King Crimson - USA

ゴールデンウィークの始まり♪ってことでウチのブログもいつも通り適当な流れで書いていくのは変わらないけど、ちょいと連休スペシャル的に読みやすいアルバムを続々と書いておこうかな、などと。ま、名盤特集的な感じにしたいんだが、結構書いてしまっているのでどこまで名盤という枠組みが通じることやら…(笑)。先日Anekdotenのアルバムを聴いていて、やっぱさぁ、強烈な元祖を聴くってのも良いよな、などと思い付き、更にどうせGW特集ならアングラブートものでもいいか、とか思ったのだが、クリムゾンの場合は何がなんだかわからないくらいにライブ盤がオフィシャルでリリースされていて、そのヘンを情報整理して発信するのは無理だ、と思いましてね、じゃ何かあるかな〜なんて、過去ログ見てみると、書いてないのがありました。それにしても昔の自分のブログ記事は実にコンパクトだ。もっとたっぷりと書いておけば良かったのにと思う記事が多くてもったいない。その内書き直しもアリとしていこう。多分昔はさ、PCにしても画面サイズが小さかったから画像も小さくしていたし書く文章量もWebブラウジングしてて適度に読める範囲に抑えていたってのはあるんだが、それにしても今の大画面で見ると少ない情報量だな〜などと。そんなこんなでもう7年目に突入している本ブログ、よくやるわ…と呆れつつまだまだ聴くものも書くものもいくらでもあるという潤沢なロックの世界、やっぱりいいよ。
ってなことで、GWスペシャル一発目はKing Crimsonの「USA」。オリジナルは1975年で解散発表後…っつうか解散してからリリースされた企画盤的な位置付けだったし、もちろん当時のライブ音源なのでオーバーダビングは普通に行われていたってこともあって何となくマイナスポイント高かった。でも、音を聴くとそんなことはどうでも良くて、とにかく聞け、的な名盤なのは確かだ。それからアナログでは一回くらいしか再発されていないんじゃないだろうか?その後CD時代では全くリリースされなかったんだが、21世紀に入ってようやくフリップ卿お墨付きでCDリマスタリング、ボーナストラック付きでリリースされて狂喜乱舞。それまでにも様々な編集盤やライブボックスなどで「USA」の元ソースとなっている1974年6月のアズベリー・パークとプロビデンスのライブが発掘リリースされていたこともあって、もしかしたら生ライブソースを出しているってことは「USA」っていう編集ライブはリリースされないかも、なんて言われていた時期もあった。まぁ、こんだけ生ライブがリリースされてしまうと「USA」の編集跡がバレるワケで、今に至るまでオフィシャルサイドから明確に「USA」の曲別のライブの詳細や編集の詳細などは出てきていないみたい。いつもあれだけデータに細かいフリップ卿がそんなのを把握せずにリリースしているとは到底思えないの全て掌握しつつも詳細情報を出さないというのが懸命な見方だろうと。
一方狂信的なファン達によればかなりの部分で詳細が把握されているようなことで、そっちの情報の方が全然面白くてさ、結局色々と混乱を招いていたもののほとんどアズベリー・パークのライブが基本になっていて、それにプロビデンスのソースが入ってる感じだそうだ。エディ・ジョブソンのオーバー・ダビングっつうか差し替えは3曲「太陽と戦慄II」「21バカ」とピアノで「Lament」ってことらしいが、某アズベリー・パークの生ライブを聴いてみるとデヴィッド・クロスのバイオリンフレーズと同じ箇所も多数ある訳で、ってことは??ん?みたいな話。差し替えではなくて修正をエディ・ジョブソンが行ったという程度なのかもしれない。そしてプロヴィデンスのライブはもうほとんどが「USA」とは異なる演奏なのでやっぱりアズベリー・パークが妥当なんだろうという結論に落ち着いているようだ。そしてもちろんのことながら長い長いインプロ中心のバンドのライブシーンにはやや冗長に思える部分もあったようで、その部分はしっかりとカットされていることもよくわかる。アズベリー・パークというインプロな曲ももの凄い迫力なんだが、生ライブ盤を聴いているとしっかりとカットされている部分があるのがわかるし、それは他の曲でも似たような箇所がある。CD化の際にボーナストラックで収録された「Fracture」「Starless」にしてもそれは然り、のようだ。最も作品としてのライブアルバム「USA」は位置付けとしては「Starless & Bible Black」や「Red」のようにライブソースを元にスタジオで仕上げたというものに近いのかもしれない。言い換えればスタジオソースを元にライブで仕上げた瞬間、それをスタジオで編集したというだけで、確かに「Starless & Bible Black」や「Red」と大して位置付けは変わらないとも言える。リスナー側はどうしても「USA」をライブ・アルバムだから、と決めつけたがるけどフリップ卿とすれば様々な理屈をこねながらも結局既成概念から離れられないリスナーはしょうがないな、みたいなトコあるのかもね。そう考えるとこの編集アルバムは編集アルバムとしての価値が高いワケで、リミックスも妙な編集も納得のトコロに落ち着くのだ。その分生ライブちゃんと出してるだろ、ってのが言い分なんだろう。
さて、そんなアルバムそのものの来歴などはともかく、人間としてとにかくこの「USA」のライブは狂気の沙汰でしかない。この頃メンバー多分25歳前後で、この演奏力と破壊力、そしてこの楽曲構築美。一体何なんだ?特に「USA」ではライブの破壊力にフォーカスした作品となるワケだからこのインプロビゼーションのレベルの高さ…レベルとか超えてるから(笑)、各楽器のぶつかりあいとアンサンブル、掛け声だけでバンドが生き物のようにどんどん変化進化していきマンネリ化という言葉が程遠い同じタイトルであるかのような楽曲群、便宜上「Asbury Park」としている楽曲だって、曲間の適当なインプロから発展しているもので、どのライブでもそういう試みが行われているのは生ライブリリース群を聴いていればわかる。それでもこうしてこの時代に正式に収録されるとやはりぶっ飛ぶインプロなワケで、正直これくらいの収録時間だけではKing Crimsonのライブは伝え切れないし、その場にいたらもう完全にぶっ飛ぶくらいの凄まじさであったに違いない。全盛期に日本に来たことがなくてこれだけ日本で支持されているバンドも少ないので、よほどの破壊力だったのだろう。見たかった。King Crimsonについては全盛期のライブ映像も断片しか残っていないのでまったくその様相を見ることが出来ないに等しいバンドなんだよな。写真見る限りはかなりダサいバンドにしか見えないんで、もしかしたら映像がない方がカッコ良いままの幻想を抱かせるのかもしれんが…。
はて、色々と書きすぎているのでボチボチ…、「USA」、この破壊力を気に入ったら今の時代ならその先にいくらでも生ライブアルバムが手に入れられます。アマゾンでも売ってるしオフィシャルサイトでも入手できるのでぜひそっちを聴いてほしい。1973-74年の第3期クリムゾンのライブは今の時代に於けるまでこれだけの破壊力を伴ったバンドは存在していないワケで、その理由が納得できるだろう。そして「USA」はその濃いライブの中でも一番充実していた1974年6月末のライブから収録しているので、正に狂気。ちなみに7月1日がこのクリムゾンのラストライブになったので、モロに直前、疲弊しきっているメンバーの最後のエネルギーがここでぶつかり合ってる、まるでホタルの愛のようだ(笑)。いや、それくらい強烈なライブパフォーマンスに触れてロックを感じてほしい。
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