Metallica - ..And Justice for All


重いメタルをじっくりと聞きたくなったので何にするかと…、うん、常に名盤と言われつつもなかなかその音が好きじゃなくてあまり手を出し切れていなかったアルバムがあった。メタリカの「メタル・ジャスティス」。リアルタイム時から聞く機会はあって、何度か手を出していたけどどうしてもこの音が好きになれなくて。音楽というよりも音作りの方ね。もっともスラッシュ・メタルなんて全く聴かなかったので分かんないけど。それでも「One」のPVが話題になった頃にテレビで見てて、映画「ジョニーは戦場へ行った」のシーンを混ぜて作られたメタリカ最初のプロモって事で重さとスタンスを感じた。好き嫌いと言うよりもそのスタイルとポリシーを実感したってトコだ。
何度となくトライしてみて、また周りの評判もかなり良くて時代はどんどんとメタルやスラッシュやその派生の音が市場を広げて今じゃ完全に市民権を得ているという状況、その走りに存在したってことで元祖になっている部分はあるんだろう。そんなのもあって、まぁ、知らないってのもアレだな、ってことで何回目だろうねぇ、「メタル・ジャスティス」に挑戦したのは。やっぱり最初に感じた音の薄っぺらさと低音の無さは致命的なままではあるが、最近ではうるさい音にも慣れてきたのか音楽的には聴けるようになったようだ。今の時代に比べれば全然音楽しているよ、この「メタル・ジャスティス」はまだ。
この音のバランスの個性はともかく、曲としてどうか?ってのがある。多分相当パワフルで勢いのある曲が並んでると思う。ライブで残ってる曲も多数あるだろうし。ただ、どうしたってアルバムとして聴くにはちょいとキツイ。音の単調さがアルバムの単調さになってる。それでもギターが派手なのでアクセントはあるが、それも一辺倒でメリハリがあまり見られない感じなのかな、そういうモンなのかもしれないが。ただ、楽曲そのものはリズムも微妙に変化していくし、それを聞き手にあまり感じさせないで繋いでいるっつうのは見事だし、ギターのリフがそれを繋いでいく巧さもある。だから音が良くてバンドのサウンドだったらもっと凄く聞こえた作品なんだろうと。まぁ、それも含めてメタリカがベースを失って代役を見つけてリリースしたどん底時代のアルバムって事の象徴だろうか。ジェイソン・ニューステッドの話聞いてるとホント悲惨なバンド生活だったらしいし、そういう陰湿な部分が作品に出てくるってのも何かなぁ…やっぱり病んだ90年代アメリカの象徴だろうか。いやいや、このアルバムで試行錯誤して次の「メタリカ」で爆発…、ただ、それが意図した方向ではなかったとは思うけどな。だから「メタル・ジャスティス」はある意味初期メタリカの最終章として語られるのだろう。
- 関連記事
-
- Metallica - Metallica
- Metallica - ..And Justice for All
- Lou Reed & Metallica - Lulu