The Beatles - For Sale




60年代にストーンズの対抗馬として君臨していたのがもちろんビートルズ。当時の状況では特にストーンズとビートルズが目立っていたというものでもないとは思うのだが、やはり突出した人気があったのは間違いない。人気という意味で二分していたのがこの2つのバンドか。ただ、その周辺にはアニマルズもデイブ・クラーク・ファイブもキンクスもサーチャーズもあったりしたわけで、ただその寿命と言う意味でバンドが限られてきたというワケで、それは時代が流れたからそうなっただけで、単なるポップスの領域と時代だったらどれも遜色なかったのかもしれない。ただ、やはりビートルズってのは良く作られているんだよな。真似事じゃなくて自分たちの音楽家としてのセンスが際立っているんで、その辺の違いが大きいか。一方のストーンズはそんな才能とかではなくてロックを全うしていったワケで、そういう姿も若者は惚れるんです。
さて、自分的にこの辺のビートルズが一番面白いかなと思うアルバム「Beatles for Sale」です。「Beatles for Sale」と「Revolver」あたりが一番実験的であり、且つ売れることも考えててカバーもあって色々な要素が入り込んでるので面白く聴ける気がする。バンドとしてみても一番熟していたんないかな。ジョンもポールも協力しあって作ってた時代だしさ。1964年にリリースされた4枚目の作品、それでこの音と作品かい?改めて聴いてみてもこの品質の高さは異常なくらい。カバーにしてもオリジナルにしてもレベルが高すぎるし、それでいて実に聴きやすく仕上げているし、最初の「No Reply」のジョンのオープニングからしてどこか物哀し気な空気が美しい。一方では「Rock'n Roll Music」で思い切り大好きなR&Rをシャウトしてくれるし、面白い。今じゃメンバーそれぞれの誰が作って歌った曲かなんてのが普通に知られていて個人プレーの集まりみたいに分析されることも多いけど普通にアルバムとして聴くとやっぱりジョンのが自分的には好きなのが多いようだ。ポールのは美しいな~って思うけど、トゲがない。まぁ、その辺は好みなのでなんとも言えないけどさ。
一方普通の人達であるリンゴとジョージのレベルはどうしたってお遊びレベルになっちゃうけど、こんだけの天才二人と一緒にいるわけだからそりゃ色々学ぶだろうし吸収するワケで、自然にレベルが高くなってくるんだろう。しかし天才二人は残りの二人と一緒にやっている時に自分たちは天才だということに気づいていたのだろうか?気付かされたのだろうか?残りの二人から見ればそれは一目瞭然だが天才二人は…、あ、そうか、お互いを見ていたからそれで良かったのか。しかもまるで方向性の違う二人の天才だし。な~んてことを聴きながら思ってた。しかし、2009年のリマスター盤は音がホントに良いなぁ、良すぎるくらいに良いなぁ。こんなにクリアーで深みのある音で録られていたんだ?リバーブの具合とかホントにスタジオで歌ってたり演奏してたりするのがまざまざと聞き取れるもん。結構な音量で聴いていると目の前にいるかのような音に仕上がってるので全く驚く。一応今回はステレオ盤を聴いていたんだけどね。モノラル盤だとこの音の塊がズカンと自分にまともにぶつかってくるから更にパワーを感じるんだろう。しかし歌と感情表現が巧いバンドだ。45年経過したってビートルズってのは凄いって思うもんな、やっぱりさ。
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