T.Rex - T.Rex




9月16日って何かあったよなぁ…と一生懸命思い出しててふと思いだしたのがマーク・ボラン。ん?うん、確か命日。1977年だったような気がするので、34年が経過したことになるのか。もちろん自分的には直接体験はない時代の話なのでまるでピンと来ないでロック史的に記憶しているんだけどさ、何と言うのか、マーク・ボランの場合はどこか不思議な魔法使い的な印象がそのまま事実に当てはまりそうな人で、いくつもそんな断片を見せているのもある。30歳前に死ぬ、って言ってたのも実際誕生日直前で死んでるし、色々あるみたい。よくわからないけどリンゴ・スターと仲が良かったりとか、クラプトンにギターを教わりに行ったとか…このことに関してクラプトンは沈黙しているようだけど、時代的に考えるとジャンキーまみれだったので記憶にないというのが正解なのかもしれないが。まぁ、そんな不思議な天才魔法使いのマーク・ボラン、自分も随分若い頃にやっぱりロックスター的な意味でアルバムをひたすら聴いていたことがあるんだが、いつしか聞かなくなってしまった一人。どこか虚像に見えたからかもしれない。そんな事をふと思いながら思い出したので、「T・レックス」と「タンクス」とどっちにしようかと思ってね、両方共聴き直したんだけど、やっぱり「T・レックス」にしようと。
「T・レックス」は1970年トライデントスタジオでトニー・ヴィスコンティのプロデュースによる録音とのこと。ここまでを見るとどこかで見たようなクレジットでさ、レコーディングは7月から8月だったって書いてあるからなるほど、と。この直前の4月から5月は同じところでトニー・ヴィスコンティがデヴィッド・ボウイの「Man Who Sold the World」を制作しているのだった…。おぉ、そうか似たようなサウンドに仕上がっているハズだ。「T・レックス」はマーク・ボランとミッキー・フィンとトニー・ヴィスコンティによる録音なのでドラムとかはいないんだけど、アコースティックだけでなくてしっかりとエレクトリックでのファズギターも入ってて、「Is It Love」なんてR&Rそのもので後のブギースタイルが既に出来上がって披露されているので貴重かもしれない。ギターソロにしてもしっかりとボラン節しているし、スタイル的に非常にユニーク。コンガとベースをバックにギターソロ弾くんだもんね。これがメジャーになって売れて、しかもアイドルになっていったってのが凄いわ。音楽の話だけで言えば、この「T・レックス」時点で既にマーク・ボランのT-Rexは完成形を見ていた気がするし、売れることに違和感はまるでない。ただ、マーク・ボランだけが満足しきらなかったのか、さらなる飛翔を望んで次なる策に打って出るのだが、実はその直前の「T・レックス」が一番輝いてる作品かもしれない。
後の「The Slider」や「Electric Warrior」で聴けるような一級品の出来映えじゃないけど、この「T・レックス」は本質が詰め込まれているし、熱意もハンパじゃなくヤル気に満ちているのがアリアリと音に出てきているのがよい。荒削りなのは時代の成せる業だろうけど、それでも一発入魂的に伝わってくるし、この時代の音楽シーンを見渡してみても傑出した出来映えの作品ってことがよくわかるだろう。ビートルズやストーンズやクリームで出来上がっていったロックシーンにこんなソフトでアングラな音でロックを奏でていたのだから。うるさくないロック、そして新たな世代のロックってこういうもんかもしれない。うん、秋にはこういうのを聴いていたいんだよね、あんまり電気がかったんじゃなくってさ。そんな気分を増長させてくれた「T・レックス」、意外とかなり良い作品ですよ♪
ちなみにふと気になってミッキー・フィンのその後を調べてみたら2003年1月11日に亡くなっていた。アル中からのことらしいけど、知らなかったなぁ。何か時代がどんどん終わっていく様を見ているようだ。
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