



第二次ブリティッシュインヴェンジョンの波もまた実に多くの変人奇人バンドを世にリリースしてくれたのだが、中でも露骨なまでにその変態性を打ち出してきた(本人達にその意図があったかどうかは知らないが…)バンドが、バンド名からしておかしなフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド。
う~ん、二つの事実を書かなければいけないバンドであるのも事実だな(笑)。一つ目、子供心に刺激を受けたリアルタイムでのインパクト。いきなりメディアに登場してきて、しかもシングル曲は
「The Relax」
っつうなんともかっこ良い正に80年代を代表するに相応しいドラムパターンと云い、12インチバージョンでの曲の長さと云い、圧倒的なかっこよさが目立っていてそれだけで皆飛びついていたような気がする。セカンドシングル
「Two Tribes」
でのPVのインパクトは子供心にも絶大な刺激を与えてくれて、当時ああいう生々しい暴力的なPVはあまりなくって、もっと映画っぽいっつうか虚構の世界的なものだったんだけど、あれはかなりエグいPVだったな。それで一瞬で消え去ったっていうトコなんだが…。二つ目の事実に気付いた今、全く異なる視点を持って見てしまうのだなぁ…。もちろん今でも80年代オムニバスCDには入っていて聴くと懐かしいしやっぱりかっこいいなぁ~って思うことに変わりはないのだが。
で、その二つ目のこと。こういうワケのわからんものには必ず仕掛け人がいるもので、このバンドの場合はなんと、イエスの
トレヴァー・ホーン
が仕掛け人だったんだな。バンド全員楽器の演奏なんてできない連中ばっかで、ボーカルのホリー・ジョンソンの歌だけはそのままだが結局全てのプロデュースが
トレヴァー・ホーン
によるものとして判明。そんなことから当時の全てのイベントにこのバンドは参加することなくライブもほとんど行われなかったようだが、何と驚くことに日本公演は実現しているんだなぁ。で、変態性ってのも結局ティーンエイジャーを巻き込むための刺激的要素だったようで、メンバーが全員カップル、というようなウワサはホントだったのかどうか今でも確認されていないみたい。まぁ、そんなことで結局商業主義的論理に乗っ取ってしっかりと売れるべくして売り出されたバンドで、ファーストアルバム
「Welcome To The Preasuredome」
もいきなりの2枚組でリリースされたんだけど、音楽的な面ではさすがに全てを架空のもので名作を生み出すことまではできなかったようで、かなりの駄作(笑)。
しかしそういう事実を前にしてもリアルタイムで通ってきた世代からするとこの
「The Relax」
という曲と
「Two Tribes」
のPVは超強烈なインパクトを放っており、今でも印象的な曲として残っているのだ。ああ、英国のヒネた戦略に見事に載せられた哀れなティーンエイジャーなんてことは認めたくない…(笑)。
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