Flied Egg - Good Bye




70年代初頭の日本のロックはまだまだ産声を上げたばかりに過ぎないもので、今聴けば音楽性は稚拙なものだし、多分アマチュアレベルでもやらないだろうスタイルのロックサウンドかもしれん(笑)。ただ、このエネルギーとロックへの傾倒ぶりは今ではまず聴かれないもので、そのパワーたるや凄まじいものがある。ロックって?うん、自分なんかはこういうエネルギーやパワーの塊が響くトコロかな。そんな音だけど聴いてるとやっぱり音楽性の問題からどうしたって飽きてしまうというのもあるのだが…、こういうバンドがあったからこそ今のロックに結びついた…部分はあるんだと思いたい。まぁ、現実的にはあまり独創性があったってのが多くないのも事実かもしれないのだが…。
1972年にリリースされたフライド・エッグってバンドのセカンドアルバムにしてライブ盤?でもあり、正にどこかで聞いたようなラストアルバムのタイトルともなる「グッバイ・フライド・エッグ」という作品。どこからどこまでも真剣に英国ロックを愛したロック野郎達の想いが詰め込まれている。その思いを込めたロック野郎ってのはつのだ☆ひろとか成毛滋とか高中正義って3人だ。ちなみに高中正義はベース弾いてますけどね、まだ19歳でこのメンツに抜擢されているんだから只者じゃなかったってことでしょう。そして言わずと知れた角田ヒロ、そして正にロックジャンキーな成毛滋のギター…、凄いなぁ~、このパクリ具合。パクりってんでもないか、英国ハードロックへの望郷って言うべきか…。話は逸れるけど自分がやってたバンドの音ってもちろん自分で曲作ってギター弾いてたんだけどさ、こういうバンド達と同じ方向性をやってたもんなぁ…。テクニックとかセンスとか才能の違いはもちろんあるけど英国ロックへの望郷とか聴いていたものとか、なってみたいロックの姿とかかなり一緒だったんだろうなぁと改めて思ってしまう。先日のFlower Traviellin' BandにしろBlues Creationにしろ同じように感じて楽器を持ってバンドを組んでプレイしてたんだろうなぁと。自分のバンドの曲とギタープレイってホント、こんなんだし(笑)。だからさ、フライド・エッグの「グッバイ・フライド・エッグ」もそうだけど、聴いてて先が読めるっつうか、あぁ、こう来たか~とかあの辺パクってきてるな…とかこういう雰囲気を出したいんだなぁとかわかっちゃってさ、楽しめるけど何度も聴かないで良いっつうか(笑)。
聴いたことない人にわかりやすく言えば、もちろんほとんど英語、それがどんだけの英語かは別として。歌ってるのはつのだ☆ひろがドラムを叩きながら、思い切りワイルドに熱唱してくれてます。ドラムはちなみにかなり思いドタバタ感溢れるスタイルで正に王道ロックのドラミング。ベースは高中さんだけど、もちろんギタリストな人だからこの時代のロックベーシストに成りきって弾けているのは当たり前で、結構流れるように弾いているのがさすが。このリズム隊でかなり重い生々しいサウンドを出してくれているので思い切り暴れられるのが成毛滋のヘヴィーなオールドタイムなギタープレイ。歪みとワウくらいしかないけど完全にこの時代のロックギターです。速いフレーズとかじゃなくて情緒あるプレイとともすれば演歌に成りがちな哀愁のあるプレイが英国に準じている点はさすがです。曲調は…、そうだなぁ、ヒープやジミヘンやクリムゾンやEL&Pをやってるクリーム、ってトコか。気持ちはツェッペリンなんだろうけど…みたいな(笑)。この時代にどんだけ冗談が通じたのかわからないけど、明らかに本気の冗談をやってる。だから2枚で終えてそれぞれ本来の才能ある活動になるんだろうけど、このバンドはそういう意味では奇跡。70年代英国ハード・ロック好きなら聴いておいて損はしないんじゃないか?っつうか同時代に日本でもここまで英国ハードロックをやろうとしていたバンドがあった、ってことが凄い。ま、日本らしいっちゃあ日本らしいんだが…。
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