Hawkwind - Hall of the Mountain Grill

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Hawkwind - Hall of the Mountain Grill (1973)
Hall of the Mountain Grill Space Ritual
Space Ritual (Remastered) - Hawkwind Space Ritual (Remastered) Space Ritual, Vol. 2 - Hawkwind Space Ritual, Vol. 2

 スペイシーなロック世界を変幻自在に固定観念に囚われることなくプレイし続けたバンドのひとつにホークウィンドってのが出てきて、ご存知motorheadのレミーが在籍していたバンドってことで知られるんだけど、バンドそのものもレミーの存在云々ではなくても話題性を持っていたと思うし、英国ロック史の中でも異端な存在感を発揮していたんじゃないかな。今となってはレミーの、という形容詞は外せなくなっているけど、それをきっかけに聴くファンが増えればそれはそれで新たな世界観を提供できるんだろうからね。自分的にはそんなにスペイシーなロックって惹かれなかったんだけど、Hawkwindの数枚のアルバムはやはり傑作として語られているのもあってプログレの延長という路線とレミーのいたバンドっていう意味で聴いていたかな。前者でも後者でもピンとこなくて余計な形容詞があるからいけないんだ、と言うことに気づいてからのHawkwindは純粋に英国サイケの王道だ、として聞けるので面白い。

 1973年にリリースされた5枚目のアルバムにしてスタジオ盤では多分最強のアルバム「Hall of the Mountain Grill」だ。当然ながらレミーもブイブイとその存在感を示しているけど、バンドとしてのHawkwindの凄さ多様さ奥の深さ幅の広さなどなどを掘り下げまくった一枚でもあり、それでいて従来のHawkwindが持つスペイシーなハードさというのもあるのでファンを裏切ることもなく変化していってる作品。そのど真ん中にいるのが新加入のサイモン・ハウスというヴァイオリンと鍵盤を弾く男。どうしてヴァイオリンを弾く男は鍵盤(メロトロン)も弾きこなす男が多いのだろう?きっと根っからの音楽家だから鍵盤は普通なのだろうけど。そんな純粋な音楽家がこんなヘンなサイケ集団のホークウィンドに加入してしまってメロトロンによるプログレッシブな主張を始めてしまったのだが、それを単純にコレまでのバンド構造にプラスオンしているところが凄い。普通はその分どこかが削られていくのだが、「Hall of the Mountain Grill」では見事にプラスオン。誰かの出番が減るとか音楽的に損失があるのではなく純粋にプラスオン。メロトロンってやっぱりこの時代の産物でさ、強烈にメロトロン色を発揮してしまうんで結構危険な楽器なんだよな。スピード感なくなるしさ。ところがそれをものともしないHawkwindの姿が聴けるのが「Hall of the Mountain Grill」だ。

 最初はハードなギターとスペイシーな空間のサウンドで攻めてきてメロトロンやバイオリンもちょろっと紹介。この一曲目の「The Psychedelic Warlords」でハマった人は多いんじゃないだろうか?カッチョ良いです。そこからは意外とプログレッシブ&叙情性すら感じさせるメロトロンなどが続き、恒例のドラッグ&スペイシーなサウンドが出てくる…「You'd Better Believe It」ってサイモン・ハウスが加入した頃のライブバージョンだそうで、なるほど前作「Space Ritual」の雰囲気がたっぷりと残されている曲で心地良い。Hawkwindって結構メンバーの主張も強かったようで…そりゃまぁこれだけの放蕩者たちの集まりだから当たり前なんだろうけど、しっかりとそれぞれが個性を出すかのように曲作りや歌に参加しているという面白さ。アルバムタイトルにもなったカフェの歌「Hall of the Mountain Grill」ではしっとりとサイモン・ハウスが音楽家としての器量をオーケストレーションで聴かせてくれるのだが、そんな余韻が無残にも次のレミー快心の一曲「Lost Johnny」でぶっ飛ばされる。歌にギターにベースにレミー一色で作られただけあって、余分な装飾音が邪魔に聴こえるんだけど、面白いのはHawkwindで演奏しているからか、やっぱりサイケデリックな雰囲気に仕上がっているってとこだ。やっぱりmotorheadとは違うね。それにしても何とも充実した作品じゃないか。

 不思議なことにHawkwindってそんなバンドなんだ、と思う割に音楽性からかもの凄いロックを感じるというものではないというのが面白くて、ちょいと器用なロック好きのバンドみたいな感じなんだよね。多分メンバーは全員恐ろしくロックなハズなんだけど(笑)。割とHawkwindをど真ん中で聴いていたことはなかったので、今回またじっくりと聴けて良かったなぁ。気分を選ぶけどこんだけの名作ってなかなか出会えないから面白かったもん。

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フレ
Posted byフレ

Comments 6

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デューク中島  
このレコードを買ったものの

昭和51年頃LPを大量処分した時に なぜか手放してしまったんです。
CD時代になってからまた懐かしくなって買ったものの
またそのCDも手放してしまいました。
貴エントリーを拝見して また買おうかな?なんて
何をやってるんだか(苦笑)。
成功をおさめたのは、SILVER MACHINEが入ってる3RDなんでしょうけど、
私にとっての最高傑作は 2NDでした。
MASTER OF THE UNIVERSEが好きで、結局は
2NDに戻る感じですね。 

2012/04/16 (Mon) 22:34 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>デューク中島さん

いや〜、Hawkwindって結構そういうバンドですよ。
自分も二回くらい売っ飛ばしてますもん(笑)。
後追いの自分は「Space Ritual」からでした…。

2012/04/18 (Wed) 21:29 | EDIT | REPLY |   
ひで  

ホークウィンドは一時期夢中でアルバム漁ってました。
レミー在籍の頃の作品がやっぱ良いですね。これは良く聴いた一枚です。多分一番バランスが取れてんじゃないかな?

2012/04/27 (Fri) 01:08 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>ひでさん

うわっ、追っかけてたんだ、さすが!
自分は全部は聴いてないですけどやっぱレミー期は充実してたんですね?
レミーの才能なのかな。

2012/04/27 (Fri) 21:55 | EDIT | REPLY |   
poponta  
リンクさせて頂きました。m(_ _)m。

popontaのROCK TIMEMACHINE でHAWKWINDの" SPACE RITUAL "を紹介するにあたりまして、貴殿の記事にリンクさせて頂きました。もし、ご迷惑でしたすぐに切断いたしますでお知らせをお願いいたします。同じロック好きとしてきっとお許し頂けるものと信じております。どうぞよろしくお願いもうしあげます。

2016/04/23 (Sat) 06:18 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>popontaさん

了解です、ありがとうございます。

2016/04/24 (Sun) 18:17 | EDIT | REPLY |   

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