Hard Stuff - Bolex Dementia




情報漁りをしながらアマゾン見ていると何やら紙ジャケシリーズも実に色々と出て来ているようで、まぁ、あんまり紙ジャケには興味がないのであくまでも時勢を見る程度の情報なのだが、その中でふとHard Stuffというのが目に入ったんだよね。しかもセカンドアルバム「ボレックス・ディメンティア」なんてさ…、一体今の時代に誰がそんなもん欲しがるんだ?と思うようなリリース。…冷静に考えてみればそんなもん、と思った自分が一番欲していたりするんだから、きっとそういう輩が沢山いるんだろう(笑)。いやね、一生懸命コレクトしている時にはなかなか見つけられなくて、とか手を出す余裕がなくて、とか諸般の事情で書い逃しているアルバムっていっぱいあってさ、しかもHard Stuffのセカンドアルバムなんて一生懸命探して買うもんでもないから抜けっぱなしって所でさ、そうこうしている内にレコードなんて見かけることすらなくなってくるし、CDですら初期のはもう終わってるし、そもそも流通量が多すぎて訳分からんのだが…。
Hard Stuffのセカンドアルバム「ボレックス・ディメンティア」、1973年リリース。ファーストアルバム「Bulletproof」は割と話題性もあったようで、何かと取り上げられるようなこともあったのだが、セカンドはねぇ、何となくピンと来ませんでした、当時。いや、ジャケットだけの話。来歴はアチコチで書かれているんでテキトーに書いておくとQuatermassとAtomic Roosterのメンバーが合体して出来たバンドで、それ自体がもうアングラな世界の話でさ、もちろん出てくる音もその名の通り実にマニアックな世界(笑)。70年代初期の何でもありなごった煮ロックの象徴でして、Hard Stuffが面白いのは鍵盤奏者がいなかったためにトリオでのロックバンドでしかあり得なかった、そしてジョン・グスタフソンというちょいと変わり者のベーシストがいたことで、何つうのか…えらくファンキーな、音の途切れるベースを中心にギターが装飾音を加えて何か出来上がっているっつう感じ。最初にCDでこの「ボレックス・ディメンティア」を聴くと冒頭から無茶苦茶しょぼい音が流れてきて、何かなぁ~なんて思ってたら、実はアナログ時代は、っつうか本来のアルバム構成はCDで言う6曲目からで、何でだかわからんけどどのCDもアナログのA面とB面が逆に入っているらしい。日本の誇る紙ジャケ再発盤ですらそうなのか?とその辺の詰めの甘さこそがHard StuffというB級なバンドに対する扱いなのだなと。
そんな知識を得て、再度6曲目からアルバムを聴いてみると、これがまたエラくかっこ良く聞こえるもんだから面白い。きちんとギターリフ主導でヘンなベースラインが曲を引っ張っていくちょいと歌の弱いバンドだよ、ってのがちゃんとアピールされている。これでこそ英国B級バンドの主張。やはりB面一発目からアルバムを聴いてはいけないのだ。何でそんな編集なんだろうねぇ。しかし線の細いギターにワウペダル、一方では実に太いベースの音、面白いな。黒い感じの音を狙ってはいるけど、それはベースのラインだけでブルース臭さもポップらしさもソウルらしさもなく、単にやや際立った感のあるラインだけが今となってはHard Stuffの特徴になっているのか、正に英国のセンスで、面白い。この辺をまとめて聴いている人には涎モノですな(笑)。
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