Magic Sam - West Side Soul

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Magic Sam - West Side Soul (1967)
ウェスト・サイド・ソウル Rockin Wild in Chicago

 黒人ブルースメンの世界でも時代の変化とともに音楽が進化していることがここ最近の集中的ブルース聴きによってアリアリとわかってきて面白い。ギター一本と歌にハーモニカっつう世界からスライドやピアノが入ってきて、そこまでは音の進化であって音楽の進化じゃなかったけど、戦後になってからは明らかに進化してる。エレキの革命ってのはやはり大きかったしやはりあまり言われる事もないけどエルヴィス・プレスリーのR&Rってのはブルースの世界にも多大な影響を及ぼしてるのがわかった。音楽的にではなくて音への取り組みとして、という意味でね。エレキも然りバンドのスタイルも音の見せ方とかも含めてショウマンシップまでね。なるほど、こうすりゃいいんだ、みたいなのが50年代以降のブルースメン達には見られるし、それは一般には戦後ブルースの経緯のひとつに挙げられてる。そのさらなる進化系のひとつに今回のマジック・サムって人は出てくることになりそうだ。

 1967年にリリースされた名盤の誉れ高い「ウェスト・サイド・ソウル」。アナログ時代にP-Vineからもリリースされててど派手な色にペインティングされたジャケットは印象的だったが、どこかソウルチックに見えてやや引いてしまった記憶がある。んで、聴いてみればその本能はあまり間違っていなくて、その時はあんまり好まない音だな〜ってくらいだったけど、今聴いてみればそれは明らかにソウルとブルースの融合だったワケで、単にブルースという枠には収まらないサウンドが収められている。だからこそ名盤と言われるのだろうけど、ここまで軽やかにスイングしてしまって良いのだろうか?みたいな感じ。ギターがえらくテクニカルなんだろうが、スタジオミュージシャン並にさらりと何でも弾きこなしてしまうスタイルで、自分の好みとは大きく異るんだよ。ま、ただ、そういうもんだ、ってのはあるが。器用すぎる感じ?その代わり曲のグルーブ感はもの凄いものがあって、グイグイとドライブしている。そこはロックの世界とは異なるグルーブがある…ってか、このグルーブがこの時代は主流だったんかも。

 しかし…、カッコ良い。一般のブルースをイメージして聴くブルースとは大きく異なるロック寄りな、ソウル寄りなアルバムで、そこにブルース・ギターが参加しているなんていうくらいに異質な作品だけど、基本3コードは変わらないし、なんか不思議な世界だ。多分ロックからも影響を受けているからかもしれない。本場のブルースメン達が当時の英国ロックを聴いていたとしたらマジック・サムのことはバカにしていただろうと思うが、そんな英国ロックなんて聴いていなければ、変わり者だ、っていう感じで見られていたのかもしれない。この数年後に心臓発作で亡くなってしまうので、伝説になっている部分もあるけど、少なくともロック畑の人間にとっては聴きやすいアルバムのひとつだ。



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フレ
Posted byフレ

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