Pink Floyd - Wish You Were Here Immersion Edition Disc 2

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Pink Floyd - Wish You Were Here Immersion Edition Disc 2 (2011)
炎(コレクターズ・エディション)(DVD付)
Wish You Were Here (Deluxe Experience Version) [Remastered] - Pink Floyd Wish You Were Here (Deluxe Experience Version) [Remastered]

 ゆったりとした時間が流れる…、これぞ至福の一時。そこにゆったりとしたサウンドが流れる…これもまた至福の一時。いつしかプログレッシブロックの代名詞と言われたピンク・フロイドのサウンドはそんな光景に似合う音として一般に受け入れられていき、また浸透している現状、英国ではビートルズやクイーンに次ぐ一般普及の高いロックバンドとして知られている…と言うか、文化の一端を担っていると言っても過言ではないようで、クリムゾンなんかよりもはるかに一般認知が高いポピュラーなバンドなのだ。全アルバムを聴いてみて果たして何がそんなに一般普及を高めているのかよくわからないのだが、「狂気」の完成度か「」の美しさあたりだろうか。はたまた「アニマルズ」のロック度なのかまさか「原子心母」あたりのサイケデリック度とは思えない。部分部分でのメジャー度ってのは「吹けよ風呼べよ嵐」なんかで出てくるところくらいしか想像できないのだが、まぁ、それらのいくつかを抽出した曲を聴いていれば確かに洗練された寛ぎの空間に似合う音になるのかもしれない。しかしねぇ、ピンク・フロイドだぜよ?

 そんなことで昨年リリースされた「炎(コレクターズ・エディション)(DVD付)」のボックス盤はそれなりの売れ行きを示したらしいし、もちろんその他の「狂気(コレクターズ・ボックス)(DVD付)」や「Wall」も同じくらい以上には売れているだろう。何かと注目を集める売り方が出来るのはEMIだからという説もあるが、ピンク・フロイドの場合はオマケに入れることのできる音源が割と残されているってことがビートルズなんかとは大きく異なるかもしれない。製作過程ですら貴重な楽しみ方が出来るワケだし、早くから照明やステージセットそのものをアートとして捉えて実演していたバンドなんだから当然その模様も記録として残しておいただろうし、アーティスティック集団ってのがそういう方向性を示しているだろうな。さて、その「」のボックス盤は色々と入っているけど割とどうでも良いものが多くて、リマスター盤ですらさほどの変化を聴けるものでもないから特筆すべきものでもないし、結局Disc 2の未発表音源ディスクだけが興味の対象になる。ま、だけと言うのは言い過ぎだけどね。

 時代背景からすればまだアルバム「」を録音する前の時点でのライブの実験段階で「」や「アニマルズ」の一部が聴けるってなもんだ。ライブバージョンでは3曲のみ入ってて、この1974年秋のツアーで実験をしていたようだけど、それはアルバムに収録すべきか否か、また楽曲の完成度を高めるという意味での演奏だったようだ。観客としてはまるで知らない曲なので全然面白くなかったのかもしれない。それか既にライブでこの狂想曲に幻想を抱いたのかもしれないが、何故にここで「」はともかく「アニマルズ」に入っている楽曲が演奏されていたのか、だ。もともとコンセプトありきで作っていた新作群ではなかったようで、出来上がった曲をブラッシュアップしている段階ではあったハズなのだが、それにしてもここまで完成している「アニマルズ」の楽曲を次作「」に入れずに放置するというのは相当の自信の表れだなと思う。だってこれから新作のレコーディングするのにほとんど出来上がっている曲を入れないんだよ?不思議だよ。まぁ、そのヘンがプロなんだろうし才能の表れなんだろうけど…。おかげで初期段階の「アニマルズ」がたっぷりと楽しめるってなもんだが、古くからブートレッグでは有名な音ではあったけどこんだけ優良な音で出てくるとねぇ、さすがにオフィシャルは素晴らしい。

 そして「」の方だが、レコーディング前だから当たり前だけど、ギターのフレーズとかレコーディングバージョンとは結構異なった箇所があってその違いがユニークではあるけど、概ね完成形。当たり前だけど、やっぱギルモアのギターが相当曲の彩りを決めているのでスタジオバージョンの綺羅びやかさは見事と舌を巻く。ライブの生々しいギター一本のスタイルではやっぱり物足りなさを覚える感じ。それでも20分強を雰囲気と心地良さで長さを感じさせずに聴かせるのはさすが。後に「Sheep」となる「Raving and Drooling」はかなり完成形に近いもので、ギルモアのプレイが光っているしロジャーのベースもさすが。そして興味深いのは「Dogs」と呼ばれる「You've Got Be Crazy」のスタジオ盤とは異なる歌やフレーズなどなど…、これが「Dogs」になるんだが、ここから更に練って心地よさを出しているんだから面白い。ギルモアのギターはかなりやりたいことが表現できているようで、後の完成形が見事すぎるんだけど、ここで聴けるライブでのトライがあってこその完成形だろうか。

 う〜ん、ここまででとりあえずお腹いっぱいの50分。この後に「狂気」全編のライブに入るんだけどそれは「狂気(デラックス・エディション)」で聴けるワケで、最後の「Echoes」だけが出てきてないのかな?ま、いいけど(笑)。後の3曲は未発表バージョンで「Wine Glasse (from 'Household Objects' project)」はそのまま未発表アルバムからの楽曲…ってか「」のイントロの完成形で、そんなのがあったのかっつう感じなんだけどさ、アーテイストってこういう使い回しが上手いよなぁって感じるモノでもあるね。「Have A Cigar (Alt. Version)」これ…ロジャー・ウォーターズが歌ってるのかな?「Wish You Were Here (w. Stéphane Grappelli)」はそのままの曲にバイオリンで挑戦している感じでメロウな音色が聴けるんだけどやっぱり全体感からするとちょっとバイオリンは合わないよな、というのが判る。なるほどチャレンジ精神旺盛じゃないか、相変わらず。

 豪華版も良いけど、やっぱり中味が充実していてくれないとね。ま、贅沢は言わないし、聞ければ幸せですよっていう代物なのでありがたく楽しませてもらいました。ここまで色々聴いてまたオリジナルなオフィシャルリリーススタジオ盤を聴くと新鮮に聴けるかな…。

炎 デラックス・エディション
ピンク・フロイド
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狂気(デラックス・エディション)
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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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ローリングウエスト  
はじめまて!

初めましてローリングウエストと申します。60~70年代ロック大好きな50半ばのオヤジです。ピンクフロイドは原子心母・おせっかい・雲の影あたりが一番好きです。リックライトが数年前に亡くなってしまいましたが、彼の少年のような面影が大好きでした。ロジャーとデイブの両巨頭の中で潰されちゃいましたが・・。これからも時たま覗かせて頂きます。

2012/05/06 (Sun) 14:40 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>ローリングウエストさん

初めまして♪
フロイド初期ですね。別な魅力で楽しませてくれます♪
適度に覗きに来てくれればありがたいです。
割と異なるジャンルを書いてるかもしれませんが…。

2012/05/08 (Tue) 00:09 | EDIT | REPLY |   

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