U2 - War



U2。2006年になってみてこのバンド名を見ると、超大物バンドとして捉えられる光を放っている。動くだけで話題になるバンド、ストーンズなどと同様に語られつつあるビッグネーム、そしてボノのボランティア業への献身が世界の話題となり、今をときめくiPod&iTunes Storeには最初から賛同したアーティスト。根はストリートミュージシャン的気質を持ったバンドなので今でも反骨的な精神は健在だ。
そして1983年U2は三枚目のアルバムをリリースする。「WAR(闘)」だ。
当時のヒットチャートの中では異質な香りを放ち、煌びやかさとは無縁のサウンドが実にナマナマしく流れ、その存在感をアピールしていたが、それは「寒い」音楽だった。「血の日曜日」を最初に聴いた時、なんて寒々しい曲なのだろう、と思った。それからU2はあまり聴かなくなった。マジメに初期の作品を聴き直したのは2000年を超えてからである。もちろんリアルタイムに聴いていたのでそこそこ知っていたが、かっこいい、っていう感じでは聴いていなかった。当時を思い返してみるとこの曲の持つボノの魂の叫びとシンプルなエッジのギターのトーンが異質だった。ディストーションバリバリのサウンドが主流だった時にこの音だ。何年も経ってからこの音がこれほど熱い音だということに気づき、歪んだギターの音はそれだけでは熱い音ではなく、言葉と魂が込められたものがホンモノのロックなんだ、ってね。それでも記憶ってのはやっぱ残っていて「New Year's Day」の旋律なんかも何かと頭の中で鳴るものだったし、「Surrender」も然りだ。当時あまりにもメッセージ色の強いバンドカラーがあまり好みでなかったのかもしれない。別に学ランを着ていたからではなく(笑)。
…素直に書こう(笑)。かっこいいんだよ、このバンド。そしてホンモノなんだよ、彼等。タイトルは「WAR(闘)」で少年の怒りが象徴するジャケットもまた素晴らしい。これは「Boy」でジャケットになった少年だ。彼等の初期三作はナマのサウンドで音楽と魂だけで勝負している見事なロックアルバムだ。後の作品も素晴らしいが野性味のある本作はアメリカ進出というキーワードがあるにせよ、素晴らしきアルバム。
今年4月久々の来日公演が予定されていたが、エッジの娘さんの病気のためにツアーをキャンセル。またいつか実現するだろうと思われるがチケットを取った自分には残念なことだった。事情が事情だからもちろん正しい選択である。そんなところも生身のU2らしいところだ。
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