル。またいつか実現するだろうと思われるがチケットを取った自分には残念なことだった。事情が事情だからもちろん正しい選択である。そんなところも生身のU2らしいところだ。

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フレ
Posted byフレ

Comments 11

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papini  
おお、やっとコメントできるぞ(笑

いや、今までのが知らなかったワケじゃないの。
あんまり聴かない類だから、ねぇ(笑
Bon Joviだってさ、実はそんなに聴いてたわけじゃないし(笑
いや、持ってるけどさ(え

この「WAR」はいいよねぇ。
アタシ、U2の中では1番好きかも。
シンプルだけど、濃密で、ストレートだけど、どこか歪曲してる感じが
このバンドなんだと勝手に思ってる。

2006/06/16 (Fri) 23:29 | EDIT | REPLY |   
Brian  

トラックバック有難うございました。恐縮です。

2006/06/16 (Fri) 23:44 | EDIT | REPLY |   
seira.D  

寒い音楽=U2。
なんだよね。(笑)

2006/06/17 (Sat) 03:27 | EDIT | REPLY |   
リュウ  

U2!
生真面目さが鼻に付いて、一時離れ、
映画で復活!Popで離れ、その後復活。
紆余曲折、色々な方向に行ってしまう彼らの中で、唯一ずっとお付き合いしているのが、「WAR
彼らの最高傑作と個人的には思っています。
フレさんの「ナマのサウンドで音楽と魂だけで勝負している見事なロックアルバム」という言葉に[太字]賛成[/太
字]です!

2006/06/17 (Sat) 22:36 | EDIT | REPLY |   
コジ  
ホンモノ

U2は技術的にもセンスの面でも頭の良さを感じるバンドだと思います。もっともコメントを書けるほどのファンではなく「ヨシュア・トゥリー」意外はまともに聴いたことがないのですが今度チェックしてみようと思います。

2006/06/17 (Sat) 22:48 | EDIT | REPLY |   
フレ  
コメント感謝です♪

>Papini嬢
お~、久々登場(笑)。まぁ、この辺はリアルじゃないと聴かなかったものばっかだったからねぇ。U2はそれを超えてしまったけどさ。このアルバムが一番素のままのバンドて感じ。どこか歪曲ってのあるよな(笑)。

>Brianさん
ども♪またお越し下さいませ♪

>seria.Dさん
そう(笑)。

>リュウさん
わかるわかる。ほとんど似たような遍歴です(笑)。これと「ヨシュアトゥリー」は付き合い長いですね。ナマってのを意識する時は「War」です♪ 作品ってなると「ヨシュア…」かな。まぁでも最近の二作は好きですよ。復活U2って感じで良いっす。その分大物に成りすぎた感があるんですが…。

>コジさん
センスは良いですもんねぇ…。クレヴァーなパンクバンドだったんですかねぇ…。デビューして20年以上経っても残っているバンドなので多分誰が聴いてもそれなりの価値があるバンドサウンドのハズですので他の作品も良いと思えるんじゃないかな。ただなかなか良いモノと刺激ってのが一致しないのが問題です(笑)。自分も時間掛かりましたからねぇ、このバンドは。はい。

2006/06/18 (Sun) 00:16 | EDIT | REPLY |   
Shinyan  
どう書くべきか・・・

 悩んだ結果・・・
まあ、コレしかないと・・・
カッコいい・・・コレだけかな・・・
 
 しかし、“「寒い」音楽”とは上手く言うなあ・・・

2006/06/21 (Wed) 21:54 | EDIT | REPLY |   
たらー(BLOODSHED  
確かに寒い

血の日曜日を聞いた時、メロディーが
頭から離れなかった。
当時は良い曲って言うのとは、また違った感じの印象で、寒い=悲しさが、もろに伝わって来た感じですかね。
今でこそ素晴らしいと思うけど・・・

2006/06/25 (Sun) 21:56 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>コメントありがとう!

>Shinyan
今でこそかっこよく見えるけど当時はなかなか素直にそうとは認められなかったね。でも何か「寒い」サウンドだったんだよね。

>たらーさん
うん、全く一緒。何か「違う」っていうのが「寒い」っていう表現になったみたい。

2006/06/25 (Sun) 23:44 | EDIT | REPLY |   
Who?  

16年前(!?)のブログを発見して、U2を寒い音楽と表現しているのを見て、まさしく、と思わずコメントしました。アイルランドという地質が彼等をそうさせているのか…何にしてもU2というバンドを現していると思います…!

2022/01/07 (Fri) 23:00 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>somebody

「寒い」がピッタリな形容詞は今でも好きです♪

2022/01/10 (Mon) 18:13 | EDIT | REPLY |   

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