



英国とは実に深い懐を持った文化的な国だと思う。バート・ヤンシュと共に時代を生き、早くから一緒に共演していた
ジョン・レンボーン
もギターミュージックの先駆者であり、その方向性嗜好性もいつの間にか英国伝承音楽の探究者へと進むのである。
もちろん全部の作品を聴いているわけではないのだが、よく聴いたのが「
Maid in Bedlam
」という1977年のジョン・レンボーン・グループになってからの作品で、最初の「Black Waterside」からバート・ヤンシュのそれとは異なるアプローチでの収録、そしてペンタングル時代からの友人となるジャッキー・マクシーがアルバム全編に渡り歌を歌っていることからとても美しく透明感溢れるサウンドに仕上がっている…、こういう曲を知っていながらも演奏して収録してしまうと言うのも英国的なヒネたセンスなのだろうか。それにしても全編に渡って透明感溢れるギターの音色とマクシーの歌声、更に低音バリトンの男性コーラスが絡み、フィドルの響きが淡々と曲を奏でていくタイトル曲の美しさは本作品の中で最も美しく英国的な音ではないだろうか。あぁ、英国の森に想いを馳せてしまうなぁ…。高貴で優雅なアルバムジャケットも収められているサウンドを表現するに相応しい、全く全てが美しい英国フォークの名作。
もう一枚遡ってペンタングル時代に発表した名作と言われる「
The Lady and the Unicorn
」も重要な位置付けとされる作品で、元々好きだった音楽はペンタングルでプレイしていたためかここでのソロ作品では正に英国伝承音楽から中世音楽的なサウンドが中心になったギターミュージック作品。こちらもアルバムジャケットが美しくて素晴らしい…。後年になると多々セッション活動なども行ったらしいけど、
ステファン・グロスマンとのセッションアルバム
はどれもギタリスト同士の面白い会話が聴けるような作品でBGM的に聴くことが多い。ソロ作品の優雅さとは異なりイージーリスニング的に聴けるこちらのサウンドもなかなか味のあるものだ。う~ん、英国は深い。
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