内田裕也とフラワーズ - Challenge!

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内田裕也とフラワーズ - Challenge! (1969)

CHALLENGE!(紙ジャケット仕様)
Challenge - Yuya Uchida and The Flowers Challenge

 70年代の日本のロックからして現在に至るまで日本のロック界で必ず最後に名前が挙がる大御所が一人。自分的にはもう世代が全然異なるので感覚論がまるでわからないんだが、多分相当にトンがって生きてきた人なんだろう、くらいの認識しかない内田裕也さん。今じゃ白髪ジジイなんだが、これがまたとんでもないジジイになっていて、見るたびに苦笑してしまうくらい。もう半世紀くらいの間日本のロック界のドンになっているんじゃなかろうか?先見の明もあっただろうし、ロックな人なんだろうとも思うんだが、実際にどんなアルバムで、とかそもそも歌う人なのか何なのかすらよくわかっていない。存在=カリスマな人だったのかもしれないし、プロデューサーとして名を馳せたらしいが、それもそんなに多くのアルバムは知らないし、不思議な存在だ。そんな内田裕也さんが全面に出ているアルバムとしては割と名高い…と言うか70年代ロックバンドから遡ると出てくるのがコレ。

 内田裕也とフラワーズの唯一のスタジオ・アルバム「CHALLENGE!」、の再発CDが出てますね。このジャケットからしてもうキワモノ、日活系みたいなイメージできっとエロ三昧な音なのだろうとか勝手に思っていたんだけど、これこそ内田裕也さん活躍…いや、ま、実際は後のFlower Travellin' Bandの面々が活躍しているバンドで、歌は麻生レミってことで、内田裕也さんはメインタンバリンとプロデュースってことらしい。よくわからんが、まとめ上げる才能に秀でていたんだろう。それはともかく、ジャケットの通りに麻生レミのエロ劇場かと思ってたらこれがまた意外なことに結構な、いや相当な歌唱力と演奏力による英米王道ロックのカバーを見事に再演しているという驚き。しかもリリースされたのは1969年っつうから思い切りリアルタイムに近い時期に既に独自アレンジとカバーを日本で行なって、しかもそこに日本特有のエロ素材を加えてのリリースはさすが。音はもちろんプロのサウンドでどこに出しても恥ずかしくないどころか相当の凄腕ばかり…なぜって、60年代を風靡したGSの中でも上手い連中を纏め上げているバンドだからそりゃ後にFTBになって世界をブイブイち言わせるハズです。ギターもベースもドラムもとんでもなく60年代風味を発散したバンドで、そこに麻生レミの色気たっぷり且つ不思議なパワーを持つ歌唱力が重なってくるのだから悪くない。しかもやってる曲は王道だから馴染みもある。面白い路線によるアルバムだ。

 堂々とジャニスをカバーしている麻生レミの歌唱力も時代を考えればまだまだそんなにジャニスが伝説になっているワケでもなく、まだ存命中だったジャニスをそのまま真似て歌っているだけってことだろうけど、かなりそれらしい雰囲気になっているのは良いね。同じくグレース・スリックだったりジミヘンだったりジャック・ブルースだったりするけど、バックの演奏がまだまだロックそのものには成り切れていない部分はあるけど、そんなもんだろう。しかしベースが凄い。売れない要素は多分に持っているロックでキワモノだけど、やはりニッチに受けた。そこが当時。なるほど面白い試みを実践していたんだなぁ…と。日本のロックを語るにはこういう作品を忘れちゃいけない…はずだ。



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フレ
Posted byフレ

Comments 7

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デューク中島  
ジャケットと曲目で買い

似た時期に フィリピン出身のバンド「デスーナーズ」が、似たような洋楽カバーLPを出して、それも買ったのですが、テンポが あと0.5秒速ければ 乗りがいいのに って感じで、フラワーズの盤の方が 好きでした。「ラストチャンス」みたいなGS歌謡曲を歌わされてた彼らが、「世界には、こんなロックがあって、俺達がやりたいのは、こんな音楽だ!」って叫びは 理解出来るのですが、当時のロックファンならオリジナルを知ってるし、オリジナルを日本盤で手に入れられた曲ばかりですから それなりに楽しいけれど、「出す意義あるかなあ?」「それで、あんた達、これから どうすんのよ?」と 疑問を感じるレコードでしたね。

2012/03/29 (Thu) 23:02 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>デューク中島さん

へぇ、フィリピンのバンドですか。それもまた時代…。
確かに「これ何のために出してるの?」ってのはありますね(笑)。
今じゃオリジナルが当たり前ですが当時はカバーも当たり前かと勘違いしてましたがやはり皆そう思ったんですね。

2012/04/01 (Sun) 08:31 | EDIT | REPLY |   
夢人  

麻生レミのボ-カルとしての素晴らしい才能、と・・・このジャケに魅かれてLP買いました。衝撃的でした・・・

2013/02/06 (Wed) 16:30 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>夢人さん

うん、ジャケ、っすね。才能ある麻生レミさんがコレですからねぇ。

2013/02/08 (Fri) 21:52 | EDIT | REPLY |   
MIKAE  

太字の文40年位前、まだ高校生のころ、神田共立女子大学の講堂でロックコンサートがあり、見に行きました。モップスとかパワーハウスとか出てやるほうも見るほうもすごく新鮮だったです。その中ではじめてレミさんを見ました。黄色いロングドレス着て、ジャニスのメイビーを歌ってましたけどその姿がもの凄く素敵でした!女の人がロックを歌ってるのを見たのはじめてでなんてかっこいいんだろう!と思いました。アメリカから帰ってきて日比谷の野音でも見ましたけどさらにかっこ良かったです。その後にカルメンマキさんが出てきましたが、なんか声がきれいで何となく違和感がありました。レミさんにはもっとロックやってもらいたかったです。現代の評価だとマキさんがナンバーワンロックシンガーみたいになってますけど。あの夜見たレミさんが私の中では一番ですね!

2014/03/23 (Sun) 17:20 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>MIKAEさん

へぇ…、そうなんですか…、やっぱり時代を通ってないとわからないことありますね。後追い世代は結局残された作品でしか知ることが出来ないんでそういった生体感はすごく羨ましいです。

2014/03/30 (Sun) 20:49 | EDIT | REPLY |   
MIKAE  

リコメントありがとうございます。
リアルを知ってるという感じはほとんどないです。美術系の学校へ進み、気が付いたらウッドストックの直後で、周りはロックファン、またはロックやってる人ばかりでした。私なんかBF含め周りがそうだからよく見に行ってたので、ほんとに好きになったロックは90年代のアメリカのバンドばかりでした^^。(むしろ70年代はアースが大好きで武道館の79年のコンサートいきましたけど、素晴らしかった、いまだにあの重量感をおぼえています。)
野音でレミさんやった時、観客総立ちでした。ものすごかった!マキさんに関しては周りの友達の評価低く(まあ女の友達ですけど^^)ぜんぶ、アアアア!じゃねえ・・とか言ってました。時が経過してこうなるとは思わなかったですね。

2014/04/08 (Tue) 18:53 | EDIT | REPLY |   

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