Night Ranger - 7 Wishies

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Night Ranger - 7 Wishies (1985)
セヴン・ウィッシーズ

 産業ロックってひとつの歴史が織り成した結果としては割と必要なものだった気がするし、どこか軽んじてしまう傾向があるけどその実産業ロックと呼ばれるバンドってどれもこれも凄い実力のあるミュージシャンが揃っているバンドばかりでさ、出てくる音としてはともかく、演奏しているミュージシャンはとんでもなくテクニシャン。だから好みはともかくとして、産業ロックってのはバカに出来ないジャンルだし、そこに位置するバンド群は卓越したミュージシャンばかりなのだ…と持ち上げてみる。まぁ、所詮は好き嫌いで音楽を聴いているのでどうしたって好みは出る。自分的にはやっぱりTOTOやジャーニーってのはあんまり聴かないもん。それでも、後に産業ロックに変化してったBon Joviやナイトレンジャーは聴くから、やっぱり自分が受けた印象による要因が大きくて、決してジャンルとしての差別ではないんだろう。

 1985年(!)にリリースされた産業ロック化が懸念されたナイト・レンジャーの三枚目の作品「セヴン・ウィッシーズ」は、どっちつかずの中途半端なアルバムになっちゃってる気がする。出てくる音は従来から持っているナイト・レンジャーの音に間違いなく、それをどういう言い方しようともアメリカンで快活な、爽やかなカラッとした空気でハードなロックを奏でてくれる事に変わりはないし、ある意味ファーストアルバム「ドーン・パトロール」の頃からまるで進化していないハードロックを聴ける。ただ、今回の「セヴン・ウィッシーズ」はちょいと惜しいことに従来の「Don't Tell Me You Love Me」や「Rock In America」みたいなキラーチューンが入っていない。何と言うのか、そういうロックのキラーチューンよりももっとメロウで口当たりの良いサウンドがアルバムを占めていて、それこそが本作の評価をちょいと下げているような気がする。あ、それはハードロック好きなファンからしてみたら、って意味で、そもそもこの時期にナイト・レンジャーに求められていた往年のバラードバンドとして入ってきた人には程良い甘さがブレンドされていて、究極の「Sentimental Street」が入ってるから悪くないだろう。アルバムとしてもハードな曲から入ってミディアムな感じに進みメロウになってちょいとゴツゴツしてから究極のバラードに進むという曲の並びで実に良く出来ている。

 そういえば自分的には全然意識した事ないけど、ナイト・レンジャーって良質バラードを生み出すバンドとして全米では有名なようで、それがハードロックバンドとしてのナイト・レンジャーの先行きに影響して進めなかったと聞くけど、そうかね?ま、そりゃ「Sister Christian」と「Sentimental Street」とあるが、その二曲くらいじゃないの?ま、それが代表と言われてしまえばそうなのかもしれないか。その前に「Rock In America」もあるしねぇ…。世間で言われているほどバンドの論評がそこに集約されているとは思えないが…。それにしてもその影響はレコード会社経由でバンドに圧力がかかっていたのかメロウなナンバーが多くなってきたのは事実。ジェフ・ワトソンもブラッド・ギルズも自分たちの得意技をあまり出し切れてない感はあるもん。ただ、冒頭に書いたように基本的にテクニシャンだし、ミュージシャンとしても一流なので決して自分たちのテクをひけらかすだけではなくて楽曲に最適なプレイを出してくる、その中で個性が出るならそれはそれでテクニックの一部、みたいな感覚で作っているハズだから目立たなくても至極当然だろう。なかなか評価されにくかったのかもしれん。実際このアルバムでも「This Boy Needs To Rock」で思い切りギタープレイをカマしてくれているしね。いやいや、爽やかで良いアルバムですよ「セヴン・ウィッシーズ」は。




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フレ
Posted byフレ

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