Yngwie Malmsteen's Rising Force - Marching Out

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Yngwie Malmsteen's Rising Force - Marching Out (1985)
Marching Out Rising Force

 イングヴェイのプロとしてのキャリアの始まりは狡猾で計算高いものだったと思える。実際にそういう意図だったかどうかは知らないし、どの時点からそんな方向に進んで考えていたのかもわからない。ただ、結果論としては当時のシーンに於いてはもの凄く素早く珍しい形でキャリアを形成していったように見えたものから、一体どうやったんだ?と思った。それでもしっかりと上質な作品をリリースしてその自信を堂々と見せつけていった辺りはさすがだろう。1983年にアルカトラズでグラハム・ボネットの相棒として名を上げてライブツアーを幾つかこなすものの、翌1984年には脱退、どころか既にソロアルバムとしてのマテリアルをたっぷりと揃えていたようで、早速ながらの自分名義のファーストソロアルバム「Rising Force」をリリースして超絶ギタープレイをギター小僧達に浴びせてきた。更に活動的に来日公演も含んだライブツアーを精力的に行なって1985年には続くセカンドソロ…っつうかRising Force名義でのファーストアルバムをリリースしてきたという活躍ぶり。果たしてアルカトラズでの活動は単なる名前売りのステップでしかなかったと思うワケだな。実力が無きゃその後もない話だから遅かれ早かれこうなってはいたんだとは思うけど、見事なくらいにハングリーに使えるものは使えという精神が出ていて面白い。

 当時情報が不足していて、アルカトラズを知った時にはもうイングヴェイはいなかったし、イングヴェイってソロ出したんだ…と思ったら来日してすぐにせカンロソロの「Marching Out」をリリースするっつう話だし、まぁ、追い付いていくのも大変なくらい目まぐるしく状況が変わっていったものだった。ま、そこまで必至なファンでギター小僧だったかと言われるとちょいと違っていて、割とすぐに速弾きなんてのには飽きてしまったクチ…ってか自分にはそういうのは無理だなって悟ったのと王道R&Rが好きになっていったってのもあるか。そんな経緯があってイングヴェイの「Marching Out」は聴いてたけど結構一瞬だったかな…と当時を振り返って思う。作品の深さとかそこまで理解する年齢ではなかったな…。

 改めて聴いてみればHR/HM的にかっこ良い曲も並んでいるし、「Disciples of Hell」のイントロは完全にクラシックギターそのものが演奏されていて、目を見張る幅の広さもしっかりあった。イングヴェイ本人が弾いてるのか?と当時は一瞬不思議に思った気がするが、そういう一瞬に自分のスタイルとは異なる世界も出来るんだっつう事を示していたのも商売人として上手いものだ。売るスタイルと出来るテクニックは別モノってね。後にはクラシックでオーケストラとの共演も果たしているけど、完全なクラシックギターだけのアルバムなんてまだ出してないよね?多分…、いやどうかよく分かんないが。

 しかし「Marching Out」で聴けるHR/HMの数々は冷静に聴けばやっぱりヨーロッパ的な様式美が満遍なく振り掛けられているし、そのヘンが当時のアメリカのメタル陣営とは大きく異なっていて英米の違いもさほどわからなかった頃に聴きながらもその異質な感じを好んでいたということに気づいたものだ。「Marching Out」ってイングヴェイのアルバムの中でも名作なんじゃね?相当充実した楽曲ばかりが詰め込まれてて様式美もテクニックもあるから安定して聴けるし、凄いと思うんだよな。多分名作だ、これ。普通に聴いてたけど(笑)。



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フレ
Posted byフレ

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