Muddy Waters And The Rolling Stones - The Checkerboard Lounge 1981

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Muddy Waters And The Rolling Stones - The Checkerboard Lounge 1981 (2012)
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 古くから知られていた1981年のMuddy WatersとThe Rolling Stonesの共演ライブ「ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ 1981」がいよいよオフィシャル映像とCDでリリースされたようだ。なんでまた今更?みたいな感もあるけど、こんな歴史的なイベントが陽の目を見たのはありがたいことだ。随分前に知り合いにビデオを借りて見せてもらったことがあったけど、話題とメンツの割にはさほど面白味のないライブだったな、という印象が強くてさほど興味をソソらなかったが、折角だからこの機会にもう一度という事で見ていた。

 1981年11月22日にタイムスリップしてみよう。The Rolling Stonesは今じゃ歴史的とも言われるアメリカツアーの真っ最中、先日もStonesArchivesから1981年のライブがリリースされてその白熱ぶりを聞かせてくれたが、同じ年の秋、ちっぽけなシカゴのチェッカーボード・ラウンジというライブバー?でMuddy Watersがライブを行う事になっていた。その面々ですら、バディ・ガイやジュニア・ウェルズが参加した豪華なライブだったのに、そこにミック、キース、ロニーの3人が加わり、更にイアン・スチュワートも参加した、メンツだけ見れば相当歴史的なイベントになった。

 「Baby Please Don't Go」の曲途中でMuddy Watersがミック・ジャガーとキース・リチャーズを呼び入れてセッションが始まる。ロニーはそのちょっと後にまだ地味に参加。スチュはいつの間にかって所か。しかし、この何となくそれなりの雰囲気を醸し出しているバーに真っ赤なフットボールシャツのミック・ジャガーってのは全く場違いな格好だし、ブルースという面からしてもまるでお門違いで、もうちょっとTPO考えれば良かったのにとも思う。ブルースメンにとってライブは正式なお披露目の場だから、皆きちんとした格好でやるものだ。折角だからスーツくらいで歌ってほしかったが、一方のキースはもうあのまんまの格好だからかっこ良い。ステージに上がってタバコを吹かしてテレキャス担いで音鳴らした瞬間からブルースな音色とフレーズで、そういえばキースが本物のブルースをきちんと弾く姿はほとんど聞いた記憶も見た記憶もなかったから、かなり新鮮に響いたんだった。さすがにクラプトンとまでは言わないけど、Muddy Watersと一緒にやっても遜色ないギターを聞かせてくれます。キースのギターって繊細だよ。ボリュームやトーンに凄く気を使いながらフレーズを紡いでいって、場の雰囲気や他のプレイヤーにも気を回して、それでいて自分が一番なんだ、みたいな雰囲気を出しているというプロフェッショナルさ。ロニーも地味だけどそういうのを凄く意識してるし、フロントのミックは結構大変だったと思う。アバウトな雰囲気で入ってくるMuddy Watersに合わせていくわけだし、性格も知らないだろうからどうすんだろ?みたいなシーンはいくつも見られるし、そういう意味ではハラハラするライブだ。

 ただねぇ、やはりリハ不足かな。もちろんこのライブが突発的な飛び入りのはずもなく、きちんとキースもロニーもスチュも自分の器材がセッティングされているワケだし、ミックにしても歌詞を含めてやり取りや色々決め事はあったと思うが、リハ不足感が出てしまったか。ストーンズの面々もMuddy Watersの方も馴れない感じで、やはりぎごちなくプレイしている。ギタリスト同士だったりボーカル同士だったり、またその組み合わせだったりすれば何かときめく瞬間もあっただろうけど、椅子に座ったMuddy Watersと元気いっぱいのストーンズの面々では絡みようもなかった、という所か。そしてMuddy Watersもいつものあの表情だからギター連中がギター弾いても楽しんでるのか何なのかさっぱり分からないし、そういうのが聴き手にも伝わってしまって、キースやロニーも自分のギターってどうなんだ?みたいなのあるし、それが一方Muddy Bandの方だとしっくりと隙間が埋まっているのでやはり専属は違う。ストーンズがこの「ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ 1981」を30年以上リリースしなかったのはやっぱり理由があって、リリースに足る程のレベルにないライブだったから、自分たちの記念品でしかなかったという事だったからに違いない。この時代の今なら出しても良いか、くらいなのはあるだろうけど、なるほどね。そう思うと、これからときめくようなライブはなかなか出てこないのかもしれない。

 そんな邪推はさておき、あまりこんなセッション活動をしないストーンズの面々によるセッションってこんな風なんだな、というのが見えて面白いし、もちろん皆好きでやってるから商売抜きに楽しんでる姿ってのは良いね。



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フレ
Posted byフレ

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