Lou Reed & Metallica - Lulu

2009年のイベントでのコラボで驚くほどのセッションがあって、それはキンクスのレイ・デイヴィスとだったり、ルー・リードだったりしたんだが、まさか一番あり得ないと思っていたセッションでアルバムまで出来がってくるとは夢にも思わなかった。そりゃメタリカだってもう世界を制するメタルバンドだけど、音楽的にものすごく深いというワケじゃなくて、あくまでもメタル、メタリカのサウンドの中での評価だったと感じていた部分あるから、アーティスト的な面が強いルー・リードとのセッションなんてあり得ないだろ、と思っていたが…、やはりミュージシャンというのは面白い。メタリカはそれこそもう何十年もやってきて自分たちだけの音楽に飽きてきている感も強いので、こういう異種格闘技的なセッションには意欲的だったかも。対するルー・リードはと言えば、もともとがノイジーなアンダーグラウンドサウンドから始まっているワケだから感性が繊細でシビアな側面は当然持っているワケで、なるほどセッションの時に妙なフィーリングを感じたようだ。
今回の「Lulu」というアルバムは元々がルー・リードの作品だったようだが、ちょっとパンチがないいつもの作品になりそうだった気配があったところに例のイベントでのメタリカとのコラボが入り、そのインスピレーションがアタマに引っ掛かっていたようで、新作の仕上げにメタリカに強力を依頼したとのこと。メタリカ側は面白そうだから、って事だろう。いや~、ルー・リード側からってのもこれまた驚いた。そんな経緯は情報としては把握しつつも果たしてどんな音が出てくるんだ?と興味津々で、結構待ち望んでいたんだよ、この「Lulu」を。
んで、速攻で聴いた。単純に書いておこう。
「スゲェ傑作!」
「見事な異種格闘技戦!」
「ヘンに燃えた!」
キャッチコピー的に書くならば…
「Luluは21世紀のヴェルヴェット・アンダーグラウンド・メタルだ。」
うん、最高傑作は「Mistress Dread」という大作。何せアルバム2枚組で90分の大作なんだから一曲づつが長くてもおかしくないけど、この迫力にはぶっ飛んだ。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのノイズをメタリカが独自のスラッシュメタルで対応しているという姿で、ルー・リードの個性と迫力はそのままにメタリカの迫力と重さをしっかりと出したナイスな融合。この曲はオールドファンもメタリカファンも喜ぶんじゃないか。その前の「Pumpking Blood」もかなり面白い線行ってるんで長尺な曲と言えども十二分に楽しめるし…、そもそも冒頭からジェームズの叫び声とルー・リードの存在感とメタリカのバックが面白いくらいに化学反応を引き起こしていて深みを出してるし、両者とも見事にアーティスティック。驚いた。今の時代にこんだけの前衛的アーティストの作品がこれだけメジャーなフィールドで聴けるっつうのは両者のネームバリュー。しかし仕掛けたルー・リードもメタリカとの邂逅でアルバムを凄い高みまで持っていけたんじゃないだろうか?普通に作ってたらこんなに濃い作品にはならなかっただろうし、メタリカにしてもメタリカだけでこのアルバム出してたら酷評されたと思うし、そこは見事に両者のハマり具合が素晴らしい。メタリカバックでのヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバーとかやってみたら、かなり現代的で面白いんじゃないか?そんな話しているといいなぁ~♪
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