Big Brother & The Holding Company - Live at the Carousel Ballroom 1968

古いロックの歴史もどんどんと淘汰されてきているのかな、と思ってしまう時もある。今回ジャニス・ジョプリンの発掘音源ライブを取り上げるに当たってWebでちょいとジャニス・ジョプリンについて調べてみたけど、グーグルのせいなのか本当にそうなのかわからないけど、想いの丈をぶつけたジャニス・ジョプリンを語る、広告目的じゃないサイトが見つけにくくなってる。ほとんどがCDやDVDの販売サイト系だったり新作CDのレビュー紹介程度だったりといわゆる公式なWebページばかりがヒットするくらいで、好きな人が熱い想いを語っているサイトやページが昔はたくさんあったし、そっちの方が信用できたからよく見てた。でも、今の時代の方がアップしたり書いたりするのも簡単になっているのに見つけにくいってのはどういう事だ?それはやっぱりGoogleの都合だろうか?そりゃ広告出してくれているサイトをヒットしやすくして稼ぎたいのは当然。当たり前の事だけどWebの楽しさを黎明期から知ってる人間としてはどんどんと変わっていってしまったなぁとややため息をついてしまう。一方ブログ等でこの発掘音源を賞賛したり分析したり想いを語ったりする人も少ないのか、ブログ検索でもあまり引っかかってこない。検索方法が悪いだけという事にしておきたいよな、ジャニス・ジョプリンだし、ブルースの女王だよ?そんなに一般リスナーの注目が低いとは思えないので、自分の探し方の問題としよう。ただ、全般的にそういうサイトが見当たらなくなってるのはあると思う。もっと素人が語っているサイトを全面的に出してくれる方がCD買ったり音源聴く場合に参考になるし。自分ではオフィシャルや宣伝系のレビューは全然読まないし、それなら何も読まないでYouTubeでいくつか聴いて自分で判断した方が確かだと思う。アーティストの来歴は普通にWikiでも良いでしょ。いきなりグチから入ってしまったけど、GWスペシャルなので名盤を語ろう、と言いつつも、いきなりの発掘音源で既に自己崩壊中。
ついこの間リリースされたばかりのジャニス・ジョプリンの…っつうか名義はBig Brother & The Holding Companyの「ライヴ・アット・ザ・カルーセル・ボールルーム1968」というライブ音源。時代的にはBig Brother & The Holding Companyのファーストアルバム「Big Brother & The Holding Company」が1967年にリリースされて売れなくて散々な目に遭いながらもモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演した事でジャニス・ジョプリンの力量が認められて気運上昇、そしてロックの名盤となる「Cheap Thrills」を1968年3月頃に録音して、その後の6月のライブが本作「ライヴ・アット・ザ・カルーセル・ボールルーム1968」で、「Cheap Thrills」が9月にリリースされたという時期。だからほとんど「Cheap Thrills」の勢いのままのライブを収録しているから傑作じゃないハズがなく、ジャニス・ジョプリンの声も最高に出てるし、ここまできちんと歌えているライブも多くないだろう。そして驚くことに当初からライブアルバムをリリースする目的でもあったのか、観客の声などは全く聴こえてこなくて、完全にライブレコーディングが行われているという代物なのも驚く。そしてリリースされた音のミックスも結構斬新で、ジャニスの歌声は左チャンネルに位置していて、ギターが右チャンネル、ドラムも左寄りでベースは底辺に位置しているという音像。意図的だろうけど、やや違和感。しかしその分どの音もくっきりと音が浮き上がっていてはっきりと輪郭まで聞き取れるのは嬉しい。ほんの小さな囁きも聞き取れてしまう。そしてもちろんかなり綺麗に音をクリーニングした感じの音で丁寧な仕事に頭が下がる。まぁ、アルバムジャケットがダサいのはどうにもアメリカのバンドだからしょうがないか、と言う感じだがもう少し何とかならなかったのか?とも思う。
そして内容。まずは曲目を見てもらうと分かるけど当然ながらファーストアルバム「Big Brother & The Holding Company」からと当時未発表の「Cheap Thrills」からの楽曲で揃えられたライブ、更にこの時期実験的にプレイしていた曲がいくつか。正直言ってしまえば楽曲は何でも良いし、楽曲レベル云々を語るバンドではなくてどう贔屓目に聴いてもジャニス・ジョプリンの歌のために存在しているバンドという位置付けにしかならないから、自分が曲を知ってるかどうかってだけでしかない。そういう言い方で言えばまるで曲を知らなくてもこの迫力とジャニス・ジョプリンの歌声にぶっ飛ぶこと確実。そして実は割とキライじゃないのがサム・アンドリューのSGギラギラのギターの音色。それほど上手いワケじゃないのにギラギラと弾きまくるこのプレイは好きだ。ジャニス・ジョプリンと双璧を成すかの如くギターを弾きまくっているところがアマチュアっぽくて良い。それを楽しそうに眺めながら一緒に歌っているジャニス・ジョプリンの姿も想像付くし、随分と楽しそうに歌っている様相もヒシヒシと伝わってくるので聴いている側も気持ち良くなってくるものだ。まだ、ここには妙なしゃがれ声や重さ、暗さみたいなもの、それと悟りきった諦めきった疲れきったジャニス・ジョプリンの姿は聴かれない、純粋にライブと歌を楽しんでいる姿を聴けるという感じかな。このバンドもこの後しばらくして解散するハメになって、その辺りからジャニス・ジョプリンの歌は酒が多くなったからかしゃがれていった気がするし、暗さや重さも悲壮感も出てきたと思われる。そういうライブばかりを聴いていたから今回の「ライヴ・アット・ザ・カルーセル・ボールルーム1968」でのライブはちょっとこの声の艶やかさに驚いた。今までそこまできちんと聴いていなかったって事かもしれないが、ライブアルバムとしてリリースするには良いソースだったのは間違いない。
昔はジャニス・ジョプリン聴くといつも涙してたからあまり聴かないようにしてて、いつしか普通に聴けるようになった。今じゃ様々なソースを聴けるようになってライブアルバムもいくつかリリースされて、その度に聴いたけど今回の「ライヴ・アット・ザ・カルーセル・ボールルーム1968」はかなり良い。涙するという歌じゃなくてボーカリストの力量発揮という意味でロックな音で勝負しているからか聴きやすい。語弊はあるけど哀歌じゃなくてジャニス・ジョプリンの歌として聴けるから。訳分からんね。そんな風に色々と思いながら最後の「Ball And Chain」でやっぱり昇天しちゃうが、この下手くそなギター、そしてジャニス・ジョプリンの歌、時代が許す最高の瞬間。
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