



バート・ヤンシュ、ジョン・レンボーンという英国フォーク界二人のギタリストが想いを込めて結成したグループが
ペンタングル
。その相乗効果は英国音楽に於いて見事に傷跡を残し、今でも語り継がれるバンドになっている。もちろん美しき歌声を聴かせるジャッキー・マクシーの引き込まれるような声が拍車をかけていることも忘れてはいけない。また音楽的にも変化に富んだバンドで、基本的にアコースティック楽器ばかりでの演奏なのだが、ジャズ風中近東風インド風もちろん英国伝承音楽風バロック風、そしてアレンジではモロなものからポップス調、ロック調とこれもまた多岐に渡る曲の数々を聴かせてくれるのもさすが。
中でも名作と呼ばれるのは「
Basket of Light
」という作品で、非常に聴きやすく、且つ両巨頭のギターの音色の響き、ジャッキー・マクシーの歌声の美しさなどが顕著に出ていて、しかも曲調がかなりポップス寄りに仕上げられているので初心者でもオススメできるくらい華麗な作品。ジャケットは一見何かと思うんだけど大きくしてみるとなかなか面白い風景なのでこれもアナログだとよく分かっていいんだけどなぁ。ちょっと前に紙ジャケでリリースされたらしいけどCDサイズではちょっと面白くないアルバムジャケットだね。
で、個人的にはこの翌年1970年にリリースされた「
Cruel Sister
」の方が好み。英国フォークのくせにアルバム収録曲が全部で5曲っつうのが良い(笑)。もちろん短いアルバムという意味ではないんだけど、サウンドが実に純然たる英国伝承音楽的なものに戻って来てて、そこには特に市場を意識した形跡があまり見られなくて素朴なトラッドの作品として聴けるからだ。ある種このバンドはジャズ・ブルースに根付いた作風が多かったのでここまで純粋にトラッドしてるのは本作だけかもしれない。ジョン・レンボーンのソロ作での同様の作風だったのできっとそういう方面にハマった時期なんだと思う。こちらも最初から美しいギターの音色とマクシーの声がマッチしていてやっぱりハマる(笑)。
ペンタングル
ってギターとかだけでなくその周辺を彩る楽器がタブラだったりマンドリンっぽかったりして凄く賑やかなんだけど落ち着いて聴けるという面白さがあるね。女性ボーカルに対して聖歌のようなバリトンコーラスってのも凄く荘厳でかっこよいし、英国の伝統ってやっぱり凄い。バート・ヤンシュの「Jack Orion」がここで復活しているのも何となく馴染みやすい理由かな…。
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