West Bruce & Laing - Why Dontcha

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West Bruce & Laing - Why Dontcha (1972)
Why Dontcha Live 'N' Kickin'

 ポール・コソフとジャック・ブルースというセッションを聴いてみたかったなぁとここ一連の記事を書き上げている中で思った。まぁ、ポール・コソフの人生が短かったのでそんなジャムセッションへの展開は無かったし、あったとしてもポール・コソフが完全に萎縮してしまっただろうなぁ。なんだかんだとシャイな性格だったようだし、それもあってかあまりメジャーな人とのセッション活動は見当たらない。そんな繊細な人だったからこそのギターだったのだろう。一方ジャック・ブルースはクリーム解散後にソロアルバムを製作しつつもそのプレイヤーとしての音楽的才能は留まることを知らず、クリーム時代に世話になったフェリックス・パッパラルディ絡みのマウンテンが暗礁に乗り上げたところにフェリックス・パッパラルディの代役として参加し、しかもマウンテンへの加入という枠ではなく、マウンテン解散後のレスリー・ウェストとコーキー・レイングとジャック・ブルース主導のバンドを組んでしまった。

 1972年にリリースされた作品「Why Dontcha」では一般的には前評判に敵わぬ駄作として知られているけど、実際に聴いてみると相当ハードな仕上がりでかっこ良い。別に酷評するほどの音でもないし、しっかりとロックしてるし時代も反映しているしそもそも英米ミックスのバンドの作品なのに、両者が近い嗜好で歩み寄っている。楽曲の秀逸さはやや欠けているものの、かなり熟成したミュージシャンの音が聴ける。ベースもギターも弾きまくってるし、ドラムも含めてクリームほどのインプロプレイじゃないにしても音のぶつけ合いって意味でジャック・ブルースも面白かっただろう。レスリー・ウェストからしてみたらちょいとプレイヤー的には物足りなかったフェリックス・パッパラルディの替わりに強烈なベースプレイヤーがいるってのは嬉しかったんじゃない?まぁ、結果的にバンドそのものはさっさと空中分解してしまったけど。

 どの曲も個々人が好きに音を出せている如何にも70年代ハード・ロックのトリオバンド的な音で、二人ともギブソン弾いてるからか音が濃い。こんだけ分厚い音はすごく好きだし、それでいてレスリー・ウェストの音は流れるようなラインがあるから不思議だ。正にマイケル・シェンカーを聴いているかのようなギタープレイ…って逆だけど、ホントそんな音だから頼もしいし、ジャック・ブルースはやはりあのまま、もっと好きに弾いているようだ。曲も歌もハープも鍵盤も、まぁここまでやりますかっつうくらいに貢献してる。カッチョ良いアルバムだけど確かに光る曲がないのも事実。ジャック・ブルース関係ってホントに曲は恵まれないっつうか…、ミュージシャンなんだな。



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フレ
Posted byフレ

Comments 3

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ドイツ特派員  
ミュージシャンとプレーヤー

フレさん、

懐かしいジャケですな。一時期「ロック名盤再発」なんていうのがLPで出た時期(もう30年くらい前)に見ていた記憶が。ただ、当時はそこまで手が回らなくて、その後オーセンティックなHRに行っちゃったからこの辺を余り通っていないんですね。

で、ジャックブルースもレズリーウエストもやっぱりプレーヤーなんですね。いや、誤解されると困るんですが、「プレーヤー嗜好から音楽を作る」というか。ギタリストなんかはこの傾向が顕著な気がしますけど、ブルース進行で延々ジャムるのとかはやってる方は楽しいですからね、聴かされるほうは結構退屈(笑)。その辺の気持ちよさのズレが駄作と名作を分けたりして。その辺は他人の曲で光るベックなんかは割り切りが良いし、ペイジはプレーヤー方向には行かなかったし。

たまにはそういうプレーヤーシップだけを聞きたくなるんですけどね。

2011/09/05 (Mon) 08:23 | EDIT | REPLY |   
K平  
リクエストにお応え頂き有難うございます

当時(悪の華以降)、ラジオで言われてたのが、「パッパラルディーは、MOUNTAINを スタジオのバンドとLIVEのバンドに 分けようと考えている。」でした。
複数のDJが言ってたと思いますから そう言う情報が入ってたのでしょうね。
「ウエスト-パッパラルディーが目当てなのに 別人がLIVEやるなら 意味無いだろうよ」と思ったのですが、結局は 実現せず、W,B&L に なっちゃいました。
一曲目のタイトルナンバーから 「これだよ、これ!」と ツボでした。後輩とかからは「THE DOCTORとかベースの方が 目立ってる。」とか不評でしたが。
予想通りとは言え 2NDが大したことなく
スタジオ2枚+LIVEで終わったのが残念です。LIVE BOOTも買いました。

2011/09/05 (Mon) 16:32 | EDIT | REPLY |   
フレ  
山男たち

>ドイツ特派員さん
あ、自分も結構そんな感じで完全後追い、しかも結構後回し ww
確かにプレーヤーとして凄いのやってる作品だからねぇ、これ。
やってる側のアルバム色強いもん。だから曲としては「?」だけど(笑)。

>K平さん
セカンドは結局録音してあったソースをJ.Bruceがまとめ上げてアルバムにしたそうで…。
しっかしまぁ、ベースが凄い目立ちますよ、これ。ライブジャムバンドに近いですね、実際。

2011/09/05 (Mon) 23:49 | EDIT | REPLY |   

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